2024.06.23

CARS

どっちが狼で、どっちが羊か? ホットハッチ4WD対決! 国沢光宏がトヨタGRカローラとVWゴルフRを比較試乗!

VWゴルフR 20Years対

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限定70台のトヨタGRカローラ・モリゾウエディションと、20周年を記念して発売されたVWゴルフR 20 Yearsという特別な高性能4WDハッチバックでスポーツしてみた。モータージャーナリストの国沢光宏がリポートする。

世界を代表するファミリーカー

少しばかり存在感が薄れたとはいえ、VWゴルフとトヨタ・カローラといえば世界を代表するファミリーカーである。ゴルフは2023年の欧州に於ける販売台数5位。カローラも日本の販売台数2位となった。興味深いことに両モデル揃って1970年代から高性能グレードをラインアップしてきた。ゴルフでいえばGTI、カローラがGTとなる。“伝統”を今でも引き継いでおり、最新作は両モデル揃って歴代最もHOTなハッチバックだったりする。



スペックを並べよう。初代VWゴルフGTIは標準車より100ccだけ大きい110馬力の1600ccで、サスペンションを変更した程度だったものの、乗ると(並行輸入車でした)驚くほど元気だったことを記憶している。今回試乗したVWゴルフRは20年前に登場した高性能4WDモデルだ。2000ccターボ・エンジンから333馬力/420Nmという4リッターV8並のパワーを引き出す。GTIがFFなのに対し、こちらはフルタイム4WDとなる。

トヨタ・カローラの場合、少し複雑だ。本家セダンのスポーツ・グレードは1995年に絶版となってしまうものの、欧州向けのトヨタ・オーリスとしてスポーツ・グレードを存続させていた。本家のスポーツ・モデルは絶版かと思われていたが、2022年にトヨタGRカローラとして突如復活! しかもパワーユニットにWRC参戦車両のため開発された1600ccターボをチューンナップして搭載するという、かつてないくらいバリバリの武闘派としてよみがえったのである!



20周年記念モデル

前置きはこのあたりにして試乗と行きましょう! VWゴルフRから。座り心地の良いセミ・バケットシートに座りプッシュ・ボタンでエンジンを始動。厳しくなった騒音規制対応のためか、期待を裏切る静かさである。Dレンジをセレクトして走り出す。VWに共通する7段湿式タイプの大容量DSG(ツインクラッチ)は上手に躾けられており滑らかだ。アクセル全開で加速するとシフトアップ時に「ぼふっ!」という気持ちよい音を出す。

1540kgのボディに333馬力は十分以上だ。ちなみに標準のVWゴルフRであれば320馬力ながら、今回試乗したのは20周年記念車で純正ロム・チューンされている。VWによれば0~100km/h加速は4.6秒という。奇しくも350馬力を発生する2.5リッター4気筒エンジンを搭載するポルシェ・ケイマンSと同じ。速いか遅いか聞かれたら「素晴らしく速い!」と答えておく。日本の道じゃこれ以上速くても使い切れないレベル。4WDなのでアクセルを全開にしても姿勢を乱さない。

今回試乗したVWゴルフR20 YearsはRシリーズ誕生20周年を記念して、ゴルフRをベースにしたスペシャル・モデルだ。

クローズされたサーキットやテスト・コースではパドル・シフトを使うと一段と楽しい。スポーツしてるぜ! という感じだ。DSGはパドルだとシフトのタイムラグがほぼ無い。加えてトルコンATのようなスリップ感も無し。クラッチを踏んでシフトするより速い。まぁ最近のハイ・パフォーマンス・モデルって、競技車両を含め、この手のトランスミッションだ。どのギアを使うか悩むことなく、ステアリング操作に専念出来る。VWゴルフRを買ったらショート・サーキットに持ち込むことをお薦めする。

サスペンションはいろんな意味で意外だった。GTIを凌ぐRということで、もう少しハードなのかと思いきや、街中を流していてストレスの無いレベルだったりする。標準で320kPsという驚くほど高い空気圧を指定した235/35R19という超扁平タイヤから想像する乗り心地と全く違う。それこそ初代ゴルフに対するGTIのような雰囲気である。奥様が買い物に行くときに乗ったって違和感は無いだろう。快適性はメルセデスのAMGに近いです。

インテリアはGRカローラと比べるとずっとモダンだ。



ただ、19インチ・ホイールいっぱいのサイズを持つブレーキなどを見ると、けっこう気合いが入っている。外観がほとんど標準モデルと同じということもあり(目立つのはタイヤ&ブレーキとスポイラーくらい)、全体的なイメージは初代から共通する「羊の皮を被った狼」だ。とはいえ価格はしっかり狼になっており、20周年記念車ということで792万8000円。円安という理由もあるが、少し前ならケイマンやAMGだって買えるレベルだ。

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