2024.06.10

CARS

「明日から買い物に使ってもいいとさえ思わせられるほど快適」 モータージャーナリストの島崎七生人がマセラティMC20チェロほか5台の輸入車に試乗

モータージャーナリストの島崎七生人さんが5台の注目輸入車に試乗

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ヒョンデ・コナ・ラウンジ2トーン「ファミリーカーとして」

アイオニック5はコンセプチュアルなデザインとEV専用のプラットフォームからなる、実に意欲的なモデルだった。対してコナは同車の2世代目にあたり、ガソリン車やハイブリッドも設定される。2023年10月、日本市場にお目見えしたのはBEVで、全長×全幅×全高=4355×1825×1590mm、ホイールベース2660mと日本の道路環境でもあつかいやすいのがいい。また充電ポートはフロント側に備わるが、普通/急速の2口になる日本仕様ではリッドが幅広く、ヒンジ式では手前の張り出しが大きくなるため、わざわざ専用のリンクにしバンパーと平行移動で開くようにしてある。またウインカー・レバーがステアリング・コラムの右手に備わるのも日本のための設え。

走りは電動車の中ではクセのないごく普通の印象で、加・減速もガソリン車から乗り換えても違和感を覚えないし、パドルで調整が可能な回生ブレーキもクルマの挙動が極端に変わらない味付け。外観から想像するより後席の居住性が高く、ファミリーカーとしての任務もしっかりこなせそう。




マセラティMC20チェロ「普段使いもできる」

おそらく僕と同世代と思われるEPC会員の方とトップを開けたMC20チェロを海沿いの自動車専用道に繰り出し、思わずオジサン2人で「ウワーッ!」と歓声を上げた。聞けばエンジン誌読者らしく、ご自身ではポルシェ・ケイマン等にお乗りとのこと。その氏をして山道に入るなり「ハナの入りがいいですねぇ!」と言わしめたMC20チェロは、やはり紛れもないスーパースポーツカーである。だが、だからといってスパルタンかといえば、決してそんなことはない。時代は違うが、往年のビトルボ系やそれより新しいケン奥山氏のクワトロポルテなどのサルーン系で、もっとヴィヴィッドな振る舞いのクルマはあった。が、MC20チェロときたら、明日から買い物に使ってもいいとさえ思わせられるほど快適で運転しやすく、少なくとも日常領域で気難しさはない。乗り心地も実にコンフォートだ。けれどひとたび右足に力を込めると、2992ccのV6DOHCツインターボは雑味がなく少し渋めの胸のすく快音を発し加速に移る。クーペ+65kgに仕上げられたというカーボン・モノコックボディの剛性も十二分だ。




プジョー408GTハイブリッド「キレ味がいい」

プジョーというと、ここ最近、街中でよく見かけるのは4桁のSUV群(日本市場では2008、3008、5008の3モデル)。世の趨勢はプジョーでも……といったところだ。その一方でもともとの本流だった3桁のモデル群のうち、昨年、車名の数字は踏襲したまま時流に合わせたセダン+クーペ+SUVのクロスオーバールックに一新されたのがこの新型408だ。往年の端正な姿のセダン(406、605など)の愛好家だった方々には気持ちを切り替えていただく必要があるも、クルマそのものの仕上がりは、今のプジョーの理念がキッチリと体現された印象。小径のステアリング越しにメーター(凝った3D表示だ)を見やるi-Cockpitを始め、ロール少なめにスパッと切れるハンドリング、高剛性ボディなど、いずれもスポーティな味わいだ。パワートレインは1598ccの直列4気筒DOHCターボと電気モーター(81kW/320Nm)とで構成されるPHEVで、これもクルマに見合ったキレ味のいいパワーフィールを発揮している。後席の着座姿勢はゆったり、荷室はガソリン車より床が高いが十二分に広い。

文=島崎七生人

(ENGINE2024年4月号)

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