2023.09.22

CARS

犠牲を強いる軽量化は軽量化ではない! ガヤルドの軽量化版、LP570-4スーパーレッジェーラとはどんなクルマだったのか?【『エンジン』アーカイブ蔵出しシリーズ ランボルギーニ篇#1】

格段に洗練された乗り味

試乗はサーキットのみで行なわれた。1周4km強のコースを、インストラクターの運転する先導車について数台のテスト・カーが1周ごとに順番を入れ換えながら走る方式だ。 思い切り低い位置にあるバケット・シートに深く座り、4点式シート・ベルト(日本仕様は3点式のみ)で身体を締め上げると、まるでレーシング・カーに乗っているような気分になる。ただし、すこぶる高級仕様の、だ。なにしろ、エアコンもパワー・ウィンドウも外されていないのだ。ランボルギーニは、何かの犠牲を強いる軽量化は軽量化ではないと考えているのだという。

advertisement


走り出して気づいたのは、見た目通り中身も超スパルタンでガチガチに固められた足を持っていた先代とは比較にならないくらい洗練されたスポーツカーに生まれ変わっていることだった。ワンメイク・レーシング・カーのトロフェオで得た技術を移植したという足は、かなり固められているものの、決して乗り心地を犠牲にしていないし、何より室内に進入してくる騒音や振動が格段に減った。ステアリングやペダル類なども先代より軽く扱い易くなっている。



そもそも、LP560‐4になった時点でハンドリング性能は大幅に向上していたが、軽量化のおかげでそれがさらに鮮明になった印象だ。ステアリングはセンター付近の遊びが少なく、切り始めがシャープなうえ、ボディの動きもすこぶる速い。といって、決して神経質なわけではなく、軽快感と安定感が実にいい感じでバランスしている。スポーツやコルサ・モードを選べば、自動姿勢安定装置の介入が遅くなるから、リアを少し流し気味にして向きを変えることも可能だ。さらに腕があれば、4WDであっても、かなり深いドリフト・アングルをつけることができるのは、上の写真を見ての通りだ。

一方、直線では、飛ばせば飛ばすほど、路面に吸い付けられていく感覚がある。バンパーの形状変更などにより、ダウンフォースはLP560比50%も向上しているという。

運の悪いことに、この日は昼から雨になったが、フルウェットでもグリップを失わない専用開発のピレリPゼロ・コルサとフルタイム4WDの組み合わせの威力に舌を巻いた。

できることなら一般道でも、格段に洗練された新型スーパーレッジェーラの乗り味を試したかったが、それは夏前の日本上陸までお預けである。

文=村上 政(ENGINE編集部) 写真=アウトモビリ・ランボルギーニ

■ランボルギーニ・ガヤルドLP570-4スーパーレッジェーラ
駆動方式         エンジン・ミド縦置きフルタイム4WD
全長×全幅×全高      4386×1900×1165mm
ホイールベース           2560mm
乾燥重量              1340kg
エンジン形式     アルミ製直噴90度V型10気筒DOHC40バルブ
排気量               5204cc
ボア×ストローク        84.5×92.8mm
最高出力          570ps/8000rpm
最大トルク        55.1kgm/6500rpm
トランスミッション  6段シーケンシャル・マニュアル(eギア)
サスペンション(前)   ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後)   ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ         (前後)通気冷却式ディスク
タイヤ   (前)235/35ZR19、(後)295/30ZR19(ピレリPゼロ・コルサ)
車両本体価格        2774万5000円(税抜き)

(ENGINE2010年6月号)

▶エンジン・バックナンバーおすすめ記事をもっと見る

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement