2024.11.01

CARS

遊び心満載のいま注目のEVがこれ! ジープ初のEV、アベンジャーにモータージャーナリストの森口将之が都内で試乗!!

試乗したのはジープ・アベンジャー・アルティテュード。

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フィアット600eと兄弟関係にあるBセグメントSUVの電気自動車。EVだったり、前輪駆動だったりとこれまでのジープとは異なる点は多い。しかし、乗ってみるとこれが、ジープらしさが感じられるクルマだった。モータージャーナリストの森口将之がリポートする。

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ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞


ラングラーやレネゲード、グランドチェロキーにプラグイン・ハイブリッド車を用意するなど、彼らなりのプロセスで電動化を進めているジープにとって、初のEV専用車たるアベンジャーが日本に上陸した。



少し前に発売されたフィアット600eと同じ、ステランティスの新世代電動プラットフォームのeCMP2を用いており、レネゲードに続いてヨーロッパで生産される。

EVであることに加えて、現行ジープで最小のボディともども、アメリカン・ブランドでありながら、ヨーロッパ志向の強いモデルと言える。その点が評価されたのか、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを2023年にジープで初めて受賞している。

日本仕様は、発売を記念した150台限定のローンチエディションと、カタログモデルであるアルティテュードで、今回は後者に乗った。

インパネまわりは、センターのボタン式シフト・セレクターなどはフィアット600eと共通するが、シルバーをあしらった水平基調の造形、3スポーク・ステアリングなどでジープらしさをアピールする。


天地の薄い7スロット・グリルと角型ヘッドライトを組み合わせた顔つきや、前後のウインドウを適度に傾けたキャビンなど、スタイリングはグランドチェロキーの流れを汲んでいると感じる。ジムニーやランドクルーザーを日常的に見る日本では、丸みのある優しい形に映る。

とはいえ伝統の7スロット・グリルに加えて、明確に張り出した台形のホイールアーチ、点灯時にジェリー缶を思わせるX字型グラフィックが浮き上がるリア・コンビランプが、ジープであることを証明しているし、ウインドスクリーン端やフロント・バンパーのインテーク、ドアを開けると見えるインパネ断面など、あちこちに隠れキャラがちりばめてあるところは、レネゲード同様だ。

スペースはBセグメントの標準。


都市景観を大事にするヨーロッパ製ということもあって、街に溶け込みやすいデザインとしつつ、ディテールでジープらしさをアピールするという方向性が伝わってきた。

ジープらしい乗り味

フロントに横置きされ前輪を駆動するモーターは、最高出力156ps、最大トルク270Nmと、600eと同じスペックだ。車両重量は1570kgとEVとしては軽めなので、加速に不満はない。EVだからスムーズかつ静かなのはもちろん、発進停止の癖もない。600eもそうだが、躾が行き届いている。

回生ブレーキを強めるのは、センターコンソール奥にあるシフト・セレクターのDボタンを押してBにするだけで、しかもそれほど強い減速は得られない。市街地走行を念頭に置いた設定に思えた。

355リッターのラゲッジスペースは、ハンズフリー・パワーリフトゲートでアクセスする。

 
その代わりアベンジャーには「セレクテレイン」と呼ばれるドライブ・モードが用意され、ノーマル/エコ/スポーツに加えてスノー/マッド/サンドの6モードを持つうえに、ヒルディセント・コントロールを標準装備する。オフロードに挑む際はこれらのデバイスを使えばいい。200mmと十分な最低地上高も味方になるはずだ。

乗り心地は、少し前に乗ったフィアット600eより骨っぽく、ジープらしかった。タイヤは600eの215/55R18に対して215/60R17で、乗り心地には有利なはずなので、ブランドにふさわしいサスペンション・チューニングをしているということなのだろう。



しかし速度を上げていくと滑らかな乗り味になっていくし、シートは厚みがあってサポート性も十分。直進安定性は不満なく、先進運転支援システムに含まれるアダプティブ・クルーズコントロールの作動感も違和感はないので、WLTCモードで486kmという満充電での航続距離は苦もなくクリアできそうだ。

加えてハンドリングはエンジン車より重量バランスに優れたEVらしさを伝えつつ、過敏な動きを抑えたジープらしいもので、うまくまとまっていると感じた。

細かい部分であるが、ウインカーを出した時の音はドラムのような響きで、前述した隠れキャラ同様、細部まで行き届いた演出に感心した。

懐に余裕がある2拠点生活の人が、地方での近場の移動に使うのに良いかもしれないと思った。自然保護は意識したいし、地方のガソリンスタンド不足は深刻。手頃なサイズでありつつ、都会を離れたことを実感できるキャラクターがいい。SUVのEVは数あれど、この条件に叶うモデルは限られてくると思うのだ。

文=森口将之 写真=望月浩彦

■ジープ・アベンジャー・アルティテュード
駆動方式 前モーター前輪駆動  
全長×全幅×全高 4105×1775×1595mm  
ホイールベース 2560mm  
トレッド(前/後) 1540/1530mm  
車両重量(車検証記載前後軸重) 1570kg(870/700kg)  
モーター形式 交流同期モーター  
モーター最高出力 156ps/4070-7500rpm  
モーター最大トルク 270Nm/500-4060rpm  
変速機 1段固定  
定格電圧/電池総電力量 375V/54.06kWh  
一充電走行距離(WLTC) 486km  
サスペンション形式 前/後 ストラット式/トーションビーム式  
ブレーキ 前/後 通気式ディスク/ディスク  
タイヤ 前後 215/60R17 96H  
車両価格(税込) 580万円  

(ENGINE2024年12月号)

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