2023.04.12

CARS

「今時、こんなに粗削りなSUVは他にない まさに唯一無二!」 これが「ジープ・コマンダー」に試乗した自動車評論家の生の声だ!

ジープ・コマンダー

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2023年の注目の輸入車38台を一同に集めたエンジン大試乗会に参加したモータージャーナリスト40人が注目するクルマ! 走りは見た目よりもずっとワイルド! 日本では唯一のディーゼル搭載のジープ・コマンダーに乗った清水草一さん、飯田裕子さん、斎藤慎輔さん、松田秀士さんの4人は、思わず叫んだ!

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まさに唯一無二

最近のクルマはどれに乗ってもステキで洗練されている。最強のオフローダーであるGクラスやランクルだって、十二分に洗練されまくっている。しかし、新しいジープ・コマンダーは違う。とにかくエンジンがワイルドだ。フィアット系の2リッター・ディーゼル・エンジンは、今時のディーゼルと違い、ラフな音と振動を奏でながら走る。思わず「こんなの、どこから持ってきたの」と言いたくなる。ラフと言ってもせいぜい「10年前のディーゼルってこうだったよね」くらいのもので、10年前は「アイドリングではディーゼルらしい音と振動があるが、走ってしまえばほとんど気にならない」とかなんとか書いていたはずだ。今やこの振動と音が、逆に頼もしく感じられるから不思議なものだ。ジープのキャラクターにピッタリだとすら思えてくる。4WDシステムを含めた足まわりもデザインもインテリアも、あまり細かいことにはこだわらず、「動く箱を作りました」感が濃厚。今時、こんなに粗削りなSUVは他にない。まさに唯一無二。(清水草一)

3列7人乗りのミドル・サイズSUV、ジープ・コマンダーは2022年冬に上陸した。コンパクトSUVのジープ・コンパスとジープ・グランドチェロキーの間に位置するモデル。

シティ派です

コマンダーは本格4WDながら都会的なオシャレさを併せ持つシティ派です。名前は勇ましいけれどチェロキーの後継モデルにあたり、このクラス3列シートを採用する点は新しい。ジープはワイルド派もシティ派もそのデザインセンスがいい。コマンダーはグランドチェロキーのようなアメリカンで上品な空間の居心地の良さがある。それを先ず推したい! 運転席に座ったとたんにドーンと広がる視界と開放感。水平基調のダッシュボードの前面に大胆に採用されるレザーが’90年代に流行ったコーチのバッグの重厚なレザーの風合いに見て取れ、上段は粗めのシボにステッチが走り、それがデニムのようなほど良いカジュアルさを抱く。インテリアを品良く引き締めるクロームパーツ類も相まって、アメリカン・モダンな空間がセンスよく造り込まれています。キルティング模様をアクセントにあしらった大ぶりなレザー・シートに包まれながら、2リッターディーゼルターボ・エンジンを搭載するコマンダーとドライブすれば、ほんの少し緩くてしなやかな走りに自然と肩の力も抜け、安心感と頼もしさが強まるばかりです。(飯田裕子)

インテリアのデザインは基本的にジープ・コンパスと同じ。スッキリとしたデザインでダッシュボード中央には10インチのタッチパネル・スクリーンを備える。

ベタに乗用車ライクじゃない

ズラリと並ぶ試乗車の中、これだなと思ってドアを開けようとしたら、ん? GRAND CHEROKEEの文字が目に入った。いやはや、フロント・ドア下にエンブレムがあって助かりました。あらためてコマンダーを探すと、フォルムは似ているが、たしかに少し小ぶりで、威圧感のない顔つきだった。日本では唯一のディーゼルエンジン搭載のジープで、しかも3列シートが標準。これは、ジープに馴染みの無かった層にもアピールしそうだ。ちなみに、日本仕様の生産国は右ハンドルの国であるインド。横置きエンジン・ベースのオンデマンド型AWDだが、ドライブ・モードでオートを選べば、ドライ路面ではほぼ前輪駆動で走らせている。もちろんジープだから、路面に応じたセレクトも可能だし、4WD LOCKも備える万能ぶりである。いかにもディーゼルらしいサウンドを響かすことや、重々しさがあったり、わかりやすく路面の凹凸を伝えてくるあたり、走り味は見た目よりもワイルドなのだが、ベタに乗用車ライクではないところが好ましく思えるのも、ジープだからこそなのだと思う。(斎藤慎輔)

フロント・シートは電動調整機能とヒーターを標準で装備する。


アメリカンなテイストにホッ

欧州色が強い試乗車群の中にあって、コマンダーのアメリカンな匂いはどことなくホッとさせてくれる癒しがある。3列シート7人乗りのミドルサイズSUV。全長は4770mmだから巨大というほどでもなく、1860mmの全幅は走り始めると意外にも気にならない。というか、このクラスでこの横幅なら、日本でも十分使えるだろう。エンジンは2.0リッター直4のディーゼル・ターボと燃料代が高騰する今の時代には嬉しい。これにハイテク9段ATがドッキングされ、オンデマンド式のAWDとなっている。しかし、Jeepブランドゆえにオフロード性能も奢られている。SAND/MUD、SNOW、AUTOのドライブ・セレクトと4WD LOCK、4WD LOWもチョイスできる。ただし4WD LOWは副変速機を持たないので1速キープとなる。走り出すとトルクのあるディーゼルの力感と、大型ディスプレイなど最新のインフォメーション満載の中にあって、やはりアメリカンであることを感じさせる乗り味がいい。ADAS(運転支援)も充実していて、渋滞対応のACC+LKAでロングドライブも楽しい。(松田秀士)

写真=小林俊樹/茂呂幸正/神村聖/郡大二郎

◆続々公開中! エンジン大試乗会に集まった2023年の注目の輸入車38台! 参加したジャーナリスト40人のインプレッションはコチラ


(ENGINE2023年4月号)

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