2023.09.20

CARS

いいわけ要らずに選べるアルファ・ロメオ ジュリエッタとはどんなクルマだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ アルファ・ロメオ篇 #2】

156、147の後、これぞと言えるようなモデルがなかなか登場しなかったアルファ・ロメオ。そんなやきもきしていたファンの前に現れたのが、並いるライバルたちと同等、いやそれ以上の実力を備えたジュリエッタだった。今回の『エンジン』蔵出しシリーズのアルファ・ロメオ篇は、2010年9月号に掲載されたジュリエッタの国際試乗会のリポートをお届けする。

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いいわけが要らないアルファ!

最初はそんなでもなかったのに、2度目に会ったら、もうだめだった。ジュリエッタ。ジュリエッタ。心のなかでつぶやいている自分がいる。1日いっしょにいたら、もうすっかり魂を奪われていたのだった。



ボーっと見惚れていた。快晴の北イタリア。照りつける日差しの下、キラキラと光るジュリエッタに魂を奪われていた。

「どうして、あのとき気づかなかったんだろう? ジュネーヴ・ショウでも見ているのに。こんなに魅力的だったなんて」。バロッコで再会したジュリエッタは俄然、輝いていた。

絶世の美女ではないかもしれない。でも、ひとたびその魅力にやられてしまうと、目を離したくなくなる。いつまでも、見つめていたくなる。

しかも、ジュリエッタは、見た目だけのクルマではなかった。走らせてみたら、もっと良かったのである。



妹のミトも欠点の少ないクルマだ。でも、厳しい目で見れば、バネ下の重さが時として気になったりするし、ハンドリングだって、クラス・ベストとはちょっといいがたい。ところが、このジュリエッタは違う!

上品で、誰よりも物静かに振舞うこともできるし、そうかと思えば快活な美声で歌うこともできる。人当たりは優しく穏やかなのに、踊らせれば誰よりも麗しい身のこなしを披露する。優美に舞う。欠点がない。

欠点がないクルマはともすると、つまらなかったりすることもあるけれど、ジュリエッタに限っては、そんなことも全然ない。素晴らしい!

どうやったら一緒にいられるようになるだろうかと、意中の女性との来るかどうかもわからぬ未来に想いを馳せ続けずにはいられなくなる。これってひょっとして、恋ですか?

それはともかく、こんなにデキのいいアルファって、何年ぶり? というより、そもそもこれまでにあったの? アルファとしては、という但し書きの中ではなく、強豪ひしめく欧州Cセグメント・カーのなかで、ひいき目一切なしに比べて、どの分野でも優秀と認めざるをえないアルファが、ここに生まれたのだ。

ジュリエッタ3態。左から120ps、170ps、そして235psのガソリン・エンジン搭載モデル。

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