2023.05.23

LIFESTYLE

ヨーロッパから実力派3人が続々と来日! スティーヴン・ハフ、トマシュ・リッテル、マルティン・ガルシア・ガルシア、2023年に聴きたい3人の個性派ピアニストたち

作曲家、編曲家、作家という多彩な顔をもつスティーヴン・ハフ

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来日アーティストの公演が増えるなか、6月には個性的な3人のピアニストが来日。「この人ならこの曲」といわれる作品で勝負する。

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騎士の称号を授与された名匠

イギリス出身のスティーヴン・ハフは、ピアニスト、作曲家、編曲家、作家という多彩な顔をもつ。2001年に「各分野の偉人、天才に授けられる賞」として有名なマッカーサーフェローシップをクラシック・ピアニストとして初めて受賞し、22年の故エリザベス女王の誕生日の叙勲では騎士(ナイト)の称号を授与された。各地のオーケストラと共演し、音楽祭にも招待され、後進の指導も行っているが、作曲家としても多忙を極めている。

ハフといえば、代名詞のように思われているのがスペインのフェデリコ・モンポウの作品。かろやかで鮮やかなリズム表現、情熱と静寂と幻想と流麗さを紡ぎ出す技は、一度耳にすると忘れられないほど。ショパンも得意とし、バラードやノクターンで聴き手をショパンの内奥へと導く。一方、ドビュッシーも彼の腕にかかると変幻自在な音のパレットを繰り広げ、いま作品が生まれたかのようなみずみずしさがあふれる。その音楽からはハフの作曲家の顔がのぞくようで、ドビュッシーの新たな面に触れる思いだ。リストは超絶技巧を前面に押し出すことなく、作曲家が作品に込めた喜怒哀楽の感情を描き出す。これらの作品を6月14日の来日公演で披露する(東京・小石川 トッパンホール)。



ピリオド楽器コンクールの第1回の優勝者

2018年に第1回が開催され、大きな注目を集めたショパン国際ピリオド楽器コンクール。記念すべき第1回の優勝者は1995年ポーランド生まれのトマシュ・リッテルである。ピリオド・ピアノとは作品が書かれた時代の楽器を意味し、フォルテ・ピアノとも呼ばれる。リッテルはコンクールで3種のピリオド・ピアノを使用、ショパンが愛用したといわれ現代の名工によって復元された楽器も演奏している。その演奏は古雅で情感豊かで幻想的ですらある。6月10日の公演(東京・築地 浜離宮朝日ホール)では1843年製プレイエルでショパン、モーツァルト、ベートーヴェンの作品を披露する。



聴き手を幸せにするスペインの名手

スペイン出身のマルティン・ガルシア・ガルシアは、2021年のショパン国際ピアノ・コンクールで第3位入賞に輝いた。演奏は明るくおおらかで、時にうたいながら演奏するスタイル。その独創性に富むピアニズムが審査員と聴衆をとりこにした。すでに日本にも多くのファンを獲得し、6~7月の来日公演(横浜みなとみらいホール他)ではショパンの他にシューマンの作品が加わり、各地でピアノ協奏曲も演奏する予定だ。21年のショパン・コンクールは、上位入賞者がみな非常に個性的な演奏を行ったが、彼も新時代のショパン像を提示した。実に楽しそうにピアノに向かう様子は聴き手を幸せ色に包み、ともに旋律を口ずさみたくなるほど。その至福の瞬間が、また味わえる。

文=伊熊よし子(音楽ジャーナリスト)

(ENGINE2023年6月号)

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