2024.06.07

CARS

「車重2.5tを完璧に減速させるストッピング・パワーに舌を巻く」 モータージャーナリストの塩見智がロールス・ロイス・ゴーストほか5台の注目輸入車に試乗!

モータージャーナリストの塩見智さんが5台の注目輸入車に試乗!

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モータージャーナリストの塩見智さんがエンジン大試乗会で試乗した5台のガイ車がこれ! アバルト500eツーリズモ・カブリオレ、アウディA8 60TFSI eクワトロ、マセラティ・グレカーレ・トロフェオ、ポルシェ・カイエンSクーペ 、ロールス・ロイス・ゴーストに乗った本音とは?

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依然いい、けれど


ニホンシャが到底かなわなかった時代ほどではないにせよ、依然ガイシャはいい。よくその魅力を「日本にいながらにしてそのブランドが生まれた国の文化を感じることができるから」と分析する専門家がいるが、ボクもだいたいそんな感じだと思う。ニホンシャも外国人に対し“ガイシャの魅力”を放っているのだろうか。昔のように安いから、壊れないからという理由で好まれているだけではなく、エキゾティックジャパン!と思われていることを願う。ただ最近は昔のように純粋にガイシャに魅力を感じるのではなく、同時に「いやいやニホンシャにも優れている部分がいっぱいあるし!」とアンビバレントな感情を抱くようになった。僕の中でいったい何が起きているのだろうか。もしかするとかつては取るに足らなかった東洋のガイシャの長足の進歩に対し、日本人として無意識に身構えているのかもしれない。




アバルト500eツーリズモ・カブリオレ「音が無くても十分楽しい」

「だのに~な~ぜ~?」。アバルト500eを走らせてすぐ森山直太朗の「若者たち」が頭に浮かんだ。快適に移動できるのがクルマの本質だ。快適性を左右する静粛性の向上は、エンジニアもユーザーも長年夢見たことのはずだ。電化されたことで自動車は音と振動の低減において大きく前進した。他にも課題が残っているので、今すぐ一気に全モデルを電動化させることはできないが、電化すれば音(と振動)の問題を解決できることがわかった。なのになぜアクセル操作に連動した疑似エンジン音を車両後部のスピーカーから流すのだ、アバルトよ。いや確かに楽しい。楽しいが、そのうるささを解消するために頑張ってきたのではなかったのか。電気自動車を高性能な内燃機関車に近づけようとするのはナンセンスではないか。つまり我々はクルマの電動化には成功したけれど、“ならでは”の楽しみ方、味わい方は見つけていない。アバルト500eはそのことを教えてくれている。それはそうと、このクルマは音を付けなくても低重心なので十分楽しい。




アウディA8 60TFSI eクワトロ「スムーズかつ強力」

ラッキーにも朝一番にこのクルマを担当した。バッテリーの総電力量は17.9kWhとPHEVとして標準的だが、車両重量が2350kgに達するため、一充電でのEV走行可能距離は54kmにとどまる。そのため、何人かが箱根を往復した後だと駆動用バッテリーの電力が残っていないはずだ。名簿を見ても、箱根ターンパイクからの帰り道を次の人のためにいわゆるチャージモードで走行してくれる人、いなさそうだもんな。僕もしないし(笑)。さて60 TFSI eというパワートレインは3リッター V6ターボエンジンと最高出力136psのモーターを組み合わせ、システム総合出力は460psに達する。それをクワトロによって余すところなく路面に伝えるので、発進加速はスムーズかつ強力だ。西湘バイパスで巡航に移行するとエンジンが停止してEV走行となる。この時の静かさがもたらす快適性は電動車ならでは。アクセルペダルを踏み込むと即座にエンジンがかかって一気呵成に加速する。駐車スペースに普通充電施設を設置できるなら、非常に魅力的な選択肢だと思った。

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