2023.04.11

CARS

ヤフオク7万円・走行約16万kmのシトロエン、オーバーホールでエンジン内部がピカピカに復活!【エンジン編集部員のシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#17】

エンジン編集部員のシトロエン・エグザンティアの長期リポート。今回は膨大な数のエンジン修復の写真に注目!

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エグザンティアの弱点その2

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スターター・モーターとオルタネーターは前オーナーから譲り受けたストック品に、入念にテストした後に交換した。たとえ昨日買った新品だったとしても、製造からどれだけ時間が経っているか、保管状況はどうだったのか、何も分からないからだ。残念ながら同様にストックされていたLHMのポンプはガソリン・エンジン車用ではなく、ディーゼル・エンジン車用の配管の位置がまったく異なるものだったので、オリジナルのポンプをクリーニングし再使用した。このあたりはLHMの配管などを取り上げる次回以降に、またご報告したい。

このLHMポンプの直下にはオルタネーターやコンプレッサーが配置されているのだが、以前カークラフトが整備した別のエグザンティアでLHMが漏れ出た際、オルタネーターまでショートしてしまうなど、ダメージが広範囲に及んだことがあった。その対策として、今回解体車の樹脂のインナー・フェンダーを加工した、リポート車専用にワンオフで作成したオルタネーター・カバーを取り付けている。アクチュエーターが壊れると、外部からではフューエル・リッドを破壊しない限り開かないという給油口に続く、エグザンティアの構造的欠点とも言える部分だが、なんとか解消できたのではないだろうか。



ちなみにエンジン前側にあるスターター・モーターの脱着、取り付けはかなり手こずったそうだ。ZF社製4段ATの前期型エグザンティアはスターターの上部にカバーが取り付けられており、その上にLHMのホースや配管などが通っている。ここが5段MT車、例えば並行輸入されたエグザンティア・アクティバではスペースがかなり空いているのだが、4段ATのカバーを止めているボルトがスターターの取り付けも兼ねている上に、工具の入る隙間がないという。当時、基本設計はMTが前提であり、ATはまだまだ特別なものだったということが、こういうところからも計り知れる。なお、後期型エグザンティアの4段AT(PSAとルノー共同開発のAL4)では、さほど苦労なく脱着できるという。

さらにエンジン・マウントとATマウントおよび振動対策で付けられているマウント・ホルダー、デファレンシャル・サイド・シールも交換している。またロアー・マウント、サーモ・ハウジング、ウォーター・ハウジングについてはEZブラストでクリーニングを行い、さらに塗装をしてから取り付けている。エンジン・ブロック外側に関しても塗装こそ行わなかったが、丁寧に清掃済みだ。このあたりに関しても、ぜひ写真を参照して欲しい。

なお、なぜエンジンそのものを下ろしてしまい、クランクやコンロッド、ピストンまですべて分解しなかったかといえば、ヘッドのみ切り離し、ブロックを残したままでも、消耗品の交換作業は一通りこなせたからだ。カークラフトではリポート車同様の大がかりな修復作業を何台もこなしているが、バルブ・シールのような樹脂系の劣化する部品を使っていないエンジンの下側、ブロック内部まで手を入れることは、なかなかないそうである。

異音が出ているだとか、ピストン上面などにあきらかなダメージがある場合は別だが、すべてオーバーホールするよりも、オーナーの限られた予算をどこにどう分配するかに重点を置き、かつこのタイミングを逃したら、なかなか代えることのできない部品を必ず交換しておくのがカークラフト流だ。ただし、初代フィアット・パンダやランチアYなどに関しては、エンジンを下ろした方が作業が早い場合もあるらしく、状況に応じて対処している。



さてエンジンに続く次回は、ドライブシャフトなどの駆動系やブレーキまわり、そしてLHMの配管関係と、ちょっと旧い欧州車では鬼門とされるオートマチック・トランスミッションである。1980、90年代のクルマでよく採用され、壊れることが多いとちまたで噂されている、ZF社製の4段AT内部に手を入れる。

■CITROEN XANTIA V-SX シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2022年4月時点までの整備の支払い総額は213万9326円)
導入時期 2021年6月
走行距離 15万9247km(購入時15万8970km)

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=岡村智明/カークラフト

(ENGINE WEBオリジナル)

◆エンジン編集部ウエダのシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート連載一覧はコチラ
ヤフオク7万円25年オチのシトロエンの長期リポート連載!

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