2023.10.21

CARS

【後篇】「GT3が名刀ならGT3RSは斬鉄剣!?」 クローズド・コースでポルシェ911GT3RSに試乗! 見ても乗っても驚愕の連続!!

992型のGT3RSに試乗!

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ついに日本に上陸した992型のGT3RS。上陸したばかりでまだ登録ナンバーがついておらず、試乗はポルシェ・エクスペリエンス・センター東京で行われた。乗ったのはエンジン編集部員一同、編集長の村上以下編集部員の塩澤、荒井、新井、上田、村山の6名。見ては驚き、乗っては感動したGT3RS、前篇に続いて今回は後篇をお送りする。◆前篇から読む場合はこちら!

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名刀と斬鉄剣

塩澤 以前、991型のGT3RSに乗ったときに、昔編集部にあった996型GT3より乗り心地が良くて、すごく運転しやすくなったと思った。それに比べると992型のGT3RSはもっとレーシングカーに近いというか、もうレーシングカーじゃん!と思うほどレーシーだった。GT3RSからGT3に乗り換えたんだけど、GT3がすごく洗練された乗用車に近いスポーツカーだと思ったほど。

カーボン製のスワンネック式リア・ウィングは上下2枚の羽根を持ち、上側の羽根が油圧式シリンダーの作用で寝たり立ったりする。横走りの写真では羽根が水平に開いている。


村上 僕はそれとはちょっと違った印象だった。GT3RSからGT3に乗り換えて、結局基本は同じなんだと思った。エンジンのフィーリングもハンドリングも基本的に同じ。GT3をもっとサーキットに特化させて、やれることは全部やったのがGT3RSだと思った。

塩澤 同じラインの上に乗っているのはわかる。エンジンを上まで回したときの精緻な感じとかね。でもコーナリングにしても、ブレーキングにしても鋭さが全然違う。GT3を名刀とするならGT3RSは斬鉄剣だと思った。

荒井 相手の刀を切っちゃうやつね。

上田 そもそもGT3がGTSを頂点としたカレラ・シリーズとは違うベクトルにいる。そのGT3をもっと磨き上げて鋭くしたのがGT3RSという感じですね。

新井 音の荒々しさも一段上がりましたね。空気を震わせる感じとか、これはもうレーシングカーだと乗る前に思っちゃう。



荒井 僕はGT3から乗った。コースインした瞬間、水のなかに入った魚のような感じがした。まさにここがこのクルマの主戦場だと。初めてのコースなのに、GT3ならこんなに運転しやすいんだと感心してわけです。で、GT3RSに乗ったら、もっとラクチンなので本当に驚いた。GT3との大きな差はコーナリングだと感じた。もう、ステアリング切っただけでクイクイ曲がる。GT3RSのポテンシャルの何割を引き出せているのかは、わからないけれど、僕レベルの運転でGT3との差をわからせるポルシェの技術力には舌を巻いた。詰めていけるところをどんどん詰めていくと、こんなに変わるんだと思った。どんどんレーシングカーに近くなっているのかもしれないけれど、それはサーキットにおいてはどんどん乗りやすくなっていくということかもしれない。

上田 コーナリングがいいのは、あの程度のスピードでもちゃんとダウンフォースが効いているからだと思います。速度や舵角に対して常に適正になるようにクルマの方が調整しているんですよ。

フロント下部の左右には適切なダウンフォースを確保するための調整式ウィング・エレメントを備える


荒井 リアの巨大な羽根だけでなく、フロントもボディの下にウィングが付いているしね。ダンパーの減衰力などもすべてオートマチックに調整してくれている。だから、あんな風に吸い付くように曲がるんだ。公道でも大丈夫。

新井 出来のいいレーシングカーは、めちゃくちゃ乗りやすいって言いますからね。僕はフロントのダブルウィッシュボーンにひたすら感心しました。GT3RSはステアリングを切ってから、クルマが動き出すまでの時間が圧倒的に短い。アライさんが乗りやすいと思ったのはそこじゃないですかね。ステアリングを切って、瞬時に切っただけスッと鋭く動くから運転しやすい。そのあとGT3に乗ったんだけど、やっぱりちょっと遅れがありますから。GT3とGT3RSの差をもっと感じるとし52たら、それは公道ということになるかもしれない。でも、GT3があれだけ公道で普通に乗れるじゃないですか。GT3RSも大丈夫な気がする。むしろ、GT3より乗り心地はいいかも。

塩澤 えーっ!あれを公道で乗るの? 警察に注意されそう。

村上 見た目の凄さにちょっと引くけど、そのことを除けば普通に乗れますよ。

上田 まあ、めちゃくちゃ気を使いますけどね。

村上 今回のGT3RSの開発の主眼はエンジンではなくて、シャシーとエアロダイナミクス。シャシーとエアロダイナミクスにおカネをかけて徹底的に詰めていくというのは、もうレーシングカー開発のやり方なんだよ。そういう特殊なクルマなのに、公道で乗れるか、乗れないかという話になっている。そんな話になっているのはポルシェ911だから。そこが911の凄さだよね。ナンバー付きなのにそこまでやるのは、100年に一度のクルマの大変革という時代を迎えて、内燃機関のスポーツカーをずっと作ってきたポルシェのエンジニアたちが、いまこそやるべきことをすべてやり尽くそうという強い信念を持っているからだと思う。

リア・ディフューザー


新井 冷めた見方をすると、FIAのGT3カテゴリーに参戦している911GT3Rのものを落とし込んでいるとも言えるけど。

村上 レーシングカーを作ることはもちろんすごく大変だけど、それを市販車にするのはもっと大変だよ。サーキットを何周か走って性能を出し切って終わりです、というわけにはいかない。耐久性をはじめ、いろいろな面でレーシングカーとは違った実用的な性能を求められる。それなのに、このパフォーマンスというのは、レーシングカーとは違う次元の凄さだと思う。

新井 フロントのラジエターとか足回りなんかはGT3Rから持ってきているけれど、乗り心地や快適性をつかさどるところはGT3からなんですね。



荒井 それを僕たちの運転スキルでもわからせるというのが、本当にすごいよ。

新井 ホンモノのレーシングカーがもうチラチラ見えているのに、公道でも乗れちゃうわけですからね。

塩澤 僕は992型GT3RSが公道で乗りやすいかどうかの疑問符は外れてないけどね(笑)。

高性能の民主化

村上 ところで、23歳にしてGT3RSに試乗できた村山君はどうだったの?

村山 PEC東京のコースは初めてだったので、まず大人しそうな感じのカレラ・カブリオレでコースインしました。いきなりGT3RSなんかに乗ったらどこかに飛んでいってしまうかもしれないと思ったからです。カレラ・カブリオレで走ると、上手に曲げられなくてとても難しい。これは参ったなと。ところがGT3RSに乗ったら自分の思う通りにクルマが動いてくれる。なんて気持ちいいんだと思いました。525psというパワーはとんでもないスペックだと思いますけど、僕みたいな素人がバン!とアクセレレーターを踏んでも何も怖いことが起きない。それはすごいと思いました。

村上 それは素直な感想だと思う。こういうクルマも民主化されたんだよ。997型までのGT3やGT3RSって、やっぱり特別な人が乗る特別なクルマだった。編集部にあった996型GT3はクラッチが重いし、ハンドルは重いし、渋滞なんかにハマッたらもう泣きそうだった。とにかく飛ばさないと気持ちいいゾーンに入らないクルマだった。いまのGT3やGT3RSは大人しく走っていても違和感がない。

塩澤 ギクシャクしなくなったよね。

村上 いまは頂点にあるクルマでさえも23歳の若者が乗っても、ジジイたちが乗っても、気持ちよく走らせることができる。GT3RSはそれこそ初心者マークの人からレーシング・ドライバーまで、みんなが喜びを享受できるクルマになっている。だからPEC東京のラインナップにこれが加わったら90分間20万円でもいいから絶対に乗ったほうがいい。

新井 ポルシェ好きなら本当に経験した方がいいですね。

語る人=村上政+塩澤則浩+荒井寿彦+新井一樹+上田純一郎+村山雄哉 写真=神村聖

■ポルシェ911GT3RS
駆動方式 リア縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4572×1900×1322mm
ホイールベース 2457mm
車両重量 1450kg
エンジン 直噴水平対向6気筒DOHC
排気量 3996cc
最高出力 525ps/8500rpm
最大トルク 465Nm/6300rpm
変速機 7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前/後 275/35ZR20 335/30ZR21
車両本体価格 3378万円


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(ENGINE2023年11月号)

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