フェラーリF355、BMW Z8とZ1　いま、ちょっと古いクルマが面白い！【エンジン編集部長期リポート 79号車ポルシェ911カレラ4S（996型）#61】

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エンジン編集部の長期リポート79号車／ポルシェ911カレラ4S（996型）

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エンジン編集部の長期テスト車、79号車のポルシェ911カレラ4S（996型）、今月は特集の取材で仲間と一緒に撮影しました。編集部にもあります、ちょっと古いクルマ。特集のロケで仲間3台が集まったついでに、79号車を中心にしてパチリ。みんな見た目も乗り味も濃厚です。79号車を担当するエンジン編集長のムラカミがリポートする。

目からウロコ

特集に登場した3台は、BMW Z1が1990年型、フェラーリF355が1997年型、BMW Z8が2000年型だったので、2005年型の79号車が一番新しいことになる。とはいえ、もはや18年前のクルマなのだから、フツーの中古車というには古く、ヴィンテージというにはまだ新しい、まさに特集でターゲットにしている“ちょっと古いクルマ”にドンピシャな1台だ。

この4台を乗り比べてみると、F355とZ8の間に、時間軸の上での大きな溝があるように感じた。つまり、Z1とF355はとても程度の良い状態に保たれた個体ではあったが、そうはいっても四半世紀を経過してモデル自体がすでにヴィンテージの域に入り始めており、デイリー・ユースのための1台とするには、やや我慢や苦労を強いられる面があるだろうことは容易に想像できた。

それに対して、Z8と79号車は、間違いなくデイリー・ユースが可能なクルマだ。実際に長期リポートとして足に使っている79号車はともかく、Z8の今でもシャキッとした剛性感の高さや運転のし易さ、そしてなによりルーフを開けて片肘をドアに乗せながらクルージングする時の気持ち良さは、目からウロコが落ちるくらいに新鮮なもので、これに乗っていたらさぞやイベントフルな毎日が過ごせるだろうな、と運転しながら夢想してしまった。

もっとも、今では希少車として世界的に大人気で、価格的には完全にヴィンテージの領域に入っているようだし、このモダン・クラシックなデザインはあまりに派手すぎて、毎日乗るには人目が気になってしまうに違いない。そういう諸々を考え合わせても、やはり79号車は“ちょっと古いクルマ”として今、日常的に乗るのにベストな1台であり、これを6年前に選んだ私には先見の明があったと胸を張りたい気分である。

それにしても今回の4台、どれも見た目はもちろん、ちょっと乗っただけでわかるくらいに乗り味が濃い。そして味の濃さだけで言うなら、正直なところ溝の向こうにいるZ1やF355の方が上だ。この味の濃淡は、自分でクルマという機械を操っているという感覚の強弱からくるのかも知れない。クルマの楽しみは何でも便利ならいい家電製品の価値とは、まったく別のところにあるのだ。

文＝村上政（ENGINE編集長）　写真＝郡大二郎

■79号車／ポルシェ911カレラ4S（996型）
PORSCHE 911 CARRERA 4S
購入価格（新車時）：340万円（1244万2500円）
導入時期：2017年4月
走行距離（購入後）：12万3136km（4万1235km）

（ENGINE2023年7月号）

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