2024.02.19

CARS

これはジープの革命児! FFのレネゲードの1.4リッターターボは、どんなジープだったのか? 【『エンジン』蔵出しシリーズ・ジープ篇】

中古車バイヤーズガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は、ジープらしい硬派なクルマだったトレイルホークに続いてFFモデルのリミテッドに試乗した2015年11月号のリポート。「FFのジープ」は果たしてどんな乗り味だったのか。


イタリアでも大人気

7月にアルファ・ロメオ特集の取材でイタリアを訪れた本誌・齋藤はミラノの街でたくさんのレネゲードに遭遇したという。角を曲がるごとに見かけるので、当初はキャンペーンか何かをやっているのかと勘違いしたほどだったそうだ。イタリア人はクルマに限らずデザインにはうるさい。しかもミラノは流行に敏感な街。そこで売れているということは、レネゲードの、とくにデザイン面の秀逸さが認められた証と言っても過言ではないだろう。

インパネをはじめ、内装の意匠は基本的にトレイルホークと変わらない。ナビはオプション。色は茶+薄いグレーと黒の2種類がボディ・カラーに応じて使い分けられる。

そんなレネゲードの日本での販売が開始された。1.4リッター直4ターボ+FFの最も安いオープニング・エディションが300万円を切る297万円、同じパワートレインを積む上級グレードのリミテッドが313万2000円、先月号で試乗記を掲載した4WDの硬派モデル、トレイルホークが340万2000円(いずれも税込)。好敵手になると目されるミニ・クロスオーバーを下回る絶妙な設定だ。

今回試乗したのはFFモデルのリミテッド。先月乗ったトレイルホークと比べると、パワートレインや最低地上高を含むサスペンションのセッティングなどが異なる。悪路をものともしないへヴィデューティなトレイルホークに対して、街中でも使いやすいシティ派ヨンクだ。フロント・バンパーの形状やフロント・グリルの色がトレイルホークとは違うものの、魅力的なスタイリングに変わりはない。相変わらず目を惹くいいデザインだ。

リミテッドは革表皮が標準。


トレイルホークの2.4リッター直4自然吸気に対し、リミテッドは1.4リッター直4ターボを搭載。排気量は1.0リッターも小さいが、ターボ過給とトレイルホークよりも車両重量が130kg軽いこともあって、力不足は感じない。2.4リッターと同じ23.5kgmの最大トルクを1750rpmという低い回転数で発生するから、ストップ&ゴーの多い街中でも扱いやすい。デュアル・クラッチ式6段自動MTのおかげで変速はスムーズ。トレイルホークの9段ATも優秀だったが、その出来に勝るとも劣らなかった。悪路での走破性を重視したトレイルホークほどではないが脚まわりは硬め。スポーティでキビキビとした走り味だ。ただし、路面の悪いところでの乗り心地を考えると、もう少しスプリングが柔らかいとさらに良くなるのではないかとも思った。

周到に練り上げられたデザインをはじめ、コンパクトなボディ、へヴィデューティなトレイルホークほど硬派過ぎない走りなど、レネゲードはジープの敷居を大きく引き下げた。フィアットに意識革命を起こした現行チンクエチェント同様、ジープに変革をもたらす画期的なモデルと言っていいだろう。イタリア同様、日本の街にレネゲードが溢れる日が来るのもそう遠くはない。

文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=小河原認



(ENGINE2015年11月号)

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