なんとシステムの最高出力は658ps、最大トルクは950Nmときた。果たして、AMGが手がけると電気自動車はどんな乗り物になるのか? それを確かめに箱根で開かれた試乗会に行ってきた。エンジン編集長のムラカミがリポートする。驚くほど長いホイールベースそもそも、メルセデス・ベンツのノーマル・モデルも含めてEQSを見るのは今回が初めてだったが、まずはそのプロポーションに驚かされた。さすがは電気自動車専用のプラットフォームを使っているだけのことはある。4輪の位置が、これまでの内燃機関車とはまるで違っているのだ。すなわち、タイヤがボディの前後両端に追いやられ、その結果、オーバーハングが極めて短く、ホイールベースが驚くほど長い。ノーマル・モデルと同じプラットフォームを使ってつくられたAMG初のバッテリー式電気自動車であるEQS53も、ボディ全長は標準のSクラス・セダンと同等で、ホイールベースはそのロングホイールベース並という、これまでのクルマの常識からはかけ離れたカッコウの持ち主なのである。
できるだけ広く快適な室内を確保するためにはこの方がいいし、電池を床下に敷きつめるのにもホイールベースが長い方が都合がいい。それはわかるのだけれど、だとしても、本当にAMGのようなスポーツ・モデルがこれでいいのだろうか。率直に言って、まだこのカッコウがしっくりこない私は、もはや旧時代の人間ということになるのだろうか。ちょっと苦笑してしまったのは、ノーマルのEQSのグリルが真っ黒なパネルにドットの模様が付いたいかにも電気自動車然としたものであるのに対して、AMGのEQS53には、あたかも内燃機関車かと錯覚させるような14本の垂直ルーバーが取り付けられていることである。穴も空いていないのに、こうしないとAMGであることを表現できないのだとしたら、まだ試行錯誤の段階にあるのかなぁ、と思わざるを得ない。
内装もこれまでの内燃機関車とは違うことを強調するかのように、インパネが端から端まで一枚の巨大なディスプレイ・パネルになっている。EQS53はステアリング・ホイールの形状やアルカンターラを多用した素材がノーマルのEQSと違うほかに、このディスプレイに映し出されるメーターなどのデザインをよりスポーティなものとすることで差別化が図られている。
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