2023.10.08

LIFESTYLE

「第1位は誰か?」 日本人のエントリーは最多の10名! もうひとつのショパン・コンクール「ショパン国際ピリオド楽器コンクール」はこう楽しむ

前回の第2位、川口成彦

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10月5日よりポーランドのワルシャワで開催が始まった第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール。聴き手をショパンの時代へと誘う、その楽しみ方を伝える。

コンクールはオンラインでも


5年に一度ショパンの故郷ワルシャワで開催されるショパン国際ピアノ・コンクール。1927年創設の長い歴史を備えたコンクールは歴代の優勝者、入賞者の多くが国際舞台で活躍することで有名となり、いまや「世界一のコンクール」と称される。

2018年、これにもうひとつのショパン・コンクールが加わった。ショパン国際ピリオド楽器コンクール(以下ショパン・ピリオド・コンクール)と名付けられたもので、5年に一度の開催。第2回が今年10月5日から15日までワルシャワで開催される。

ピリオド楽器とは作曲当時の楽器を意味し、オリジナル楽器または古楽器とも呼ばれる。現代のピアノにくらべ、音色は非常に優雅でかろやかで繊細。ショパンは鍵盤を叩くことを嫌い、あくまでもエレガントな響きを愛したといわれ、ショパン・ピリオド・コンクールでも審査の基準はショパンの奏法に可能な限り近いものが要求される。



第1回はポーランド出身のトマシュ・リッテルが第1位、川口成彦が第2位を獲得し、大きな話題を呼んだ。これに続く第2回は日本人のエントリーが10名ともっとも多く、ポーランド人(6名)、イタリア人(4名)と続く。第1および第2ステージはJ・S・バッハやモーツァルト、19世紀前半に書かれたポーランド人作曲家によるポロネーズも含まれるソロリサイタル形式。第3ステージとなるファイナルは管弦楽を伴うショパンの作品で(6名が進出)、ヴァーツラフ・ルクス指揮{oh!}オルキェストラ・ヒストリチナとの共演。これはすべてオンライン・ストリーミングが予定されているため、自宅にいながらリアル・ショパンを味わえる。




夢とロマンを与える


トマシュ・リッテルは今年6月に来日し、1843年製プレイエルでリサイタルを行ったが、ショパン、ベートーヴェン、モーツァルトという選曲で馨しく繊細で上質な演奏を披露し、ピアノ好きの心をとらえた。川口成彦も1830年製プレイエルなどの楽器を使用して幅広い作品を手がけ、作品が生まれた時代の音を再現して聴き手に夢とロマンを与えている。ピリオド楽器で奏でられるショパンは、聴き手をショパンの時代へといざない、本来の音の強弱、弱音の美しさ、微妙なタッチと表現、絶妙なニュアンスなどを伝える。それは大音響に慣れた現代人の耳を研ぎ澄ませ、浄化し、癒しと幸福感を与える。川口がいう。

「ショパンゆかりのホールで作曲当時の楽器で演奏する。それは格別の体験で、特にファイナルで共演した18世紀オーケストラは、演奏家になってよかったという真の歓びを与えてくれました。ショパンのすばらしさが再認識できたのです」



■川口成彦とトマシュ・リッテル、そして2010年ショパン国際ピアノコンクールの覇者、1985年モスクワ生まれのユリアンナ・アヴデーエワが18世紀オーケストラ(古楽器オーケストラ、今回は指揮者なし)との共演で来日公演を行う(2024年3月9日~13日、東京、京都、大阪、福岡)。アヴデーエワも18世紀オーケストラとの共演があり、ピリオド楽器の演奏も行っている。三者三様の美しいショパンの協奏曲が堪能できそうだ。

文=伊熊よし子(音楽ジャーナリスト)


(ENGINE2023年11月号)

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