2024.09.22

CARS

このアルファ・ロメオを世界遺産に認定したい! ジュリアとステルヴィオ、2台の“クアドリフォリオ”に試乗 これが新車で買える最後のチャンスかも

ジュリアとステルヴィオの2台のクアドリフォリオに乗ってみた!

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いまから23年前、創刊されたばかりのエンジン編集部に異動してきた編集部員シオザワは、マニュアル車の運転練習のために人生初めてのアルファ・ロメオを買った。以来、ずっとイタリア車に乗り続けるシオザワ。イタリア車のとは何なのか。夜の東京で、ジュリアとステルヴィオの2台のクアドリフォリオに乗って考えた。

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魅力的なアルファ・ロメオ

ジュリアとステルヴィオの2台に同時に乗るなんて、いつ以来だろう。ジュリアが日本に上陸したのは2017年。ステルヴィオはその1年後。テストしたのはきっとその頃だから、もう6、7年が経つわけだ。最近はとんとご無沙汰だった。久しぶりに対面してみると、なんだか懐かしい。3眼式のヘッドライトこそ最新のアルファ・ロメオよろしくアップデートされているが、それ以外の見た目は以前のままのように思える。

前輪をグッと前に突き出し、フロントのオーバーハングを極力少なくした、ハンドリング重視のサルーンであることが、そのたたずまいでわかる。

いまクルマを取り巻く世界はもの凄いスピードで変化していて、次々と最新技術や新しいデザインが登場しているけれど、ジュリアとステルヴィオの前に立つと、まるで過去にタイムスリップしたような気分になる。ジュリアなどは登場したときすでに走りもデザインもオールドスクール的なところがあったから、ちょっと冗談めかして言えば、もはやこの懐かしさはヤングタイマーに近い(笑)。

それが嫌かというと、僕はまったくの逆で、カッコいいとさえ思う。ジュリアの低く構えたペタペタの車高なんか、レース屋が手を入れたチューニング・カーみたいでちょっとゾクゾクする。クアドリフォリオを仕立てたアルファ・ロメオのエンジニア連中は、こんなの好きでしょ、と間違いなく確信犯でやっている。60年代にヨーロッパのレース界を席巻したジュリアGTAにアルファ好きがいまも憧れ続けているのを知っているのだ。いや、実はつくっている本人たちが憧れているのだと思う。それが溢れんばかりに滲み出ているのが、ジュリア・クアドリフォリオの最大の魅力だと改めて思った。

記憶のなかのジュリア

今回の試乗の舞台は夜の東京だ。久しぶりに乗るジュリアに実はちょっとワクワクしていた。キーを手にしてまず頭に浮かんだのは、がっかりしたら嫌だなということだった。いまでも魅力的に感じるか、それともただ古臭いと感じるか。結論から言うと、感動した。ジュリア・クアドリフォリオは素晴らしいドライバーズ・カーだった。

いまとなっては古臭いとも言えるコックピットだが、それがまたいい。フェラーリ製V6ターボのパワーを御すステアリングの剛性感は凄まじい。

記憶の扉を開けて、奥の方から引っ張り出したかつて箱根のワインディングを走ったときの印象は、もの凄く速いが、510馬力のFRを御すのは大変だということだった。あるスピード域までは何事も起こらない。でも、本当の能力はもっと上にあり、それを引き出そうとするとヒリヒリするような緊張感があった。

速さを優先して開発されたために街中の低速でギクシャクしたり、乗り心地もいまひとつだった。しかしその一方で、操る喜びを感じさせてくれたところは素晴らしかった。クルマに乗せられているのではなく、自分が運転しているという感覚。それがなによりも素敵で、ネガティブなことをあっさりと打ち消した。当時はそう思えたが、いまならどうだろう?



打倒M3&C 63 AMGの旗を掲げて登場したジュリア・クアドリフォリオの魅力は、電子制御に頼り過ぎないアナログ的な走りにあった。しかし、ライバルも黙ってはいない。電子制御に磨きに磨きをかけたいまは、ドライバーの技量に応じてドリフト量までコントロールするような、走る喜びを犠牲にしないスポーツ・モデルが生まれている。登場したときのまま進化を止めたように思えたジュリアに、今更出る幕はないのではないか。今回試乗する前はそう思っていた。ところが、それは間違いだった。着実に進化していたのだ。怖いほどキレッキレだったステアリングは、過剰さがなくなって絶品の切れ味となり、低速でギクシャクした8段ATとV6ターボの制御も見違えるようにスムーズになっている。

さらに、乗り心地が良くなっていることは走り出した途端にわかった。510馬力もあるので硬いのは当たり前だが、驚いたことにアルピナのようなビロードテイストまである。硬いけれど滑らかで、ザラつくような感触はない。思わず「いいねぇ」と声が出たほどだ。



アルファ・ブランド復活の旗振り役だったセルジオ・マルキオンネが急死して、アルファの歩みは止まったも同然と思っていたが、社内のエンジニアたちは地道に熟成を進めていたのだろう。たぶん現行モデルが最後となるジュリア・クアドリフォリオだが、いまが一番いいデキなのかもしれない。

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