『ENGINE』9・10月号では「2023年、推しの1本はこれだ!」をテーマに時計を大特集(後篇)。編集部が信頼する時計ジャーナリストと目利きたちで結成したエンジン時計委員会のメンバーのみなさんに、時計好きとしての原点に立ち戻って、2023年のイチオシの時計について、その熱い想いを打ち明けてもらった。
今回はモーリス・ラクロアから、2013年の初代モデル発売から10年の時を経て復活を果たした「ポントス S ダイバー」を紹介する。
足るを知るということ柴田 充(時計ライター)学生時代はダイビングクラブに所属し、ダイバーズウォッチとのつきあいは40年以上になる。この間、スペックアップする内容に目を見張る一方、そこまではいらないんじゃないかとも思う。そんな気分に応えてくれるのが新しい「ポントス S ダイバー」だ。防水性も前作の600mから300mにデチューンし、ケースは43mmから42mm径、厚みも15mmから12mmに抑えた。過不足ない機能に装着感も快適で、インナーベゼルもダイバーズの仰々しさがない。とくに気に入ったのは粒子状のセンターサークルの仕上げだ。夏合宿に行った伊豆七島の黒砂浜を思い出させ、ノスタルジーもかき立てられる。こんな時計をつけていたら絶対に深海探査ツアーなんかにはいかない。ダイバーズが語る未来
野上亜紀(時計&宝飾ジャーナリスト)10年の時を経て、再登場したダイバーズモデル。この時計が謳うように、“都会的なスタイリング”を叶えてくれる時計である。新たなオレンジのカラーリングに加えて、特筆すべきは30気圧防水にもかかわらず、この薄さ。袖口にも収まるスタイルが、日常によく似合う。かつ、こうしたスポーツモデルに欠かせないのは、アスリートたちの経験値。現代にいたるまで時計の歴史上、女性冒険家たちがその姿を見せた例も少なくはないが、多くはない。今仕事をきっかけにプロモーション映像を改めて見たが、21世紀の今、海の中を舞うと呼ぶにふさわしいリディヤ・リジクの姿は見ているだけで心が弾む。ちなみにこの時計には限定でブロンズモデルがあるが(現在は完売)、欲しい!と素直に思ってしまいました。ビキニ美女が作った時計
松尾健太郎(「THE RAKE JAPAN」編集長)モーリス・ラクロアのアンバサダーであり、「ポントス S ダイバー」の開発にも携わったリディヤ・リジクについて調べてみた。なぜなら私は、浅尾美和や浅田舞など、スポーツ系美女に目がないからだ。1981年、クロアチア生まれのリジクは、フリーダイビング選手として5回も世界記録を塗り替え、2017年には標高4,130mのヒマラヤ山脈の湖で、厚さ30cmの氷の下、123mもの距離を泳ぎきり、ギネスブックにも掲載された。現在41歳だが、その容姿にいささかの衰えもない。3万7600人のフォロワーを誇るインスタグラム(instagram.com/lidija_lijic_/)には、大胆なビキニ姿の写真が数多くアップされている。時計の開発も、こんな美女と一緒なら楽しそうだ。
モーリス・ラクロア
ポントス S ダイバー
2013年に発表され、生産終了になっていた名作が復活。最新作は、内転式のベゼルを特徴とするアイコニックなデザインを継承しながら、防水性能やサイズなどを改良したものだ。開発段階でフリーダイバーの世界チャンピオン、リディヤ・リジクに監修とテストを依頼して、完成度を高めた。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径42mm、300m防水。ラバーストラップ2本とファブリックストラップの計3本が付属。26万6200円。問い合わせ=DKSHマーケットエクスパンションサービスジャパン cg.csc1@dksh.com写真=宇多川 淳(ENGINE2023年9・10月号)
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