1998年型のマセラティ・ギブリとオーナーの木村さん。
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スーパーカー・ブームでガンディーニのデザインに憧れた少年が数十年後にマセラティ・ジャパンの代表に就任して手に入れたのは、ツンドラ・ヴェルデに彩られた、彼が手掛けた作品の1つであった。
この色に一目惚れ
その姿を初めて見たのは今年4月。袖ヶ浦フォレスト・レースウェイで最新モデルを揃えて行われたマセラティ“NETTUNO(ネットウーノ)”メディア・テスト・ドライブの会場だった。プレゼンテーションの席にものすごく綺麗でオリジナル度の高い2代目ギブリが展示されていて、まだこんなに良い個体が残っていたのか! と驚いた。そしてそのオーナーがマセラティ・ジャパン代表取締役の木村隆之さんだと知って2度驚いた。

「この色に一目惚れしてしまいました。ツンドラ・ヴェルデ、ツンドラ(凍土帯)のグリーンという色なんですが、昨年末に買って今年3月に手元に来ました。まさにあの袖ヶ浦がお披露目でした」
ギブリはマセラティ・レーシングの後継として1992年12月に発表された222系ビトゥルボの流れを汲むモデルである。マッシブなブリスター・フェンダー、リア・ハイデッキのボディ・スタイリングを手掛けたのは、3月に亡くなった鬼才、マルチェロ・ガンディーニだ。

「まさにスーパーカー世代なんです。小学2、3年の時にカウンタックLP400に座ってポラロイドで写真を撮ってもらったのを明確に覚えていますよ。やはりガンディーニは特別ですよね。その当時一番好きだったのも、マセラティではなくミウラでしたね(笑)」
その後18歳で免許を取った木村さんは、親戚からお下がりの610系日産ブルーバード1600SSSでクルマ生活をスタートする。
「その次に買ったのがホンダ・プレリュード。リトラクタブル・ヘッドランプの2代目です。家庭教師と塾の講師のバイト代でパワステもパワー・ウインドウもない一番安いグレードを選びました。ダブルウィッシュボーン・サスペンションでフロントがめちゃくちゃ低い。乗り込んだ瞬間の視界の切り取り方が他と全然違う。試乗して“なんだこのクルマ!”とお金もないのに買うって決めてました。クルマでめちゃくちゃ感動したのは後にも先にもプレリュードだけかもしれないなぁ」
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