2024.08.04

CARS

ヤフオク7万円で買ったシトロエンのオーナー、エンジン編集部ウエダ、フランスの聖地でうれしいサプライズが!【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#44】

シトロエン博物館、コンセルヴァトワールのバックヤードであるファクトリー・スペースにいたコンセプトカー、アクティバ2。実はこの写真を撮った直後、追い出されてしまったのだが、この日のイベント終了間際、念願叶ってじっくり眺めることができた。SM以来のシトロエン・クーペになる可能性は、もはや完全になかったのだろうか。

全ての画像を見る

advertisement


モンスターとサプライズ

その後もレショーさんへの熱心な参加者からの質問は、まったく終わりそうになかった。進行役のベリニエさんが、コンセルヴァトワールの管理人であるドゥニ・ユイユさんへマイクを渡すことができたのは、もう開始から2時間が過ぎようとしていた頃だった。ユイユさんは博物館所蔵のエグザンティアたちにまつわるいくつかのエピソードと、唯一モータースポーツに参戦し、1994年から1999年末までの6年間で5つのタイトルを獲得したエグザンティア・ターボ4×4ラリークロスについて紹介した。



エグザンティア・ターボ4×4ラリークロスは、BX由来の1.9リットル・エンジンをギャレット製ターボで過給し、さらに搭載方法を横方向から縦方向に置き換えてしまった完全な競技用の4輪駆動のレーシング・マシンだ。最終的には最高出力はなんと700ps以上まで引き上げられている。さらにはオーバー・フェンダーと巨大なウイングで武装し、市販車とまったく異なるハイドローリック・システムを備えた、いわばモンスター・エグザンティアである。

これもひと目見たかった1台だったのだが、この日、エグザンティア・ターボ4×4ラリークロスは残念ながら不在だった。しかし現在69歳になるかつてのドライバー、ジャン=リュック・パイエさん自らが、メンテナンス中の実車について動画の中で説明をしてくれた。そして5月に彼のようなレジェンド・ドライバーが参加するイベントへ、このモンスターでエントリーすると意欲を見せた。




いやはやそれにしても、エグザンティアにまつわるこれほどまでに濃いトークが展開するとは、イベント参加前にはまったく想像していなかった。まさにお腹一杯で頭はオーバヒート寸前。本当に遠くパリまで駆けつけた甲斐があったというものである。

しかもトークショーの最後に、聞き捨てならないことがもう1つ発表された。

「コンセルヴァトワールからサプライズがあります。エグザンティアに詳しく、2台のコンセプトカー、アクティバのことをよく知っている皆さんは、館内にアクティバ1だけしか飾られておらず、アクティバ2がいなかったことに気がついたかもしれません。実はアクティバ2はバックヤードのファクトリー・スペースにいます。リフトに上がっているので、下まわりを覗いたり、写真を撮ったりできます。大勢では入れないので、グループに分けてメカニックが誘導します。ご自由にどうぞ!」

アクティバ2の美しいサイドビューがよく見える。長いフロント・オーバーハングと切り詰められたテールのバランスが素晴らしい。
ふたたびアクティバ2の元へ。この時はボンネットが開けられていた。

一瞬言葉が聞き取れず出遅れてしまったのだが、さきほど固く閉じられていた秘密のバックヤードへの扉は、この時より参加者に開放された!! 先ほどいったん追い出されてしまったのは、アクティバ2がこの日の来場者に向けた、コンセルヴァトワールからのとっておきのサプライズだったからだ。

フロント・フェンダーに控えめに付けられたエンブレム。
コンセプトカー、アクティバ2の後ろ姿。左右2本出しのマフラーの周囲は完全に覆われている。

このなんともうれしいプレゼントのおかげで、僕は無事ファクトリー・スペースへ再び潜入。念願だったアクティバ2の姿を、じっくりと360度全方位からまじまじと眺め、存分にカメラに収めた。残念だったのはリフトに上がったままだったので、室内が覗けなかったことだけである。

まだまだ名残惜しかったのだが、そうこうしているとフランスを発つ飛行機の時刻が迫ってきた。アクティバ・クラブ代表ベリニエさんに改めて礼をいいに行くと、彼はわざわざ僕のために、シャルルドゴール空港までのクルマも用意しているという。しかも案内された駐車場にいたのは、漆黒のシトロエンC6だった!


コンセルヴァトワールからシャルルドゴール空港まで僕を送ってくれたヴァンソン・ミュジーさんと彼のC6。

オーナーのVincent Muser(ヴァンソン・ミュジー)さんはもちろんアクティバ・クラブのメンバーだそうだ。このC6に加え、エグザンティアV6アクティバとアミ8ブレーク、BXなどを所有しているらしい。

例によってフランス語と英語と日本語がちゃんぽんになりながら、お互い興奮気味に今回のイベントの感想を熱く語っていると、なんとか通じてしまうからマニアというものは本当に恐ろしい……。


こうしてミュジーさんのドライブでC6は定刻前に無事、空港に到着。僕のシトロエンにまつわる、ポーランドとフランスという2つの国を駆け抜ける旅は、彼の極上のC6が締めくくってくれたのだった。

なかなかに忙しいスケジューリングだったし、当然何もかも自腹だから旅費の捻出は正直大変だったけど、おかげでたくさんのエグザンティアとシトロエンに関わる人とのつながりを持つことができた。様々な形でこの旅をサポートしてくれたすべての人々に、心より感謝したい。


ミュジーさんのC6を見送り、機上のひとに。これにて2023年春のエンジン・ウエダの冒険は無事終了!

なお、すっかりクルマにまつわる旅に味をしめた僕は、2024年、さらなる濃く深い世界を求め、もっとハードなプランを立ててふたたび機上の人となった。この新たなる旅については、また機会を改めてご紹介したいと思う。

■CITROEN XANTIA V-SX
シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2023年5月時点までの支払い総額は238万922円)
導入時期 2021年6月
走行距離 17万4088km(購入時15万8970km)

文と写真=上田純一郎(ENGINE編集部)
協力=ACTIVA CLUB

(ENGINE WEBオリジナル)

◆エンジン編集部ウエダのシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート連載一覧はコチラ
ヤフオク7万円25年オチのシトロエンの長期リポート連載!

◆ちょっと古いクルマ趣味を愉しむ人たちのリポート一覧はコチラ
ちょっと古いクルマが面白い!

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement