2023.12.24

CARS

やっぱりアルファ・ロメオが気になる! アルファ好きなら絶対に行ってみたいところ、「アルファ・ロメオ歴史博物館」【『エンジン』蔵出しシリーズ/アルファ・ロメオ篇】

ティーポ33ストラダーレに思わずうっとり。

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回の「アルファ・ロメオ篇」は、2015年にリニューアルしたアルファ・ロメオ歴史博物館の記事を取り上げる。建築としても貴重であり、文化財の指定も受けている新しいアルファ・ロメオ歴史博物館を訪れた2015年10月号に掲載されたリポート。アルフィスタであってもなくても楽しめる、開かれた場所になった。

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改めてアルファ・ロメオのヘリテージに感動する

アルファ・ロメオ歴史博物館の建物は、元のままである。文化財として指定をうけていて、建物本体に手を加えることはできないのだと聞いた。だから、少し離れた場所に在る旧本社事務棟とともに、“アルファ・ロメオ此処にありき”を未来に伝える歴史建造物として今後もずっと残っていくことになる。



1976年にできた博物館は、建築家、ラティス兄弟の設計になるもので、中央の吹き抜け構造を使って大きく6つに分かれた展示フロアが設けられている。2013年にミラノ移転案を破棄して、このアレーゼの旧博物館をリニューアルすることが決定され、建築家のベネデット・カメラーナが再構築を任された。建屋構造を活かしたまま新時代の博物館を実現するために彼が考え出した案は、新たに外付けのエスカレーターを設けて、上階フロアを車両展示基点として一筆書きのように順を追って展示を見ることができるようにする、というものだった。正面玄関の位置も移され、あっちへいったりこっちへいったりしなくて済むシンプルな動線レイアウトに化けたのだ。



リニューアル・オープン直後で慌しいなか、新しい博物館のキュレーターのロレンツォ・アルディツィオさんに、立ち話ではあったけれど、話を聞くことができた。お爺さんがバロッコ村に所縁ある人だったというアルディツィオさんは何冊も自動車関連書籍を書いている博覧強記のひとだから、もちろん自動車エンスージアストなのだけれど、アルファ・ロメオ・クラシック・カー・クラブの会報誌の記事も書いていたのだから、間違いなく、アルフィスタでもある。このプロジェクトに招集される前には、ひと足早く大リニューアルを終えた、イタリア国立自動車博物館の仕事をしていた人でもある。

その彼は、「新しい時代の博物館は博識なファンだけでなく、もっと幅広い人に、楽しみながらブランドや歴史を理解してもらえるものでなければならない。その大転換を成し遂げるために、このプロジェクトに携わったティームは全力で事に当たった」という。トリノへ移してあった所蔵車両がすべて戻ってくれば、展示をさらに充実させることも、テーマを設けた特別展示を合わせて行うこともできる。

「新しいムゼオを見に来てください」とのことだ。



再オープンした「ムゼオ・ストリコ・アルファ・ロメオ」のなかはどうなっているのか

アルファ・ロメオ・ブランドの一大リヴァイバル計画なかで、この博物館にも伝道者としての大役が授けられ、新しい、開かれたミュージアム、ムゼオ・ストリコ・アルファ・ロメオ(アルファ・ロメオ歴史博物館)が4年の眠りから覚めて、その門を開いた。

ナショナル・カラーをまとってレース界に覇を唱えた華々しい戦前のアルファ・ロメオも、大戦後、量産メーカーへと大転換を図って、先進的な内容で自動車界のトレンドを牽引し、大衆の羨望の的となり、今度はスポーツカー・レースの世界で覇者に返り咲いた熱狂の時代も、そこを訪れれば見ることができる。

1976年12月8日に最初に門を開いたムゼオ・アルファは2011年に扉を閉ざすまで、ひとりアルフィスタのみならず、広く自動車好きに、過去に想いを馳せる至福の時間を提供してきた。

花ひらく戦後。戦後のアルファ・ロメオの方向性を切り開き、大衆的人気も勝ち取って成功を収めた1950年代の初代ジュリエッタと、空力時代の扉を開いて時代に衝撃を与えたジュリア・シリーズが並ぶフロアの眺めは壮観だ。アルフィスタの多くは、この時代に生まれたのである。

そんなムゼオ・アルファも、21世紀に入ると、ミラノ市内への移転も含めたリニューアル計画が囁かれるようになり、しかし、その後音沙汰もないままに時は流れ、2011年に、一旦、門を閉じたのだった。

2007年に投入されて大ヒットし、構造改革を軌道に乗せる原動力となったチンクエチェントを皮切りに、フィアット・ブランドのモデル構成はガラリと方向転換し、クライスラー合併後はジープを大成功に導いて、フィアット(現在FCA)は、ついにアルファ・ロメオの一大リヴァイバル計画に着手した。

数年の時が流れ、2015年6月下旬、新しいアルファ・ロメオの誕生を宣言する新しいジュリアが、新しいムゼオ・アルファでヴェールを脱いだ。ムゼオ・アルファもまた、新しい命を授かって、蘇ったのである。


文=齋藤浩之(ENGINE編集部) 写真=ロレンツォ・マルチンノ

敗戦後、産業復興公社管轄下でスポーティなプレミアム・ブランドとしてのラインナップを維持しながらアルファ・スッド投入によって小型車の分野へも挑戦したアルファ・ロメオは、1980年代後半に国の管理下を離れ、フィアットに併合される。164開発は併合前に始まり、投入は併合後だった。フィアットのプラットフォーム戦略のなかでクルマ造りに苦しんでいたアルファ・ロメオは、アルファ156を作り上げ、人気を取り戻すことに成功した。


(ENGINE2015年10月号)

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