2024.08.31

CARS

後輪駆動で517馬力 自然吸気6リッターV12に6段マニュアルって、凄すぎ! 2008年モデルのDBSは、どんなアストン・マーティンだったのか?

6リッターV12、トランスミッションは6マニュアル。

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ご存じ中古車バイヤーズ・ガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の過去の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている人気企画の「蔵出しシリーズ」。今回は、2008年の1月号に掲載されたアストン・マーティンDBSのリポートだ。フォード傘下から離れた新生アストン・マーティンのニューモデル第1弾として登場したアルミとカーボンで武装した新型DBSは、美しくも力強いボディの内にどんな能力を秘めていたのか。2007年の年末に行われた国際試乗会の模様をお届けする。


ジェームス・ボンドのような

今年8月に生産を終えたヴァンクウィッシュに替わるアストン・マーティンの最上級スポーツ・クーペ、それが新型DBSだ。今夏のペブル・ビーチ、コンクール・ド・エレガンスで正式デビューしたが、それ以前に、映画007シリーズの最新作「カジノ・ロワイヤル」にボンド・カーとして使われていたから、その姿を映像で目にした人も多いはずだ。

DB9よりややアグレッシブな印象のフロント・マスク。


アストン・マーティンのデザイン・ディレクター、マレック・ライヒマン氏によれば、新型DBSの開発コンセプトは、「タキシードを着たタフ・ガイ」。まるで映画のなかのジェームス・ボンドのイメージそのもののようだが、ヴァンクウィッシュがどこからみても力強さを表した造形を持っていたのに対し、こちらはタフであると同時にエレガントなデザインを目指したという。

たとえば、2台の前後のフェンダーの膨らみ方を比較してみれば、その違いは明らかだ。あくまでも筋肉隆々な肉体を見せつけるヴァンクウィッシュに対して、DBSでは引き締まったアスリートのような体躯が、控え目に内なる性能を表している。

その造形に寄与しているのは、新型DBSの内外装に多用されているカーボン・ファイバーだ、とライヒマン氏は言う。軽量で高い強度を持ちながら、どんな造形をも作り出すことができるこの素材は、機能はもちろん表現の面でも大きな自由度を与えてくれるからだ。それはフロント・スポイラーやリア・ディフューザー、ドア・ミラーのステイといった見てわかる部分だけではなく、ボンネットやフェンダー、トランクリッドなどの塗装されたパーツにも使われており、そのヴォリュームは現在の世界の市販車のなかで最大と言っても間違いあるまい。

吸気系の改良などでDB9比65馬力アップの517 馬力を実現。


ちなみに、ブレンボ製のブレーキにもカーボン・セラミック製ディスクが標準装備されているほか、プロペラ・シャフトもカーボン製。内装ではドア・トリムやドア・ハンドルにカーボンが使われている。

そしてもうひとつ、カーボンと並んで新型DBSに多用されている素材がアルミニウムだ。新型DBSは、アルミニウムのプレス材や押し出し材を接着剤とリベットでつなげたVHプラットフォームを、DB9から受け継いでいる。このVHプラットフォームはすべてのアストン・マーティンに共通するもので、新型が開発されるたびに改良が加えられているという。たとえば、V8ロードスターが開発された時にはエンジン・ルーム内にクロス・カー・ビームが追加されたが、新型DBSにもそれが使われている。

アルミとカーボンを多用して軽量化を図った結果、新型DBSの車重はヴァンクウィッシュより180kg、DB9より65kg軽い1695kgにおさえられた。そのフロント・ミドに、DB9の6リッターV12のおもに吸気系に改良を加え、プラス61psの517psに増強したユニットが搭載されるのだから動力性能は凄まじい。0-100km/h加速4.3秒。最高速302kmというのがメーカー公表値だ。

20インチのダブル・スポーク・ホイールからカーボン製のブレーキ・ディスクが覗く


組み合わされるトランスミッションは6速マニュアルのみで、ほかのアストン同様、ギアボックスがリア・アクスルの前に置かれるトランス・アクスル方式が採用され、エンジンとの間をトルク・チューブで繋いでいる。その結果、重量の85パーセントがホイールベースの内に置かれているというから、速さだけではなくハンドリングの良さも兼ね備えているであろうことは想像に難くない。

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