2024.03.11

CARS

これがルノー・メガーヌR.S.ウルティムに乗った自動車評論家のホンネ!!「ルノー・スポールのエンブレムを持つ最後のモデルとしての意地とプライドを感じる」 by 大井貴之

全世界で1976台の限定となるメガーヌR.S.ウルティム

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今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! ルノー・スポールとしても最後、内燃エンジン車としても最後の1台。全世界で1976台の限定となるメガーヌR.S.ウルティムに乗った石井昌道さん、大井貴之さん、河村康彦さんのホンネやいかに?

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「最高の気分になれる」石井昌道

アルピーヌへ改名することが決定しているから、このメガーヌR.S.が最後のルノー・スポールであり、しかもアルピーヌはBEV専売になるから最後のエンジン車でもある。それを記念して送り出されたのがウルティムだ。

全世界で1976台の限定となるR.S.ウルティム。フロント・スポイラー上部、ボディ・サイド、リア・バンパーの専用のブラック・デカールや19インチ・ホイールなどが外装の識別点。最高出力300psを発揮する1.8リッター直4ターボ・エンジンをフロントに搭載し、試乗車の6段デュアルクラッチ式自動MTないしは6段MTを介して前輪を駆動する。全長×全幅×全高=4410×1875×1465mm。ホイールベース=2670mm。車両重量=1470kg。車両本体価格=659万円。

2004年に2代目メガーヌで初登場したメガーヌR.S.は、公道を走れるFFレーシング・カーのようでいつも乗る度に興奮させられてきたが、これでお別れだと思うと寂しさがこみ上げてくるとともに、短い試乗でも存分に味わわせてもらおうと峠道へ向かった。

走り出した瞬間はツンツンとした硬めの乗り味だが、速度を上げるとしっとりと落ち着いていき路面の荒れを見事に吸収する。ウルティム専用の軽量ホイールによって、これまで以上に足捌きが上手なのだ。4コントロールやHCCといった独自のシャシー・テクノロジーによるハンドリングはFFスポーツの1つの完成形。迫力のあるエグゾースト・ノートを聞きながらドライビングしていると最高の気分になれる。BEVでもいいクルマを造ってくれるだろうが興奮度の高さでこれを超えることは、まだ想像ができないのだ。




「意地とプライドを感じる」大井貴之

今回の原稿では「最後の」がやたらに登場するが、このクルマは最後のR.S.(ルノー・スポール)、1976台の限定モデル。先代からシビック・タイプRとニュルブルクリンク北コースのラップタイムを競ってきたFWDスポーツモデルだ。

今回のモデルにはフルストローク時の安定性を確保するダンパーインダンパーのメカニズムを採用。その分、通常のストローク域では従来よりソフトなセッティングを可能とした。


そしてもう1つの武器が4WS、後輪操舵だ。通常は60km/hまで。しかしスポーツ・モード、レース・モードでは100km/hまで後輪が前輪と逆方向にステアする。これは後輪に駆動力が無いFWDだからこそだが、慣れるまでは違和感の塊! を覚悟していたが、違和感などまるっきり無い! 試乗会場に設定されたスラロームでもワインディングでも違和感を感じることはなく、4輪が一体感のある仕事をする。

ルノー・スポールのエンブレムを持つ最後のモデルとしての意地とプライドを感じるFWDとして異次元のコーナリングマシンに仕上がっていた。元気になれる1台!




「楽しく、実用性に富んでその上お買い得!」河村康彦

ルノーのモータースポーツ活動を担うブランドがアルピーヌに一本化されたことで、「これがルノースポールを名乗る最後のモデルか……」とちょっと感慨深げに走り始めたメガーヌR.S.の最終進化型“ウルティム”。

その走りはタイト・コーナーを追い込んでもアンダーステア知らずのフロント・ヘビーなFFレイアウトの持ち主とは想像出来ないハンドリング感覚や、乾いたサウンドと共に得られるパンチに溢れた加速感などが、相変わらずなかなかに刺激的。


そんな走りのテイストと太いシューズを履きこなすワイドなボディによるルックスが生粋のスポーツ・モデルであることを隠さない一方で、実はベース・モデル同様の高い実用性を備えるのもこのモデルならでは。それゆえ、何となれば「一家にこれ一台」でも十分に事足りるという“万能性”を考えれば、MT仕様もDCT仕様も同一の659万円というその価格すら大バーゲンに思えて来る。

楽しく、実用性に富んでその上お買い得! これぞ“元気の源”を絵に描いたような存在ではないか!

中央コンソールのシフト・ノブ前方にはルノー・スポールの開発ドライバー、ロラン・ウルゴン氏のサイン入りシリアル・ナンバー・プレートが。レカロ製バケット・シートのロゴをはじめ、ステアリングやインテリア各部には赤のアクセント・ラインも。スプリングのレートやスタビライザー、ショックアブソーバーのセッティングはよりスポーティな“シャシー・カップ”

写真=神村 聖(メメイン)/郡 大二郎(サブ)

(ENGINE2024年4月号)

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