『ENGINE』8月号では「2023年、推しの1本はこれだ!」をテーマに時計を大特集(前篇)。編集部が信頼する時計ジャーナリストと目利きたちでエンジン時計委員会を結成し、時計好きとしての原点に立ち戻り、2023年のイチオシの時計について、その熱い想いを打ち明けてもらった。
今回はハリー・ウィンストンから、新合金ザリウムを使用した「プロジェクトZ」シリーズの16作目となる「プロジェクト Z16」を紹介する。
愛らしきパグ顔?
高木教雄(時計ジャーナリスト)大学のゼミで学んだのは、材料力学。だからプロジェクト Z シリーズが用いる新合金ザリウムには、2004年に初登場した時から興味津々だった。これまでさまざまな機構が登場してきたが、今回搭載したのは日・月・曜日のトリプルカレンダー。ポインターデイトに2つの窓による月・曜日表示という組み合わせは、極めて古典的である。なのに建築や橋の構造体に似たフレーム構造のスケルトンダイアルによって一気にモダナイズしているのが、さすが。暦表示の2つの窓が目に、30秒レトログラードが口に見えて、ちょっとパグの顔みたいだと思ったのは、きっと私だけじゃないはず。うん、愛らしい。ダイアルに歯車やレバーを覗かすメカメカしさは、機械好きの琴線に触れる。文字盤に見る街の風景
野上亜紀(時計&宝飾ジャーナリスト)
ジュエリーはもちろん、時計においてもハリー・ウィンストンは自らの拠点地“ニューヨーク”をデザインのインスピレーションとしてきた。例えばジュエリーでは有機的に描かれていた街の風景が、時計においては一気にグラフィカルなイメージへと転身する。この「プロジェクトZ」の16番目となるモデルも、文字盤に張り巡らされたかのような構造的な街の表現で、ブランドの多面性を感じさせてくれる存在だ。トリプルカレンダーとなった今作では、めずらしくポインターデイトを取り入れた点も秀逸。オープンワークでごたつきがちなレイアウトの中、すっきりと視認性を高めるというハリー・ウィンストンならではのデザイン上の配慮にも脱帽します。攻めの姿勢が好き
菅原 茂(時計ジャーナリスト)次は何が飛び出すのか、期待感をかき立てるのがうまいハリー・ウィンストン。今回もやってくれました! 時計部門の創設時からデザインやムーブメント、素材の希少性を重視し、常に非凡な個性を追求してきたが、プロジェクトZシリーズ最新作は見事に方針通り。ニューヨークの都市景観を連想させるスケルトンのデザイン、カレンダーや秒表示がユニークな複雑ムーブメント、そして独自のハイテク素材がこんな姿の時計を創り出した。同シリーズの愛好者にとってはまだ物足りないかもしれないが、それでもパワーみなぎるというか、圧倒的な存在感を放って迫ってくる。常に攻めの姿勢を貫くハリー・ウィンストンって、ホントすごいな。ハリー・ウィンストンプロジェクト Z16「プロジェクトZ」は、アルミニウムとジルコニウムで構成されるハイテク特殊合金のザリウムをケースに用い、大胆なダイアルデザイン、複雑機構を組み合わせた代表作のひとつ。16作目となる最新作の魅力は、カレンダーやレトログラードの秒表示を含む独特のデザインを引き立てるブラック、ブルー、レッドの色使いだ。自動巻き。パワーリザーブ約65時間。ケース直径42.2mm、10気圧防水。世界限定100本。333万3000円。2023年秋発売予定。問い合わせ=ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション Tel.0120-346-376(ENGINE2023年8月号)
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