2024.10.13

CARS

悪路性能、頂上決戦! 日本代表トヨタ・ランドクルーザー250 vs 世界選抜ジープ・ラングラー&ランドローバー・ディフェンダー 本格派ゆえ心して乗るべし!!

実力・人気・伝統の三拍子そろったクロスカントリー4WDのワールドカップ!

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三拍子そろっている

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というわけで、実力・人気・伝統の三拍子そろった3台は、クロスカントリー4WDのワールドカップ代表として文句のない顔ぶれである。

新型250に用意されるパワートレインは2.8リッター直4直噴ディーゼルターボ(8段AT)と2.7リッター直4ガソリン(6段AT)の2種類。グレードは前者がZX/VX/GX(これのみ5人乗りで他は7人乗り)。後者はVXのモノグレードだ。



今回の試乗車はディーゼルの最上級グレードZXだ。250のメカニズムは兄貴分の300に準じている。300で新開発されたフレーム構造プラットフォーム(GA-F)を250用に改良して採用、センターディファレンシャルにトルセン式LSD(電磁式ロック機構付き)を備えたフルタイム4WDシステムも300同様。また先代に当たる150系プラドに比べると一気に大型化されたボディの寸法は、4925×1980×1935mm(ZXグレード)というもので、実は旗艦モデルたる300に比べて全長が70mmほど短いことを除けばあまり変わらない。ホイールベースは黄金律として維持されてきた2850mmで300と同一。違うのは同じディーゼルZX(300は3・3リッターV6ディーゼル・ターボ)で比べた場合、200kg近く軽い車重と電動パワーステアリング、そしていわゆるホイール・アーティキュレーション(300の方がホイール・ストロークが長い)である。



竦むような巨岩が転がるオフロード・コースですでに体験済みだが、150kW(204ps)/3000~3400rpmと500Nm/1600~2800rpmを生み出すディーゼル・ターボは特に低速での扱いやすさが印象的で、また電動パワステは普通なら覚悟するような岩を乗り越えた際も、まるでキックバックがなくむしろ戸惑ったほどだ。オンロードでも同様の印象ながら、さすがにおよそ2.4トンの巨体ゆえ、高速道路の合流ランプなどでは正直加速はいまひとつ。乗り心地もフレーム構造+後輪リジッドに由来する横揺れも感じるが、300のデビュー直後に気になったピッチングはほぼ解消されている。そもそもこれは他の乗用車ベースのSUVと比較した場合の話で、従来型プラドと比べれば明らかに洗練されており、300と比べてもはっきり軽快だ。これで520万円(GX、ZXは735万円)からという価格は、今時ちょっと安すぎるのではないだろうか。



ディフェンダー110D300は、3リッター直6ディーゼル・ターボ(4300ps/650Nm)に48Vマイルド・ハイブリッド付きで、さらにはエア・サスペンションも装備するだけに価格も856万円から(MY2024)と、正直言ってクラスが違う。トラック然としたワークホースだったかつてのディフェンダーとは違い、今やレンジローバー譲りのプレミアム4WDである。ディーゼル・エンジンは48Vマイルド・ハイブリッドのおかげで始動はもちろん、全域でスムーズで滑らかで静粛だ。オンロードの乗り心地も別格である。



センターに加えて前後にもデフロック機構を備える硬派モデルのラングラー・ルビコンのパワートレインは他のグレードと同じく、272psと400Nmを生み出す2リッター4気筒ターボ+8段ATで、セレクトラック・フルタイム4×4と称する4WDシステム(2H/4WDオート/4H/4L切り替え式)も、重く渋い切り替えレバーも従来通りである。比較的軽量(2110kg)とはいえ2リッターターボでは心許ないと思うかもしれないが、意外や踏めばかなり敏捷に走れるのがラングラーである。現行JL型ラングラーは、それ以前のモデルとは同列に語れないほどオンロードでの扱いやすさが向上したことが特長で、直進性ひとつとっても段違いに現代的に進化している。ただしこのルビコンにはいかにもゴツイ見た目のマッドタイヤが装着されており、そのせいでステアリングの手応えがちょっと曖昧だった。

唯一無二の存在


プレミアムに移行したディフェンダーと、野山を駆け回るスポーツ4WDとしてのポジションを守るラングラーに対して、現代的に進化しながらもワークホースとしてのポリシー(信頼性、耐久性、悪路走破性)を堅持するランクルは気が付けば唯一無二の存在になっている。その本物度がお洒落で乗りたい人の心もつかんでしまうのだろうが(もちろんそれでも結構なのだが)、持て余さないかどうかだけは確認してほしいというのが、老婆心ならぬオジサン心である。

文=高平高輝 写真=神村 聖



■トヨタ・ランドクルーザー250 ZX
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4925×1980×1935mm
ホイールベース 2850mm
車両重量 2410kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ・ディーゼル
ボア×ストローク 92×103.6mm
排気量 2754cc
最高出力 204ps/3000-3400rpm
最大トルク 500Nm/1800-2800rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) トレーリングリンク/コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 265/60R20
車両本体価格 735万円

■ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4870×1930×1855mm
ホイールベース 3010mm
車両重量 2110kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ
ボア×ストローク 84×90mm
排気量 1995cc
最高出力 272ps/5750rpm
最大トルク 400Nm/3000rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) リジッド/コイル
サスペンション(後) リジッド/コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 225/75R17
車両本体価格 889万円

■ランドローバー・ディフェンダー110X
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4945×1995×1970mm
ホイールベース 3020mm
車両重量 2460kg
エンジン形式 水冷直列6気筒ターボ・ディーゼル+モーター
ボア×ストローク 83×92.2mm
排気量 2993cc
最高出力 300ps/4000rpm+13kW/5000rpm
最大トルク 650Nm/1500-2500rpm+42Nm/2000rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エア
サスペンション(後) マルチリンク/エア
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 255/60R20
車両本体価格 1265万円

(ENGINE2024年11月号)

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