2024.07.26

CARS

ライバルのシエンタを超えたか? フルモデルチェンジで3代目に進化したホンダ・フリードの実力やいかに! モータージャーナリストの国沢光宏が試乗!!

フルモデルチェンジで3代目に進化したホンダ・フリードの実力は?

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家族持ちから絶大なる支持を得ているホンダのBセグメント・ミニバン。気になるのはやはり、宿敵トヨタ・シエンタに勝っているか否か。果たして……。モータージャーナリストの国沢光宏がリポートする。

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その差は挽回できるのか?

コンパクトな3列シート・ミニバンとして人気のフリードがフルモデルチェンジした。今や軽自動車メーカーになりつつあるホンダにとって大切な白ナンバー車といってよい。このジャンル、シエンタという手強いライバルが存在しており、先代フリードは押され気味だった。果たして挽回できるだろうか? 結論から書くと、エンジン誌の読者層なら、弱点となっている価格競争力(同じ装備内容でシエンタより40万円高い)は気にならないだろうからフリード優勢だと思う。



シエンタと比べた時の優位点は、3列目シートの居住空間と、パワーユニットの滑らかさにある。やはりこのクラスのミニバンであっても、3列目シートの実用性を重視したくなるだろう。シエンタの場合、1列目と2列目に私が(身長183cm)座ると、3列目は子供用のレッグスペースしか残らない。ポルシェ911のリア・シートですね。フリードなら私サイズでも窮屈ながら物理的に座れる。BMW M2のリア・シートをイメージしていただければいい。



パワーユニットはトヨタ式のハイブリッドを使うシエンタだと、エンジンが掛かるときにやや滑らかさに欠ける。3気筒のため、エンジンそのものの存在感もある。フリードの場合、基本的にエンジンは発電機を回すだけ(巡航時のみ直結モードがある)。加速時などは電気自動車と同じ滑らかさだったりする。エンジンが掛かっても4気筒のため、シエンタより存在感が薄い。その他、乗り心地の質感だって高い。価格差を考えず純粋に良いクルマを選べとなったらフリードかと。



とはいえ、このカテゴリーのメイン・ターゲット層だと40万円分の差を評価できるかとなれば「厳しいかもしれません」ということになる。しかもフリードのオプションは高い。シエンタだと8万9100円で10.5インチの大画面ナビが付くのに、フリードは11. 4インチで32万円。シエンタだと標準装備のETCだってフリードだとオプションになってしまう。現時点での受注状況は好調ということながら、遠からず少し厳しくなってくるかもしれない。



エンジン誌を読んでいる方におすすめなのはSUV風デザインを持つクロススターの2列5人乗りに設定されているリフトアップ仕様。身近に御高齢の方がいるようなら、この手のクルマを買っておくと役に立つ。現時点でニーズなければ、アウトドア・グッズをまとめたキャリーカーなどの荷物を載せることができる。社会貢献の一環(やがてクルマの10%くらいが福祉車両じゃないとダメな高齢化社会になります)ということで消費税は対象外。ベース車両より13万2500円高いけれど、中古車相場が高いため手放すときのリセールバリューはそれ以上に高いと思う。

文=国沢光宏 写真=茂呂幸正

(ENGINE2024年9・10月号)

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