ポルシェにおいて高性能の代名詞である「ターボ」の歴史と技術の進化を体験するワークショップが、誕生50周年を記念して、ドイツ・シュトゥットガルトで行われた。モータージャーナリストの藤原よしおが現地からリポートする。
ターボモデル一気乗り!今では911GT3系と、ケイマン&ボクスターのGTS4.0以外、ポルシェの内燃機関ラインナップはすべてターボ・モデルになっている。思えば単一メーカーとして最多勝を誇るル・マン24時間レースにおいても、全19勝のうちの17勝はターボ・エンジンで獲得されたものだ。
そんなポルシェ・ターボの市販モデルである930ターボのプロトタイプがパリ・ショーでデビューを飾ってから今年で50年。ポルシェ・ミュージアムではそれを記念して“Beyond Performance-50Years of Porsche Turbo”と題したワークショップを、ドイツ・シュトゥットガルトを舞台に行った。そのメインとなったのが、ミュージアムカーの930ターボ、944ターボ、初代カイエン・ターボS、初代パナメーラ・ターボ、そして最新の992ターボS、タイカン・ターボの一気乗りだ。個人的にはどれも過去に乗ったことがあるモデルだったのだが、改めて3リッター・フラット6シングルターボを積む極初期の930ターボに乗って驚くのが、今や死語となったターボ・ラグだった。とにかく3000回転までは、低速トルクもあって大人しく乗りやすい印象なのだが、3000回転を超えたあたりからターボが効きはじめ、4000回転を超えるとパワーが一気に炸裂する! そのギャップたるや凄まじいもので「ドッカンターボ」と言われる理由がよくわかる。
それが2.5リッター・シングルターボの944ターボになると、その傾向が随分と弱まり俄然乗りやすくなる。そして今や懐かしい4.5リッターV8ツインターボのカイエン・ターボSや、4.8リッターV8ツインターボのパナメーラ・ターボではほとんどラグが消え、最新の992ターボSになると圧倒的なパワー感とともに、非常にナチュラルなスロットルレスポンスを示すようになる。「ターボの開発は、ターボ・ラグの解消と効率化の追求の歴史です」と、80年代末から開発エンジニアとして活躍してきたトーマス・クリッケルベルクは言う。そしてそれらの技術はレースフィールドの中で磨かれ、フィードバックされてきたものだということを、ポルシェ956のデモランや、ミュージアムの展示を通じて実感したワークショップであった。文=藤原よしお 写真=ポルシェジャパン/藤原よしお(ENGINE2024年9・10月号)
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