2024.01.18

CARS

世界一運転が楽しいハイブリッド! 4駆ではなく2駆にしたメリットとは パナメーラSハイブリッドは、どんなポルシェだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ/ポルシェ篇#15】

ポルシェ・パナメーラSハイブリッド

全ての画像を見る
911誕生60周年を記念して『エンジン』の過去のアーカイブから"蔵出し"記事を厳選してお送りするシリーズ。14回目の今回は、カイエンに続き、ポルシェが放ったハイブリッド・モデルのパナメーラだ。スポーツカー専業メーカーといえども、燃費の話は避けては通れなかった。ところが乗ってみると、これがすこぶるスポーツカー感覚あふれる乗り味を持っていて、ビックリしたという2011年8月号のリポートをお送りする。

退屈な乗り物には乗りたくない

このリポートを書くにあたって、最初に告白しておきたいことがある。筆者はこれまで、ハイブリッド車に積極的に乗りたいと思ったことは一度もない。それどころか、省エネのためにハイブリッド車に乗るくらいなら、地下鉄で移動した方がいいとさえ思っている人間である。そりゃ、クルマの記事を書くのが仕事だから、ハイブリッド車に乗ることもある。しかし、こんなに運転していて退屈な乗り物に、なんで我慢して乗らなきゃならないのか、という考えがしばしば頭をもたげてくる。



だから、今回のポルシェ・パナメーラSハイブリッドにもあまり期待していなかった。スポーツカー専業メーカーといえども燃費の話を避けて通れないのはわかるが、燃費追求のあまり、パナメーラのサルーンらしからぬスポーティな走りをスポイルしてしまったら、それこそ本末転倒ではないか、と危惧していたのだ。

しかし、結論から言ってしまえば、それはまったくの杞憂に過ぎなかった。驚いたことに、パナメーラSハイブリッドの走りは、パナメーラ・シリーズのほかのモデルと同等か、それ以上に気持ち良かった。試乗を終えたいま、私は声を大にして断言できる。これは世界一運転が楽しいハイブリッドだ、と。一体どんな魔法を使ってこんな楽しいハイブリッドをつくったのか。まずはクルマの成り立ちから見ていくことにしよう。

基本はカイエンだが後輪駆動

パナメーラSハイブリッドは、基本的なドライブ・トレインをカイエンSハイブリッドから受け継いでいる。すなわち、フロントに333馬力のアウディ製3リッター直噴V6スーパーチャージャーを縦置きし、その後ろにクラッチを挟んで47馬力の電気モーターを組み合わせるパラレル式フルハイブリッド・システムを持つ。



この方式の特徴は、クラッチを切ることでエンジンをほかのドライブ・トレインから完全に切り離すことができる点だ。時速85kmまでならエンジン停止のまま電気モーターだけで走れるのに加えて、時速165kmまででドライバーがアクセレレーターを緩め、駆動力を必要としていない時には、自動的にエンジンを停止して惰性で走る“コースティング”モードで燃費を稼ぐこともできる。

電気モーターに連なるトランスミッションはアイシン製の8段AT。ほかのパナメーラはすべてMTないしPDKだから、シリーズ中唯一のトルコンAT搭載モデルとなる。


一方、カイエンSハイブリッドとの重要な違いは、あちらが4輪駆動であるのに対し、パナメーラSハイブリッドは後輪駆動となっている点だ。その理由はいろいろ考えられるが、ひとつにはカイエンと違って車高の低いパナメーラでは、前輪のドライブ・シャフトを通すためにはエンジン下部を貫通させなければならない。ポルシェ製のV8およびV6搭載モデルでは実際にそうしているが、アウディ製V6に改造を施すには手間がかかりすぎるということか。

サンヨー製ニッケル水素バッテリーを荷室床下に積んだ結果、前後重量配分は51対49を実現。内装はノーマル・モデルと共通だが、センター・ディスプレイにエネルギー・フローを表示できるほか、回転計の始まりが0ではなくREADYとなる。


しかしその恩恵で、そもそもカイエンよりボディが軽量なうえ4駆システムも省かれて、車重は260kg軽い1980kgに抑えられている。しかも、重いニッケル水素電池をトランク床下に積んでいる災いが転じて福となり、前後重量配分は51対49という好バランスだ。こうした点が、パナメーラSハイブリッドの走りに、燃費と走りの両面で少なからぬ好影響をもたらしているようだ。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement