2023.07.12

CARS

ちぎれかかった足周りのゴムブッシュに唖然! ここが小カングーの弱点だった!【エンジン編集部の長期リポート37号車:ルノー・カングー(2007年型)#7】

2カ月の長期入院から復帰を果たした37号車のカングー。詳しく調べてみると、あちこちに問題が。今回のリポートでは、見つかった不具合箇所を深掘りする。

無事帰還!

修理期間、約2カ月。費用は総額、税込47万4000円。長い時間とけっこうな金額になったものの、37号車のカングーは、ほぼ元の状態を取り戻して編集部に戻ってきた。 修理をお願いした原工房にクルマを引き取りに行き、細々と修理内容の説明を聞くと、いろいろなことがわかってきた。驚いたことや興味深いことなど、せっかくなのでなるべく全部リポートしようと思うが、はじめにことわっておくことがひとつだけあるので、まずはその話から。



それは、編集部のカングーのようなそろそろパーツによっては正規品の供給が終わっているものもある車種は、不具合の部位や状態によっては修理期間も修理代もまちまちで、簡単に解決できることもあれば、そうでないこともある、ということをまず理解しておく必要がある。原工房によると、時間がかかりそうだと聞いて怒ってしまう人もいるらしいが、日本車の日帰り車検のようなわけにはいかないのが、ちょっと古い輸入車の難しいところであり、いいところでもある。あばたもえくぼみたいなもので、四苦八苦するかもしれないが、それも含めて楽しむくらいの余裕が必要というわけだ。

熱の餌食

さて、本題。今回はカングー特有、というか古いクルマの問題点あるあるについて。上の写真はフロントタイヤを内側から撮影したものだが、いまのクルマならみんな付いている部品がこの世代のカングーにはないことがこの写真でわかる。答えは、ブレーキディスクの遮熱板。普通ならこのアングルから撮影しても遮熱板に遮られてディスクは見えない。つまり遮った方がいい熱が遮られていないわけで、これが元でトラブルが起きやすくなる。37号車もこの熱の餌食になった(笑)。

上の2点は、交換したロアアームとタイロッドエンドのボールジョイントの部分を別の角度から撮影した写真だが、これを見るとどちらもブレーキディスクとの距離が非常に近いことがよくわかる。

上の写真、右側はタイロッドエンド、左側はロアアームのどちらも新品に交換されたボールジョイントの部分を撮影したものだが、これではっきりわかるのは、いずれのボールジョイントもディスクローターに触れんばかりの近さにあることだ。サーキットでは真っ赤になったディスクを目にすることもあるが、遮熱板無しで高温にさらされ続けたボールジョイントのゴムブッシュは、ディスク側から劣化が始まり、亀裂が入って、ちぎれることがよくあるそうだ。37号車はまさにそういう状態だった。原工房によると、ルノー車はほかのフランス車と比べてボールジョイントの位置がディスクに近く、この年代の遮熱板のない車種は、たいていのクルマがゴムブッシュが劣化してガタガタになっているらしい。

パックリと亀裂が入って千切れかかっているロアアームのブッシュ。ボールジョイントのゴムブッシュは、加熱と冷却を繰り返すことでディスク側が硬化して、ちぎれてしまうことが多いという。

新車時の乗り心地を取り戻したいと、足回りのゴムブッシュを全交換する強者もときにはいるらしいが、費用も莫大なことは言うまでもない。もちろん編集部のカングーは、不具合のある部分だけの修理にとどめている。まだまだ続く修理報告。次号では、ハブベアリング交換の詳細をリポートする。

文=塩澤則浩(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

■37号車 ルノー・カングー
RENAULT KANGOO
新車価格 214万円
導入時期 2007年8月
走行距離 2万8120km

(ENGINE2023年8月号)

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