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2024.01.13

CARS

グランドチェロキーは、どんなジープだったのか？　実はラグジュアリーSUVの第1号だった！　オンロード性能を大幅アップして大胆に進化【『エンジン』蔵出しシリーズ・ジープ篇】

九島辰也

2010年モデルのジープ・グランドチェロキー。

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は2010年9月号に掲載されたサンフランシスコで行われたジープの海外試乗会の記事をお送りする。このとき、4年ぶりにフルモデルチェンジしたオフロードの代名詞、ジープの旗艦グランドチェロキーはどんな進化を遂げていたのか。


大きなジープ

大きなジープ。日本ではグランドチェロキーのことをそんな風にとらえている傾向がある。ラングラーを乗りやすくイマドキ風にしたもの、といったところが大方の印象だろう。が、このクルマこそSUVのあるべき姿を開拓してきた。グランドワゴニアの血統を引き受けながら現代的ラグジュアリーSUVをアピールした第1号なのだ。

エアサスを初採用　5段階の車高設定ができるエアサスを採用。アプローチ・アングルは34.3度、ディパーチャーは27.3度。

たとえばそれは95年にカンヌ映画祭でCM大賞をとったことからもわかる。ロールズ、フェラーリに続いて、大邸宅に入っていく映像がそれだ。もちろん、門の前には大きな岩山がつくられていたが……。

そんな初代から17年経ち4世代目が登場した。日本導入は年末のようだが、いまからチェックすべき対象であることは間違いない。

では、今回の目玉はなにか。それをひとことでいうならオンロード性能アップを見込んだ新設計のシャシーだろう。いってしまえば、ダイムラーとの最後の契約となるMクラスとの共有化だ。

高級素材を採用し、ディテールへの配慮を一層強化したというインテリアはシンプルなデザインに好感を持った。

ただ、これに関しジープ側はおよそ30％の共有と言葉を濁している。まぁ、すでに離婚しているふたりのことだからそこはあまり触れられたくないのが正直なところだろう。

ジープ・ファンには見逃せない部分は4輪独立懸架式サスペンションだ。フロントはまだしもジープのリア・サスはリジッドが常識（パトリオットは別ね）。モーグルやロック・セクションにおいて、片方が上がると片方が下がるその優位性は周知の事実とされる。すでに脚を独立化されている某SUVもコンピューターでリジッドの動きを出すようセッティングされているほどだ。ジープ・ファンは許容しなければならないかもしれない。新興SUVが4独を売りにパッセンジャー・カー並みの快適性をうたい続けているのだからしょうがない。オンロード志向のマーケットにとって“リジッドアクスル”なんてワードは死語に等しい。

それはともかく、生まれ変わったグラチェロはエンジンもニュー。3.6リッターV6はなんとDOHC！　考えてみると、これもジープ初だ。それにご丁寧に可変バルブタイミングを搭載する。要するにワールド・スタンダードとなったのだ。

V8はクライスラー300Cでもお馴染みの5.7リッターの気筒休止システム付き。ただ、とりあえず日本仕様の設定はないらしい……。

第4世代となる新型は2009年春のニューヨーク・ショウでデビュー。4822×1943×1764mm。ホイールベース＝2915mm。車重2191kg。伝統の卓越したオフロード性能と洗練されたオンロード性能を両立するため、前後に新型独立懸架式サスペンションを採用するほか、電子制御の4WDシステム、エア・スプリング、トラクション・コントロールなどが新設計された。

スペックを解説しているとスペースが足りないのでインプレに話を進めるが、結論からしてこいつの出来映えはけっこういい。V6のスムーズさと独立懸架の乗り味は「いいじゃん！」ってところに落ち着く。

これには最近のSUVに乗り馴れたことが関係する。試乗記を書くような一線で活躍しているSUVのプロファイルはどれもそうだからだ。要するに“ジープらしさ”を求めるならラングラーに乗りなさいということになる。

それでも38度のダウンヒルをさせられればやっぱ「これぞジープ」となる。これだからジープはすごい。なので、もう文句をつけるのはやめにする。

文＝九島辰也　写真＝クライスラー日本

環境性能向上のためにエンジンのダウンサイジングが図られ、新たに3.6リッターV6（286ps/6350rpm、36.0kgm/4300rpm）が採用されている。トランスミッションは5AT

（ENGINE2010年9月号）

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