2024.07.05

LIFESTYLE

この映画を見るときっとあなたもフェラーリに乗りたくなる! 映画『フェラーリ』が描くエンツォ・フェラーリの情熱的な人生 演じたのは『スター・ウォーズ』のアダム・ドライバー!

当時のオリジナル車両を3Dスキャンして製作した撮影用のレースカー

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数々の伝説を残しながら1988年に亡くなったフェラーリの創業者、エンツォ・フェラーリ。そんなエンツォが様々な困難に直面していた1957年の出来事を描いた映画『フェラーリ』が公開された。一体、彼はどんな人物だったのか……。

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栄光に満ちた生涯ではなく


“コメンダトーレ”(社長)の呼び名で人々から親しまれ、そして畏怖された、フェラーリ社の創業者、エンツォ・フェラーリ。1957年、当時59歳だった彼を主人公にした本作品は、栄光に満ちた華やかな生涯ではなく、ビジネスマンとして、また夫・父として苦悩した、人生の闇の部分に焦点を当てた異色作となっている。



1947年に自身の名を冠したスポーツカー・ブランドを立ち上げたエンツォ。ル・マン24時間耐久レースやF1を制したことでブランドの名声を高め、顧客には世界の王族や、各界の著名人が名を連ねるようになった。だが会社の設立から10年後、特別な顧客に向けた少量生産のビジネス・スタイルは立ち行かなくなり、事業は破産寸前の危機に。また私生活では最愛の息子、ディーノを病気で亡くし、共同経営者である妻ラウラとの仲も冷え切ったものとなっていた。


そんな彼が起死回生を図って臨んだのが、イタリア全土1000マイルを横断する公道レース、ミッレ・ミリア。優勝を目指して5人のレーサーによるチームを編成するが、その先に待ち受けていたのは、スピードレースとしてのミッレ・ミリアを永久に開催禁止に追い込むほどの、壮絶な悲劇だった……。

当時の車両を3Dスキャン


監督は、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノの対決が話題を呼んだクライム・アクション『ヒート』や、たばこ産業の不正を描いた『インサイダー』など、男たちの闘いを描いた数々の作品で知られるマイケル・マン。死と隣り合わせのレースに挑んだ、この男たちの物語を描くことは、本人にとって30年来の悲願だった。その情熱はレース・シーンの迫力にも表れており、劇中に登場するクルマは、当時のオリジナル車両を3Dスキャンし、撮影用のクルマとして作り直したものだそうだ。



ちなみに本作のエンドロールには、フェラーリの現副会長であるピエロ・フェラーリの名前が登場する。映画にもエンツォの婚外子として登場するピエロは、この作品の脚本づくりにも協力したそうだ。他人を信用しない冷徹なビジネスマンと評されながらも、子供の前では温かな父親としての笑顔を見せる。そんな“コメンダトーレ”の生身の姿が伝わってくるのも、そこに父親に対するピエロの想いが反映されているからかもしれない。



原作は1991年に発表されたブロック・イェイツ著『エンツォ・フェラーリ跳ね馬の肖像』。いわゆる伝記ものではなく、1957年のわずか4カ月間の出来事を綴ったこの本の映画化にマイケル・マン監督は関心をもったという。その後、なかなか企画は実現しなかったが、ようやくエンツォ・フェラーリの役に決まったのはアダム・ドライバー。『スター・ウォーズ』の新シリーズに出演して以来、話題作への主演が相次ぐ人気俳優だ。エンツォの妻を演じるのはペネロペ・クルス。息子の死、そして夫との不仲に苦悩するヒロインを、いつもとは違ったダークな雰囲気をまといながら演じている。

『フェラーリ』はTOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー中。132分。配給:キノフィルムズ (c)2023 MOTO PICTURES, LLC. STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGIN2024年8月号)

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