2023.03.03

CARS

新型マセラティ・グラントゥーリズモに試乗! ゾクゾクするほどエレガントで、恐ろしく速く、そして驚くほど安定感のある、大人のGTカー!!【前篇】

マセラティ グラントゥーリズモ・トロフェオ

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2020年を節目に、大きな変革を遂げつつあるマセラティ。スーパースポーツのMC20、中型SUV のグレカーレに続き、新型グラントゥーリズモが登場。その走りをローマで試したエンジン編集長のムラカミのリポート。その前篇をお送りする。

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大成功だった初代グラントゥーリズモ

2007年に登場して以来、2019年の生産終了までに2万8805台をデリバリーしたというのだから、初代グラントゥーリズモは、この種のラグジュアリーな大型2ドア・クーペとしては大成功を収めたモデルと言っていいだろう。2年後に加わったオープン・ルーフのグランカブリオを加えたら、なんと4万台以上も販売したというのである。

Maserati GranTurismo Trofeo Giallo Corse

果たして、その魅力の源泉はどこにあったのだろうか。そのひとつが、1947年のA6 1500を始祖とするマセラティのGTカーの歴史の中で受け継がれてきたスタイルを現代風に解釈したというピニンファリーナのデザイン(当時のチーフはケン・オクヤマ氏)の素晴しさにあったのは間違いない。そこに置いてあるだけで色気をあたり一面に漂わせているような独特の華があった。それでいて、ざっくりとえぐられた大型グリルに象徴される男っぽさも併せ持っていたのだ。

加えて、もうひとつ魅力を挙げるとすれば、やはりフロントのミドシップに搭載されていたフェラーリ製V8エンジンということになるだろう。あの頃は、V8を積んだモデルはスポーツカーにもセダンにもたくさんあったが、ことエンジンだけでそれが猛烈に欲しくなってしまうような魅力を感じさせる点では、フェラーリV8が筆頭だったと思う。

さて、そのグラントゥーリズモが15年ぶりのフルモデルチェンジで2代目になって、どんな変化を遂げているのか。興味津々、私は国際試乗会の舞台となっているローマに向かったのである。

変らないものと変わったもの

試乗前夜、ホテルの前で行なわれた簡単なブリーフィングで新型グラントゥーリズモの姿を初めて見て、「あっ、これは先代の魅力的なディテールをしっかりと受け継いだデザインを持ったモデルだ」と思った。

やや小ぶりになったものの、大きくえぐられるように口を開けたフロント・グリルに長いノーズ。低いボンネット。そして、伸ばした位置がピッタリ前輪の中央に来るように寝かされたAピラー。それに続く低いルーフ・ラインは流れるような微妙なカーブを描いて、ウイングの付いたリアエンドへと繋がっていく。

Maserati GranTurismo Trofeo Giallo Corse

個人的にもっとも魅力的だと思っていたサイド・ウィンドウ後端のカーブがしっかり残されているのも嬉しかった。そして前後フェンダーのほど良い盛り上がりや、前輪とドアの間にある3つのエア・ベントも。

一方、大きく変わったのは前後ふたつのライトのデザインで、ヘッドライトはこれまでの横長のものから、MC20のイメージを引き継いだ縦型に変えられた。テールライトも、同じくMC20を思わせるデザインだ。

ボディ・サイズはホイールベースがわずかに縮められ、オーバーハングが少し長くなった結果、全長が8cmほど長くなっている。全幅も10cmくらい広がったが、高さは不変だ。

Maserati GranTurismo Trofeo Giallo Corse

しかし、なんと言っても、この新型での最大のトピックはパワートレインの変更にある。まったく同じ新開発のプラットフォームを使って、ふたつのガソリン・エンジン搭載車とひとつの電気自動車がつくられているのだ。ガソリン車は“トロフェオ”と“モデナ”で、どちらも同じ自社開発による3リッターV6ツインターボの“ネットウーノ”エンジンをフロントのミドシップに搭載する。基本はMC20と同じF1由来のパッシブ・プレチャンバーという高度な技術を使ったものだが、すぐ後ろにZF製の8段ATが置かれるので高さを下げられないこともあり、ドライサンプではなく、ウェットサンプ方式を採用している。しかも、そのギアボックスの右側にはリアへのプロペラ・シャフトとは別のフロントに動力を伝えるシャフトが置かれていて、これまでの後輪駆動からフルタイム4WDへと生まれ変わったのだ。

もうひとつのブランド初の電気自動車のモデル名は“フォルゴーレ”。雷とか稲妻を意味するイタリア語だ。フロントにひとつ、リアにふたつの電気モーターを持ち、リアは左右のモーターが完全に別々に駆動してトルク・ベクタリングも行なう仕組みの高度に電子制御された4WDシステムを持つ。EV専用シャシーではないから、電池をフロアの下に敷きつめるようなことはしていない、というより出来ない。そのかわり、空いたエンジン・コンパートメントとセンター・トンネルに電池をぎっしりと置き、さらにそれでも足りない分はリア・シートの下に敷きつめている。その電池の総重量は約600kg。それゆえ、フォルゴーレはガソリン車よりも465kg重い2.2t以上の車両重量を持っている。

エンジニアの説明によれば、ガソリン車と電気自動車は、どちらかを先に開発したわけではなく、まったく同時に進められたそうで、それゆえ、ドライバーやほかの乗員の着座位置もまったく同じで、重心の高さも同じ、前後重量配分もガソリン車が52対48、EVが50対50と近い数字になっており、ハンドリングもほぼ同じになるように味付けされているという。それにしても、まったく異なるモデルを同時に開発するなんて、どうしてそんな困難な道を選んだのかと尋ねたら、「マセラティのような小さな会社では、それぞれを別に開発するという選択肢は最初からなかった」という答えが返ってきた。

◆サーキットと公道を史上した続きは、後篇で!

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=マセラティS.p.A

■グラントゥーリズモ・トロフェオ(モデナ)
駆動方式 フロント縦置きエンジン4WD
全長×全幅×全高 4966(4959)×1957×1353mm
ホイールベース 2929mm
車両重量 1795kg
エンジン形式 90度V6ツインターボ
排気量 2992cc
ボア×ストローク 88×82mm
最高出力 550ps(490ps)/6500rpm
最大トルク 650Nm(600Nm)/3000rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エアスプリング
サスペンション(後) マルチリンク/エアスプリング
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 265/30ZR20/295/30ZR21
車両本体価格(税込み) 未発表

■グラントゥーリズモ・フォルゴーレ
駆動方式 電気モーター前1+後2、4WD
全長×全幅×全高 4959×1957×1353mm
ホイールベース 2929mm
車両重量 2260kg
モーター 3×300kW(1200+ps)永久磁石モーター
複合最高出力 560kW(761ps)
最大トルク 1350Nm
バッテリー電力 92.5kWh(83kWh使用可能)
急速充電-800V 270kW(最大100km -5分)
急速充電-400V 50kW
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エアスプリング
サスペンション(後) マルチリンク/エアスプリング
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 265/35ZR20/295/30ZR21
車両本体価格(税込み) 未発表

(ENGINE2023年4月号)

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