2023.06.23

CARS

この楽しさはヤバすぎる! ちょっと古いスポーツカーの掘り出し物、BMW Z1 今はもうこんなクルマは絶対つくれない!!

ちょっと古いスポーツカー、BMW Z8とZ1、フェラーリF355ベルリネッタに試乗!

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BMWのストレートシックスは本当に素晴らしい

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村上 乗ってみても、これがいいんだわ。やっぱりBMWのストレートシックスは本当に素晴らしいなぁ、って思えるエンジンが載っている。ステアリング・フィールもBMWらしい。重たいんだけど、すーっといくいい味が残っているし。シフトなんか、当時のBMWってすごくロング・ストロークで感触は良くないんだよね。だけどそれも懐かしくて。

島下 やたらスローなステアリングなどにはE30の時の匂いがするけれど、ハンドリングはE30じゃない。リア・サスペンションがマルチリンクになったのは大きい。

村上 E30はあんな感じじゃないんだ。僕はE36、46からしか知らない。

ドアは電動で引き込まれる収納式で、この動きにはサイドガラスも連動(独立操作も可能)するなど、デイリー・ユースに配慮した仕立てになっている。

島下 僕はE36も乗っていたので、Z1は本当にE36とE30の間だな、と思いました。シャシー的には曲がり過ぎないけれど、ショートホイールベースなので軽快感もある。その按配がいい。

上田 これまた両方のちょうどいいところにいるというか。

島下 しかもルーフが開いて、ドアを下ろせば地面も近い。この走りの感覚は本当、他にはないですよ。

上田 肘を出して乗る、往年のブリティッシュ・オープンカーみたい。

島下 そういうものの再現だったんでしょうね。でも、さすがに開けっ放しにはできないからドアを上げ下げできるようにしておこう、と。

村上 本当にベッツが考えたかどうか知らないけど、クルマ好きが考えそうなことを、そのままできちゃった時代なんだよね。Z8はアメリカ車のようなドイツ車だったけど、Z1はイギリス人のバックヤード・ビルダーがやりそうなことをドイツ人がやったっていう感じかな。

車体構造はスチールのフレーム+FRPのフロア・パネルという凝ったシャシーに、樹脂のボディ・パネルを組み合わせたもので、外皮には応力がかかっておらず、シャシー+パワートレインだけでも走行が可能だという。幌を開け、ドアを下げた時の開放感はモーガンやスーパーセブン並み。

上田 イギリス人の望みそうなライトウェイト・スポーツカー、屋根もないような、開けっ広げで簡素なものを造りたかったのかな、という気がしますね。

村上 Z1は屋根がないことが前提の作りだよね。あの幌は一時的な、簡易的なものでしかないもの。

島下 雨漏りはある程度覚悟ですね。でもZ1は普段使いしたい。箱根まで行かなくても、普段の日常が非日常じゃないですか。

村上 今見るとむちゃくちゃカッコイイしね。いやぁ、だからよかった。今日は本当に、こんな機会がなかったら絶対に乗ることがなかった。クルマ好きの造ったクルマ

村上 今日の3台に共通するのは、本当にクルマ好きがクルマ好きのために造ったクルマだっていうことがはっきり分かることだよ。

島下 ファッション・クルマ好きじゃ、こんなクルマできないですよね。

上田 そういうことができた最後の世代のクルマかもしれません。



島下 パフォーマンス的にも、今乗ると手頃で。今日はどれも飛ばして走っていないんだけど、交差点を曲がるだけでも一体感がホント堪らなかった。Z1なんて特に、アクセレレーターを戻すと、軌跡が内側に戻っていくのがありありと分かる。まさに人馬一体で、こんなんだったら誰が乗っても楽しいに決まっている。そりゃあ当時、みんな夢中になってクルマに乗ったよな、って思いましたね。

村上 クルマって、この20~30年の間にいっぱいいろんなものを背負ってきちゃったんだよね。背負えば背負うほど、重くなるし大きくなるし、ダイレクトなフィールがどんどん失われていって、なんか奥歯にものが挟まったような、安全ではあるけれど、そういう乗り物になっていってるんだよな。

上田 これが例えばケータハム・セブンだと色々大変だけど、ちょっと古いクルマたちはガマンしなくても失ったものをまた体験できる。

島下 セブンは年式問わず、中身はまさに古いクルマだもんね。だから“ちょっと”というのがポイント。

村上 本当、それをこの3台は思い切り実感させてくれましたね。

話す人=島下泰久(まとめも)+村上 政(ENGINE編集長)+上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=郡 大二郎 協力=スクーデリア46



■BMW Z1
駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 3921mm×1690mm×1277mm
ホイールベース 2447mm
車両重量 1250kg
エンジン 水冷直列6気筒SOHC
排気量 2494cc
最高出力 172.4ps /5800rpm
最大トルク 22.6kgm/4300rpm
トランスミッション 5段MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット
       (後) マルチリンク
ブレーキ(前) 通気冷却式ディスク
    (後) ディスク
タイヤ(前/後) 225/45ZR16/225/45ZR16
発表時車両本体価格 約8万5000マルク

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(ENGINE2023年7月号)

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