2023年3月に日本上陸を果たした新型メルセデス・ベンツGLC。左ハンドル仕様しかなかった「GLK」を祖に持つDセグメント・サイズのSUVにAMGブランドの新グレード、「メルセデスAMG GLC 43 4MATIC」が追加された。
F1由来の技術を惜しみなく投入
AMG GLC 43 4マチックは、同時にリリースされた「メルセデスAMG GLC 63 S E パフォーマンス」ほどではないものの、必要十分以上の動力性能を備えたハイスペック仕様で、F1由来の技術を惜しみなく投入されている。
ワイドで迫力あるフロント・ビュー
外観は、ハイグロスクローム仕上げとなる縦ルーバーのAMG専用フロント・グリルが精悍な表情を生んでいる。専用デザインとなるフロントエプロンには左右に「コ」の字型を描く大型フリックが備わる。フリックはハイグロスブラック仕上げになり、ワイドで迫力あるフロント・ビューを作り出している。
ディテールでは、この後に紹介する電動ターボを備えた証となる「TURBO ELECTRIFIED」のエンブレムがフロント・フェンダーに備わっている。F1由来のテクノロジーが搭載されているのをオーナーは誇れるはずだ。
手組みの2リッター・エンジンを搭載
GLC43の要となるパワートレインはAMG仕様にふさわしく手練れのマイスターが手作業で丹念に組み上げた2.0リッター直列4気筒ガソリン・ターボの「M139」が搭載され、最高出力310kW(421PS)、最大トルク500Nmを発揮する。
ターボチャージャーに「メルセデスAMG ペトロナスF1チーム」がF1マシンに用いられて実績を上げてきたシステムをベースとする「エレクトリック・エグゾースガス・ターボチャージャー」が搭載されているのが最大のトピック。排気側タービンホイールと吸気側コンプレッサー・ホイールの間のターボチャージャーの軸上に厚さ4cmのモーターを装着。電子制御モーターがターボの軸を直接駆動し、コンプレッサー・ホイールを加速させるシステムで、モーターは排気の流れによってコンプレッサー・ホイールが駆動されるようになるまで可動する。
シームレスでハイレスポンスな加速
電動ターボの利点は数多い。アイドリング時から高回転域の全域にわたってエンジン・レスポンスを高め、フィーリングも自然、ターボラグが少なぃ、力強い加速を容易に引き出すことができ、低回転域からのトルクを高め、瞬発性や発進性も引き上げることに寄与するなど。アクセルから足を離したり、ブレーキを踏んだりしても、常にブースト圧の維持が可能なため、シームレスでハイレスポンスな加速が得られるのが美点だ。
エレクトリック・エグゾースガス・ターボチャージャーは車載の48Vシステムを電源とし、最大175,000rpm まで作動し、高い空気流量を確保。電動ターボと電子制御ユニットはエンジンの冷却システムに接続され、常に最適な温度管理下におかれている。
GLC初のBSGを採用
また、エンジンには48Vマイルド・ハイブリッド機構の「BSG」(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)をGLCとしては初めて採用する。BSGは第2世代の最新版で、短時間ではあるものの、出力を10kW(14PS)向上させるほか、コースティング・モード(滑走)や回生ブレーキによりパワートレインの効率を最大限に高めることが可能だ。さらに、エンジンの再始動時やコースティング・モードの間の切り替えがほぼ感じられないほど滑らかなので、音や振動の少ない快適なドライブが楽しめるはずだ。
トランスミッションは従来の「AMG C63」に搭載されていた9段ATの「AMG スピードシフト MCT」にアップデート。トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチが採用されていて、ダイレクト感のあるスムーズなシフトチェンジや高い伝達効率を実現する。
駆動方式は「AMG 4MATIC」で、前後トルク配分を31:69とした後輪寄りの配分になっている。横加速度を高めるなど、ダイナミックな操舵フィールを強化するとともに、加速時のトラクションも改善され、ハイパワーを余すことなく路面に伝えることが可能だ。
後輪操舵を標準装備
シャシーでは、最近のメルセデスが積極的に採用している後輪操舵システム「リア・アクスルステアリング」の標準装備化も朗報だ。約100km/h以下では後輪を前輪と逆位相(最大約2.5度)とすることで、街中での右左折やUターン、駐車場の発券機などに幅寄せする際にも重宝する。逆に約100km/h超になると、後輪を前輪と同位相に最大約0.7度操舵することで操縦安定性の向上に貢献する。
またハイパワーに対応するべく、フロントに4ピストンの固定キャリパーにドリルド・ベンチレーテッド・ディスクを搭載し、リアには1ピストンのフローティング・キャリパーにベンチレーテッド・ディスクを組み合わせ、高い制動力と耐フェード性、優れた応答性を確保している。
そのほか、メルセデス最新のドライバー支援機能である「インテリジェント・ドライブ」や対話型インフォテイメントシステムの「MBUX」、現行GLCから加わったボンネットが透けて見えるような「トランスペアレントボンネット」やオフロード走行時の情報を表示する「オフロードスクリーン」、AR(拡張現実)を使い、ナビゲーション画面に矢印などを表示するARナビゲーションなども搭載されている。
価格は1170万円。
文=塚田勝弘
(ENGINE WEBオリジナル)
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