2023.08.18

LIFESTYLE

「ざぶん」と水音が聞こえてくる 酷暑にこそ見たい爽やかな作品群! 86歳の現役アーティスト、デイヴィッド・ホックニー展の楽しみ方

第一線で活躍中

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イギリスを代表する現代アーティストのデイヴィッド・ホックニー。全長90mもの新作を含む個展が東京都現代美術館で開催中。

作風をガラリと変えたことで……

今年もまた「酷暑」と呼ぶにふさわしい夏がやってきた。暑いだけならサウナで慣れているので問題ないものの、まとわりつく湿気が辛い。どうにかカラリとした夏になってくれないものか……。そんな理想の夏を夢想するとき、自分の脳裏に浮かぶのが、デイヴィッド・ホックニーが描くプールや水辺の風景だ。抜けるような青空の下、きらめく水面や水しぶきを描いた彼の作品は、静寂のなかに「ざぶん」と水音が聞こえてくるような、そんな不思議な雰囲気を持っている。



ホックニーは1937年イギリス生まれ。ロンドンの王立芸術院在学中からその才能が注目されていた現代美術アーティストで、86歳の現在まで60年以上ずっと現代美術の第一線で活動を続けている。彼は20代のときに移住したロサンゼルスで、どのお屋敷にも標準で備わっているプールに着目。当時普及し始めたアクリル絵の具を用いて、プールやスプリンクラーなどの水のきらめきを描いて一躍時代の寵児となった。ロンドン時代のホックニーはフランシス・ベーコンを彷彿とさせる暗い色調の作品ばかりを制作していたというから、彼の才能もすごいと想いつつ、アーティストの作風をガラリと変えてしまうロサンゼルスの環境にも驚く。私も訪れたら何かが変わるかも。

iPadを使った絵画作品も

そんなホックニーの素晴らしく、そしておもしろいところは、自分の興味のままに作風を変遷させていくこと。ふたりの人物を描いた肖像画や、自身で撮影した何十枚もの写真を組み合わせたフォト・コラージュ、2010年代からはiPadを使った絵画作品の制作など、アウトプットの振れ幅が激しいのだ。一度成功を収めたら、ずっと同じ作風を続ける作家も多いなか、彼の好奇心旺盛な姿勢もまた本当に素晴らしいと思う。





現在、東京都現代美術館で開催されているデイヴィッド・ホックニーの展覧会は、日本ではなんと27年ぶりとなる大規模な個展だ。60年以上にわたる画業を振り返るこの展覧会は、日本初公開の作品も多数出品されている。この暑さはしばらく続きそうだけれど、冷房の効いた涼しい美術館で、さわやかなホックニーの作品を鑑賞すれば、涼しく爽やかな気持ちになれるはずだ。

■「デイヴィッド・ホックニー展」は2023年11月5日(日)まで東京都現代美術館 企画展示室1F/3Fで開催中(東京都江東区三好4-1-1) 

文=浦島茂世(美術ライター)

(ENGINE2023年9・10月号)

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