2024.06.07

CARS

ロールス・ロイス初のSUV、カリナンがシリーズIIに進化 贅沢をさらに極めたつくりに、思わずタメ息

ロールス・ロイス初のSUVである「カリナン」がマイナーチェンジを受け、シリーズIIとして英国本国で発表された。

2018年に発表

カリナンは2018年に発表され、過酷な条件でも卓越したオフロード性能が追求されるのと同時に、シーンを問わずロールス・ロイスが誇る「マジック・カーペット・ライド」と呼ばれる極上の乗り心地を実現している。なお、カリナンは、ロールス・ロイスのオーナーの平均年齢を2010年の56歳から43歳まで大幅に引き下げることに寄与したという。



フロント・マスクを刷新

シリーズIIとなったカリナンのフロント・マスクは、シンプルでありながらエッジの効いたラインやディテールが印象的。一枚岩のような堅牢さに、クリーンな表面が際立ち、ゆったりとしたプロポーションと存在感を強調している。

バンパーの線は、デイタイム・ランニング・ライトの最下点からクルマの中心に向かって浅い「V」字を描いていて、現代のスポーツ・ヨットの船首のような鋭いラインを彷彿とさせる造形となっている。さらに、その下には、新デザインのエアインテークが「ハ」の時に配置され、フロント・ビューを視覚的に下げる効果も果たしている。

中央にあるお馴染みのパンテオン・グリルは、前縁を低下させるとともに、イルミネーション付きにアップデートされた。デイタイム・ランニング・ライトの間にポリッシュ仕上げの水平な「ホライゾン・ライン」が新たに配されていて、ロールスの最高峰モデルである「ファントム・シリーズII」との明確な繋がりが表現されている。

リア・ビューで目を惹くのは、力強さを大胆に表現したエグゾースト・パイプ。鏡面仕上げのステンレス製が採用され、ボディと同一平面上にすっきりと収まっている。リアの底面には、エグゾーストの間を走るブラッシュ仕上げのステンレス製保護プレートが配されたのもマイナーチェンジの見どころだ。



23インチのアルミホイール

足元には、カリナン初導入となる23インチのアルミホイール。各ホイールは、アルミニウムの削り出しの立体的な切削面の7スポークは、部分仕上げまたは、全面ポリッシュ仕上げから選択することができる。センターの「RR」のキャップはこれまで通り、フローティング・タイプでホイールが回転しているときもキャップだけは回転せずに静態を保つ。

ボディ・カラーは新色の「エンペラドール・トリュフ」(Emperador Truffle)を追加。豪華な縞模様の茶色い大理石からインスピレーションを得たというモダンでミニマルなグレー・ブラウンとなっている。ガラス粒子が練り込まれたラッカーを使い、ビスポークの「クリスタル・オーバー」仕上げと組み合わせることで、朝日を浴びた新雪のような煌めきが得られるという。



最新のインフォテインメントを採用

一方のインテリアは、斬新な装飾とディテールが施されるとともに、ダッシュボード上部のピラーを横断するガラスの化粧パネルに変更された。新型の「セントラル・インフォメーション・ディスプレイ」も新しくなり、高機能の「SPIRIT(スピリット)オペレーティング・システム」を採用。最新のデジタル・インターフェースは、電気自動車=バッテリーEV(BEV)の「スペクター」で初めて導入されたもので、V12エンジンを搭載モデルでは、カリナン・シリーズⅡがスピリットが初搭載となる。

スピリットには、ロールス・ロイスのオーナー専用アプリである「Whispers」(ウイスパーズ)が組み込まれていて、アプリを通じて目的地を車両に送信し、カリナンの位置の遠隔確認や車両の施錠も管理することが可能だ。



多機能なリア・スクリーン

コネクティビティでは、とくに後席の進化が見どころになっている。リア・スクリーンに最大2台のストリーミング・デバイスを接続することが可能。このスクリーンには、車両管理機能やマッサージ、ヒーター、クーラーなどのシート機能を操作するためのビスポーク・インターフェースが搭載されている。また、インターネットを利用し、各スクリーンで個別のコンテンツを視聴することもできる。

助手席側のセントラル・インフォメーション・ディスプレイに並んで配置される「スピリット・オブ・エクスタシー・クロック・キャビネット」も新装備。はめ込み式ケースには、アナログ式の時計とライトで浮かび上がる「スピリット・オブ・エクスタシー」像が配された。ステンレス製の立像は、反射効果を生むマット・ブラックのバックパネルと光沢のあるサイドパネルの台座に鎮座している。



竹から作った生地

インテリア素材では、植物からインスピレーションを得たというパレットの採用がポイントだ。繊細な輝きを放つ美しい木目の天然オープンポア材「グレー・ステンド・アッシュ」が用意されている。これは1本ずつ厳選された素材で、ベニヤシートが手作業で染色され、微細な金属粒子を加えることで、独特の効果を生み出されるという。なお、同工程の開発には、4年以上の月日がかかったそうだ。

加えて、竹から作られた新しいレーヨン生地「デュアリティ・ツイル」の採用もトピックス。同素材は、ヘンリー・ロイス卿がかつて冬季を過ごしたヴィラ・ミモザに隣接する、コート・ダジュールの「地中海の庭園」に生息する広大な竹林からインスピレーションを得て開発された。ツイル織りのテキスタイルには、アーティスティックな「Duality」(デュアリティ)のグラフィックが刺繍されている。創業者のイニシャルであるRの二重文字を抽象的に解釈されたデザインで、セーリング・ヨットのロープが織り成すラインを想起させる、船舶の要素を反映されている。



このテキスタイルの開発には、1年以上を要したそうで、織物職人とのコラボにより実現。インテリア全体に施される「デュアリティ・ツイル」には、最大220万ものステッチと11マイルもの糸が使われ、20時間という工程を経て完成するという。各ピースは、一枚ずつ作り上げてから、素材のほつれと個々の糸の緩みを防ぐように特別に開発されたレーザーで裁断され、パターンの均一性を保持する。ベースとなる「ツイル・テキスタイル」は、「ライラック」、「チョコレート」、「ブラック」の3色で展開され、51色もの糸から選択可能となっている。

エンタメ面の進化もトピックス。ブルートゥース・ヘッドホンが後席インフォテインメント・システムとペアリングできるようになったほか、最新の18チャンネル1400Wのアンプが搭載された「18スピーカー・ビスポーク・オーディオ・システム」も備わる。

贅を尽くした内外装がさらに磨き上げられ、コネクティビティなどの進化も盛り込まれたカリナン・シリーズII。日本への導入時期や価格などは、現時点では明らかにされていない。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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