2024.10.05

CARS

0-100km/h加速2.5秒は歴代コルベット最速タイム! シボレー・コルベット初のハイブリッド・モデル、イーレイにモータージャーナリストの佐野弘宗が試乗 目標は“世界一のGT”

史上初の電動=ハイブリッドのコルベット、E-Ray(イーレイ)。

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エコなコルベットじゃない

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ツアーやスポーツ、そしてサーキット……といった従来どおりの走行モードで走るときのE-Rayは、アクセル開度や速度や舵角、タイヤのスリップなどを検知しながら、前輪モーターにも駆動配分する。いわば、後輪駆動ベースのオンデマンド4WDなのだが、アクセルを深く踏み込んだ瞬間以外のフロント配分は全体に控えめな印象だ。とくに操舵時にはフロント配分を極力控えて、安定性より回頭性を優先するあたり、いかにもスポーツカーらしい。

スポーツシートの形状は既存の標準モデルと同じ。


もちろん、条件が整うとモーターもフル稼働する。そんなときのE-Rayの0-100km/h加速は2.5秒! これは歴代コルベット最速タイムだそうだが、そもそもゼロヒャク2秒台なんて、純エンジン車には数えるほどしか存在しない。

ただ、そんな怒涛の瞬発力とは裏腹に、E-Rayの乗り味はコルベットのなかでも、もっとも洗練されている。Z06などと共通のワイド・ボディと20/21インチ・タイヤを組み合わせたE-Rayは、そもそものシャシー能力がすこぶる高い。クーペ比で140kgほど重くなっているが、前後重量配分は改善。さらに、センタートンネルに詰め込まれたリチウムイオンが、ボディ剛性向上に寄与している可能性も高い。



……といったもろもろの恩恵なのか、E-Rayの市街地や高速での乗り心地は、今あるどのコルベットよりフラットで快適だ。控えめな駆動配分もあって、通常時はいかにもミドシップらしい軽快さであるいっぽう、V8の大トルクを存分に解放しても絶大な安心感に包まれるのは、4WDのおかげというほかない。

モーターがフル稼働するような激しい走行下でのE-Rayの燃費は、標準のコルベットより良好なケースがあるらしい。しかし、本国のカタログ燃費値は、E-Rayだからといって燃費がいいわけではない(笑)。いっぽうで、4WDならではの特性を生かして、E-Rayは雪道での操縦性もきっちり開発されたとか。

E-Rayの生まれたきっかけは、来たるべき環境規制をクリアするためだが、かといって単純にエコなコルベットでもない。開発目標は“世界一のGT”で、走る場所や天候を選びたくないオールラウンダーのための新種コルベット……と捉えたほうが、このクルマの本質に近い。

文=佐野弘宗 写真=茂呂幸正


■シボレー・コルベットE-RAY
駆動方式 フロント・モーター、ミドシップ縦置きエンジン4輪駆動  
全長×全幅×全高 4680×2025×1225mm  
ホイールベース 2725mm  
トレッド 前/後 1675/1620mm  
車両重量(車検証記載前後軸重) 1810kg(760/1050kg)  
動力形式 V型8気筒OHV16V+前1モーター  
総排気量 6156cc  
ボア×ストローク 103.2×92.0mm  
最高出力 エンジン(モーター) 502ps/6450rpm(162ps/9000rpm)  
最大トルク エンジン(モーター) 637Nm/5150rpm(165Nm/0-4000rpm)  
変速機 デュアルクラッチ式8段自動MT  
サスペンション形式 前後 ダブルウィッシュボーン+コイル  
ブレーキ 前後 通気冷却式カーボン・ディスク  
タイヤ 前/後 275/30ZR20 97Y/345/25ZR21 104Y  
車両価格(税込) 2350万円  

(ENGINE2024年11月号)

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