2023.05.26

CARS

レクサス初のEV専用モデル、新型RZに公道初試乗! システム制御を意識しない走りやすさで運転が楽しい!

今年の3月、ついにレクサスから、バッテリーEV専用モデル、RZが発売された。ナンバー付きの試乗車が用意されたと聞き、早速試してみると、走りへの期待にもしっかり応えてくれることが明らかになった。エンジン編集部ムラヤマがリポートする。

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親しみやすい新しさ

試乗車をひと目見て、まず驚いたのは、33万円のメーカーオプションだという外装色“ブラック&ソニックカッパー”だ。黒をアクセントに、新世代レクサスのデザインの象徴である「スピンドルボディ」のラインを強調するように2色で塗り分けられているのだ。メインの「ソニックカッパー」の色合いも、初めて見るような独特なもの。それに、1635mmの全高にもかかわらず、ノーズはかなり低くデザインされているから、とにかくスポーティな印象だ。



外観の迫力にはずいぶん圧倒されてしまったけれど、いざ乗り込んでみると、シフト・セレクターがダイヤル式であるほかは、BEV専用の新型モデルだからといって、特別なところは何一つなかったから安心した。この取材の少し前に試乗したレクサスRXとも基本的な操作系のデザインは同じものだったから、すぐに慣れることができた。

新型RXなどとも共通する、新世代レクサスが打ち出した人間中心のTAZUNAコンセプトでデザインされたコクピット。ステアリングには、回生力の強さが調節できるパドルが装備される。

抜群のコントロール性

発進と停止を繰り返す都内の街なかを走っていると、加減速の操作に対するクルマの動きがとにかく素直なことが感じられた。前後合わせて435Nmのトルクを発生するモーターの加速は、決して、右足の動きに対してこれみよがしに強く反応するものではなく、従来のクルマから乗り換えても何の違和感も覚えないほど自然なものだった。車間距離を調整するためにペダルから足を離してみても、緩やかに速度が落ちていく具合は、まるで一般的なガソリン車と同じような感覚だ。ブレーキのコントロール性も抜群で、回生ブレーキと物理ブレーキが切り替わるタイミングも、よほど感覚を研ぎ澄ませないとわからない。この速度コントロールのしやすさは素晴らしいと思った。



高速道路に乗ると、床にバッテリーを敷き詰めた「e-TNGA」という低重心のBEV専用プラットフォームがもたらす走りの良さを体感することができた。基本的に、重厚で、常に高い安定性を感じさせる上質な乗り味を持っている。市街地の荒れた路面では少々突き上げ感を意識させた20インチを履く足も、速度域が上がれば程よくスポーティに感じられた。しかし、何よりも上質さを際立たせていると感心したのは、音環境の調律が秀逸だったことだ。エンジンの音や振動がないBEVではロードノイズや風切り音が目立ちやすくなるはずだけれど、これが全く気にならない。ただし、ひたすら静寂というものでもなく、クルマとの対話や周囲の状況把握に必要な音はしっかりと聞こえるようにできている。加速時に聞こえるモーター音も耳あたりの良いもの。ここまでの音環境を完成させるには、相当な調整が重ねられたに違いないだろう。

RZのコンセプトは……

運転好きとして気になるのは、やはりハンドリング。ワインディングに入ると「DIRECT4」という新世代レクサスの四輪駆動力システムに魅了された。加速度や車速、ステアリング舵角に応じて前後0:100~100:0までの範囲で駆動力配分を行うこのシステムは、コーナー入り口ではフロント寄りの駆動配分でステアリング応答を良くし、出口ではリアを多く駆動してスムーズな立ち上がりに貢献するのだとか。とはいえ、試乗している最中は、そんなことは何も考えずとにかく運転を楽しんでいた。ステアリングは切った分だけしっかりとクルマの向きを変えてくれるし、荷重コントロールに強く意識しなくとも、ほとんどロールを感じさせずに次々とコーナーを駆け抜けていくから、決して小さくはないクルマであることをすっかり忘れてしまっていた。



今回じっくり乗って、RZはとにかく思い通りに気持ちよく運転できるBEVなのだとわかった。そして何よりも凄いと思うのは、この走りが、DIRECT4などの数々のシステムに制御されていることを全く運転者に意識させないほど、自然なフィーリングに感じられたことだ。後で資料を読むと、RZの走りのコンセプトは“The Natural”なのだというから、これには脱帽だ。

文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正



■レクサスRZ450e 
駆動方式 前後2モーター4輪駆動
全長×全幅×全高 4805×1895×1635mm
ホイールベース 2850mm
車両重量 2100kg
バッテリー容量 71.4kWh
一充電走行距離(国交省値) 494km
最高出力(前/後) 150kW+80kW
最大トルク(前/後) 266Nm+169Nm
トランスミッション eAxle(1段固定式)
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤサイズ 235/50R20(前)/255/45R20(後)
車両本体価格(税込み) 880万円

(ENGINE2023年7月号)

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