2023.11.08

CARS

フェラーリ296GTSとGTBを乗り比べる! 2台同時に試乗してはじめて296の魅力の本質が見えてきた!!

フェラーリ296GTSとGTBに試乗!

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新時代を切り開くV6+電気モーターのミドシップ・フェラーリ、296。そのシリーズに、ベルリネッタのGTBに加えて、スパイダーのGTSが加わった。さっそく2台をあわせて借り出して、モータージャーナリストの島下泰久氏とエンジン編集長のムラカミがいつもの箱根までドライブしてきた。

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語るべきポイントが沢山ある!

村上 今日はフェラーリの最新V6+電気モーターのミドシップモデル、296のGTS、すなわちスパイダーが日本に上陸したということで、このGTSと、先に入っていたGTBすなわちベルリネッタの2台の広報車を借り出して、いつもの箱根ターンパイクに行ってきました。



島下 村上さんは行きがGTS、帰りはGTB。私はその逆で都内から箱根までドライブしてきたんですが、いやはやこのクルマは語るべきポイントが本当に沢山ありますね。

村上 実は僕はル・マン24時間レースの時に、フェラーリの本拠地マラネロからル・マンまでの1200kmを走る「ロード・トゥ・ル・マン」というツアーに参加したのですが、その時にGTBとGTSの両方に乗っている。今回はその時の印象を改めて確認した感じがします。すなわち、このフェラーリ296は、とりわけGTSが素晴しいと思った。

島下 ヨーロッパと日本で乗って、どこがそんなに刺さりましたか?

村上 今回のV6プラグインハイブリッドのユニットの大きな魅力のひとつは音なんだなって、GTSに乗って改めて実感した。低いところから高回転まで音色が変わっていく様だとか、想像以上に激しい音圧とかね、音の楽しみっていうのがこのパワートレインの最大の魅力なんじゃないかって。GTSはそれを一番、カラダ全体で実感できるよね。



島下 実は私もGTSは2度目だったんですが、まさに同じように、コレは音だなって思ってたんです。GTBの時もスムーズだしトップエンドでは吠えるしイイなって思っていたんですが、2台一緒に乗ると、特にGTSは際立つなって。

村上 2台で意外と違うんだよな。正直、ルーフを閉めていてもGTSの方が良かった。実はル・マンの時もそう思ったんですよ。GTSの方が常にいい音が聞こえるって。

島下 ルーフを開けたときのGTSって風の巻き込みは決して皆無じゃない。速度を上げていくと、それなりにうるさくもなってくる。それもあって今日走ったワインディング・ロードみたいにその手前の適度な速度で、1段低いギアでエンジンを回して走らせるのが、このクルマは一番いいなって思いました。必ずしもエンジンは回さなくても気持ちいいんですけど、GTSだともっとエンジンを味わいたくなる。

ル・マン・カーとの共通性

村上 本当にそうだよね。GTBでも何の不満もないんだけど、それにあの気持ちよさがプラスされるのは大きな魅力だよ。それとル・マンで思ったんだけど、ハイパーカーの499Pは同じV6ターボのハイブリッドでバンク角も120°。296のものと共通点が多い。そんなマシンでル・マンを制した現場に居合わせたものだから、296の魅力が3倍増、5倍増、いや10倍増になって返ってきた感じがありましたね。

GTSはGTB同様、フルデジタルのメーターを始め最新フェラーリの文法に則った内装を持つ。

島下 まんまとフェラーリの術中にハマッてますね(笑)。でも、V12こそが正当だとか、やっぱりV8じゃないとっていうのも分かるんだけど、レース直系であることがフェラーリのパワートレインの価値だと言うならば、これ以上のものはないですもんね。でも、そうした思い入れを抜きにしても、GTSで味わうこのエンジンは、GTBでの印象以上に訴えかけてくるものを感じました。

村上 エモーショナルな部分のプラスがすごくあるよね。

島下 今のクルマは絶対性能が高すぎて、それを極めることで絶頂感みたいなものを味わわせるのって難しいですよね、なので、ルーフが開くというのはとてもいいソリューションだなと改めて感じました。

村上 あれだけハッキリ、屋根が開くことのメリットが伝わるクルマは珍しい。ちょっと驚きだよね。一方、デメリットはと考えると、これがほとんど無い。シャシーの剛性感はGTBと変わらないし。もしかしてデメリットかもしれないと思ったのは車重が70kg重くなっていることなんだけど、正直言って一般道ではその違いを僕はまったく感じなかった。車検証を見て、やっぱり重いんだって思っただけ。でもサーキットで乗ったら結構差を感じるだろうね。

アセット・フィオラノのシートはカーボン製。

島下 296GTBの国際試乗会では、確かにそんな経験をしましたね。でもまさに、一般道では違いはほとんど無い。モーターのレスポンスだったり、ボディの剛性だったり、色々な要因があると思いますけど。

村上 そんなメリットとデメリットがあるとして、じゃあ皆さんはどういう使い方をするんだろうと考えると、たとえGTBでもサーキットをガンガン走ろうっていうのを目的に買う人ってそうはいないよね。それならば、つまり一般道で走るんだったら、GTSの方が楽しみは大きいかなっていう気が僕はしました。

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