2023.02.03

CARS

658馬力の強烈な加速は、まるで瞬間移動! メルセデスAMG初の電気自動車、EQS53に試乗 その驚きの走りとは

メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+

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常識を覆す走りっぷり

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前後ふたつのモーターを合わせたシステム最高出力が658ps、最大トルクが950Nmと聞くと、どんなモンスター・マシンかと思って身構えたくもなってしまうが、走り出してみると、これが呆気にとられるほどによく躾けられた、すべての動きがスムーズで極めて運転し易いクルマであることに、まずは感心させられた。エアサスを使った足まわりはストロークもたっぷり取られているようで、路面の荒れにあっても顔色ひとつ変えずにフラットな姿勢を保っているし、なにしろエンジンがないのだから室内の静けさたるや、まるでクルマで移動しているとは思えないほどだ。21インチの大径タイヤを履くために、少々硬さを感じる場面もあるが、全体的な快適性はSクラスを上回ると言っていいだろう。

メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+ 前席にはスリムな一体型の形状のスポーツシートが標準装備される。

ところが、ひとたびアクセレレーターを強く踏みつけると、まるで瞬間移動するような強烈な加速を見せるのである。0-100km/h加速はなんと3.4秒。とても車重が2.7トン近くあるとは思えないこの俊敏な動きは電気自動車でなければ絶対に得られないものだろう。

山道での走りも、これまでの常識を覆すようなものだった。4WDと4輪操舵を電子制御でフルに使って、うまくコーナリングできるように手助けしてくれているのだろうが、それにしても2.7トンもあるこの巨大なクルマがワインディングをこんなに速く駆け抜けられるとは驚きだ。

その時、ドライビング・モードをスポーツにすると、なにやらギュイーン、ブォーンというような不思議な電子音がスピーカーから聞こえてくる。いくらなんでもちょっとやり過ぎじゃないかと旧時代の人間は思ったが、このくらいやらないとノーマルとの差別化はできないのだろう。なにしろ、このEQS53の車両本体価格は2372万円。ノーマルのEQSより800万円も高いプライスタグをつけているのだから。

もっとも、これ1台でどんな時でも負け知らずの速さと快適性が手に入るとすれば、勝っても勝ってもまだ勝ち足りない人にとっては、決して高くない買い物なのかも知れない。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=柏田芳敬

メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+

■メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+
駆動方式 前後モーター4WD
全長×全幅×全高 5225×1925×1520mm
ホイールベース 3210mm
トレッド(前/後) 1660/1655mm
車両重量(車検証) 2670kg(前軸1320kg:後軸1350kg)
モーター形式 交流同期永久磁石モーター
システム最高出力 658ps
システム最大トルク 950Nm
変速機 1段固定
定格電圧/電池総電力量 396V/107.8kWh
一充電航続距離(WLTC) 601km
サスペンション形式(前後) マルチリンク/エア・スプリング
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ (前後) 275/40R21
車両本体価格(税込み) 2372万円

(ENGINE2023年2・3月号)

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