2023.03.20

CARS

ヤフオク7万円・走行約16万kmのシトロエン、心臓部の2リットルSOHCエンジンの分解開始!【エンジン編集部員のシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#16】

エンジン編集部員のシトロエン・エグザンティアの長期リポート。

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エンジン編集部のウエダが2021年6月、シトロエン・エグザンティアをヤフー・オークションで購入。価格は7万円、走行距離が約16万kmで、内外装は傷だらけのクルマながら、板金塗装代50万円、部品代70万円、工賃80万円の、計200万円を投じて仕上げることに……。16回目のリポートでは、内装と外装が一通り完成し、いよいよ約16万km走ったエンジンの分解がスタートする。

どこまでもべとべと、ぎとぎと

外装、内装と手を入れたエグザンティア。続いてカークラフトが着手したのはいよいよエンジンである。

リポート車のエンジンルーム(仕上げ後)。プラグ・コードは前オーナーが交換した社外品。

リポート車の搭載しているエンジンは排気量2リットルの4気筒SOHC 8バルブ・ユニットだ。欧州ではガソリンの4気筒だけでも、この時代のエグザンティアは1.6リットル、1.8リットル、1.8リットル16バルブ、2リットル16バルブ、2リットル8バルブ・ターボなどなどかなり選択肢が豊富だった。基本すべてXU系とよばれるPSA製の中型パワーユニットで、プジョー305で最初に搭載されたXU5が基本となる、横置きで前方に傾斜したエンジンである。リポート車はXU10 J2C/L RFXと呼ばれているユニットのようで、最高出力は121ps(89kW)。同エンジンはエグザンティアのほかZX、プジョー306、405、605などにも搭載されている。

とにもかくにも、まずはこのエンジンの現状を把握しなければ何も始まらない。なにせ走行距離は約16万kmである。今日まで調子良く走っていたとしても、明日何が起こるかはまったく分からない。整備の履歴はいちおう記録簿に残っているが、カークラフトでは基本いっさいを信用せず、すべてをもう一度確認することにしている。そこでまずは外装、内装と同じく、まずは配線や配管などを後々組み付けの際に確認できるよう、エンジン・ルーム内の隅々まで写真を撮り、記録を残した。

そこからは内外装同様、1つ1つ部品を外していき、またしてもひたすら点検の繰り返しである。インテリアやエクステリアの作業では、至るところに潜んでいた埃との戦いが主だったけれど、エンジン・ルームではグリスや漏れたオイル、さらには冷却水なども加わり、どこまでもべとべとでぎとぎとで、しかも手の入りにくいという、さらに過酷な戦いが待っていた。

予想通りというべきか、予想以上というべきか、ほとんどの消耗品はすり減り、これまでの整備の内容は怪しげなところがあった。まず、エア・クリーナーは吸気効率の良いとされるBMC製に交換されていたが、樹脂部分が熱で溶け、分解しかけていた。

ラバー部分が溶けかかっているBMC製のエア・クリーナー。

本来エンジンに余計なものが入り込まないようにしているのがフィルターの役目なのに、逆に溶けた部品がエンジン内部に入り込む恐れがあった。本末転倒とはこのことである。定期的にちゃんと交換していればいいのだが、社外品はこういうデメリットにも注意が必要だ。


スパーク・プラグを外して見ると、4本ともオイルで真っ黒だった。圧縮圧力を測ってみると、見事に2、3、4番シリンダーの圧縮漏れが発覚。これでヘッドのオーバーホールが決定となった。タイミング・ベルトは交換歴があったのだが、テンションを計測してみると、明らかに張りすぎだった。

タイミング・ベルトは指定値に対し、張りすぎていた。


ヘッド・オーバーホールの準備として、スロットル、インテーク&エグゾースト・マニフォールド、ブローバイ・ホース、ラジエーター・ホースを切り離していくと、内側は見事にどろっどろである。ヘッド・カバーの周囲をはじめ、エンジン・ルームの向かって奥側、バルクヘッド側の各センサーからのオイル漏れもひどいものだ。イグニッション・コイルを止めるボルトは細く弱く、折れるかと心配したが、なんとか無事脱着に成功した。

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