2023.08.30

CARS

ランボルギーニ初のEVとなる「ランザドール」はSUV仕立ての2ドアGT 2028年に正式発表予定

ランボルギーニが2028年に市販を予定しているブランド初の電気自動車=バッテリーEV(BEV)、「ランザドール」のコンセプト・モデルをアメリカで開催されたモントレー・カー・ウィークで初公開した。

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SUV色の強いデザイン

ランザドールはSUVのように最低地上高を高めに設定した2+2のGTモデル。現在市場で人気のSUVクーペ的なスタイリングを有する。2つドアを持ち、全高は約1.5m。発表の場に現れたステファン・ヴィンケルマン会長兼CEOはこれを「ウルトラGTという新たなカー・セグメント」だと語った。



宇宙船から着想を得る

ランボルギーニのスーパーカーと同じ流れを汲むモノフォルムのエクステリアは、スーパースポーツのサイズを土台に宇宙船から着想を得てデザインされた。デザインには「セストエレメント」や「ムルシエラゴ」、「クンタッシLPI800-4」といったランボルギーニの各モデルのエッセンスが盛り込まれた。塗装色は専用開発のアズーロ・アビサレ(深海の青)だ。

インテリアは外観以上に宇宙船らしさが反映されている。SFチックなスイッチや左右前席の前にディスプレイを埋め込んだダッシュボードが未来感を演出している。一方で本物のレーシングカーのドライビング・ポジション」を実現するべく、運転環境はウラカン・ステラートをベースに構築されている。



EVならではのレイアウト

短いボンネットの下には容量の大きそうな荷室を設定。リアにもフラットなフロアを持つ荷室が備わる。ガラス製の大型テールゲートを備えるため、後部荷室へのアクセス性は良好そうだ。後席はヘッドレストを天井に設置したことで、独立2座の大ぶりなシートの背もたれが容易に前倒しできる。スーパーカー・サイズでも巨大なエンジンが不在のEVでは広く使い勝手のいいスペースが得られるという好例だ。

また、内装材にイタリア製のサステナブル素材が多用されているのも特徴。オリーブオイル生産時の排水でなめしたレザーや天然素材のメリノウール、カーボンやプラスチックの再生素材、リサイクル原料を用い3Dプリントしたシート・フォームなど品目は多岐にわたる。



3つ以上のモーターで1360ps以上を発生

駆動用モーターは前後に複数個のモーター搭載し、最高出力は1メガワット、すなわち1360psを上回ることが保証されている。バッテリーには新世代の技術を用い、具体的な数字は示されていないものの、かなりの長距離走行が可能とされる。

リアには2基のモーターが左右後輪へ異なるトルクを配分するアクティブ制御のトルクベクタリングを備える。さらに、4輪を個別調整するホイールスピード・コントロールも導入し、正確なターンインや、強力な加速を維持したワインディング走行を実現するという。



3つの制御で走りを支える

走りを支える制御要素は3つ。まずは電子制御システムのLDVIで、今後は大幅に増加させたセンサーやアクチュエーターと統合してハード面だけでなく各ドライバーに応じた制御アルゴリズムも緻密に管理し、ドライビングの精度や正確性を高める。

次がアクティブエアロ。ウラカン・ペルフォルマンテやアヴェンタドールSVJに採用されたALAシステムで、フロントのエアシャッターと可動式スプリッター、Sダクトやエアカーテン、リアのブロウンスポイラーやディフューザーとエアブレードといった各要素を統合制御し、走行性能と航続距離の向上に寄与する。

最後がアクティブサスペンション。後輪操舵やエア・サスペンションを駆使し、路面状況やドライバーが設定した走行スタイルにシャシーを最適化する。こうした技術はランザドールのみならず、将来のランボルギーニ各モデルにも導入される。

市販車の発表は2028年の予定。今から2年以上前に、「ブランドの精神と魂に忠実であり続ける高性能な電動ランボルギーニ・モデルを10年以内に提供する」としたランボルギーニの公約はどうやら果たされそうだ。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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