2024.03.29

LIFESTYLE

スティーブ・ジョブズの元でiPhoneの着信音を手がけたアップル社の元重役が、寿司にあうカリフォルニア・ワインをつくった理由とは?

ザンダーさん(右)と醸造チームの責任者、シャリニ・シェイカーさん。Photo:Margot Duane

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アップル社の重役として数々の人気製品を手掛けてきたアメリカ人が、和食にあうワイン・ブランドを立ち上げた。その背景にあるのは、子供の頃から育んできた日本への愛情だった。

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鮨屋であわせるワインを選ぶと……


たとえば鮨屋で日本酒ではなく、ワインを1本あわせるとすれば、なにを選べばいいのか……。ミネラル感のあるスッキリとした白ワイン? それともちょっと辛口のロゼワイン?

「私の場合は赤のピノ・ノワールです。京都の名店「日出鮨」でブルゴーニュの赤ワインを薦められたのが12年ほど前。鮨とのあまりの相性の良さに驚いたのが、私が和食にあうワインをつくりたいと思うきっかけになりました」

こう振り返るのはサンフランシスコ在住のアメリカ人、ザンダー・ソーレンさん(53歳)。カリフォルニア産ピノ・ノワールを使った自身のワイン・ブランドを日本限定でローンチしたのだ。

ザンダー・ソーレン・ワインのHP https://xandersorenwines.jp/  Photo:Conan Morimoto


実はザンダーさん、2022年の秋に退社するまでアップル社の重役を務めていた人物である。アップルのPCの世界シェアがまだ3パーセントだった2001年に入社し、スティーブ・ジョブズ氏の元で重役としてiPodや音楽制作ソフトウェアのGarageBand、iPhoneの着信音といった、デジタル音楽製品の開発に携わってきた。

「私は子供の頃から『マグマ大使』や『ウルトラマン』が大好きで、大人になってからは黒澤明の映画にはまりました。日本への思いが加速したのはアップルに入社してから。たびたび仕事で来日するようになり、京都の俵屋旅館や西芳寺、『すし岩』といった、スティーブに紹介された場所にも随分と出かけたものです」

アップル社での仕事の傍ら、大学時代の友人らと組んで、「趣味で」ワインをつくりはじめたのは2012年から。その後、仕事で来日するたびにお気に入りの和食店に足しげく通い、日本の一流料理人のアドバイスを受けながら、和食にあったワインづくりを考えてきたという。

ザンダー・ソーレンさん Photos:Margot Duane


今回、それぞれに特徴的なザンダーさんのワインをいくつか試飲したが、リッチでフルーティなカリフォルニア・ワインというよりも、ブルゴーニュのピノ・ノワールを彷彿とさせるようなエレガントで繊細な印象である。これなら確かに鮨だけでなく、煮物や天ぷらといった幅広い和食にあわせることができるだろう。ちなみにザンダーさんに、自身のワインと一番、食べたい和食を聞いてみると、「今の時期なら白子ポン酢かな。鮨なら中トロかウニ。好きな和食が多すぎて、とても決められません……」

日本愛にあふれたこの赤ワイン、お好みの和食とお試しあれ。


文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGINE2024年2・3月号)

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