2023.09.14

CARS

アルファ・ロメオの名車、4Cはどのようにして生まれたのか? 誕生前夜の4Cを解剖、解読する!【『エンジン』蔵出しシリーズ アルファ・ロメオ篇#1】

ジュネーヴ・ショウに突如現れたアルファ・ロメオのコンセプト・カー“4C”。アルファが手がけた麗しくも力強いスタイリングは問答無用でクルマ好きを虜にした。しかも、それはカーボン・センター・モノコックを使って、わずか850kgしかなく、何より驚いたのは、500万円という激安価格で、翌年夏には市販されるとアナウンスされたことだった。どのようにしてそれほど安く、しかもそんなに早くまったく新しいモデルを登場させることができたのか。4C誕生前夜の様子をリポートした蔵出し記事を、2011年6月号に掲載された巻頭特集「あたらしい時代のトップ・ランナーたち!」からお届けする。

2011年6月号「あたらしい時代のトップ・ランナーたち!」4Cを解剖、解読する!

フェラーリFFの試乗会へ向かう機上で、珍しく英字新聞を読んだ。日本の原発事故関連の記事がないかなと思ったからだったのだけれど、それとは関係のない記事に目がとまった。インターナショナル・ヘラルド・トリビューンが“ダラーラ”を大きく取り上げていたのだ。

トリノに統合されたフィアット・グループのデザイン・スタジオのアルファ担当チーフであるマルコ・テンコーネ率いるティームがスタイリング開発を行った。とても全長4mとは思えないほど流麗で、しかも強い。

ダラーラはモーター・レーシングの世界に興味のある人間にとっては馴染みのある名前だ。けれども、そうでないひとには、「なにそれ?」かもしれない。遠く1960年代にフェラーリやランボルギーニで航空力学を修めたエンジニアとして活躍したジャン・パオロ・ダラーラが、1972年に独立して、郷里パルマの近くに設けたレーシングカー用シャシー開発製造会社が、ダラーラ・アウトモビリである。

そのダラーラがインディ500レースで有名なインディアナ州スピードウェイ町の目抜き通りに今年、新しい技術センターを開設するというので組まれた記事だった。ダラーラがインディ・カーの2012シーズン用のシャシーを一手に引き受けることになったのを受けての北米拠点進出らしい。ダラーラはそのインディ・シリーズだけでなく、GP2でも、ワールド・シリーズ・バイ・ルノーでも、北米のグランダム・シリーズでも、シャシーの単独独占供給を行っている。来年始まるGP3もそうだ。ワンメイク規定ではないF3においてさえも事実上の独占状況にある。それぐらい彼らの設計開発技術と、それを適価(=低価格)で安定的に供給できる能力が業界では高く評価されているのだ。レース界では超一流の大企業なのである。その記事を書いたリポーターは、レース専門誌から「レース界で最も成功し、それでいて最も過小評価されているコンストラクター」という1文を引用してダラーラを表現していた。

ダラーラはレースの世界だけでなく、市販車(主にスーパー・スポーツカー)の開発においても有力なエンジニアリング・シンクタンクとして信頼を得ていて、フェラーリやマゼラーティ、アウディ、ブガッティなどが協力を仰いでいる。

市販型にきわめて近いというエクステリアと違って、インテリアはショウ・カー然としている。メーター周りはモーターサイクルがヒントになっているという。機構的な無理はなそうだから表層素材の変更のみで生産型に採用されれば嬉しいが、500万円ほどという市販予定価格を考えると難しいか。写真=佐藤靖彦

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