2025.02.14

CARS

2025年版、2台持つとクルマはもっと楽しい! ポルシェ356Bとフォード・モデルAのオーナーのクラシックモデルの愛し方とは

ポルシェ356B(1962)とフォード・モデルA(1931)とオーナーの岡田さん。

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伝統的ホットロッドとの出合い

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「昔のオープンホイールに魅力を感じました。ただ、ブガッティなどはそう簡単に手が出せるものではありません。そこで色々と調べて辿り着いたのがフォード・モデルAでした」

ご存じのように、自動車の大衆化を図ったモデルTの後継として1927年に登場したのがモデルAだ。多くのボディバリエーションを持ち、先代に負けず劣らず人気を博した。しかも岡田さんが目をつけたのはその「ホットロッド」仕様というから面白い。ホットロッドと聞くと派手なカラーリングを纏い、現代的なV8を積んで車高を低めたカスタムカーをイメージしがちだが、岡田さんが惹かれたのは「トラディショナル・ホットロッド」と呼ばれる、極端なチューンは施さない伝統的なスタイルである。そんな想いを専門ショップに相談したところ「クルマを作りましょう」と話が進んだという。

1931年式5ウィンドウ・クーペをベースに、日本のホットロッドビルダー「J-MOTORS」でカスタムされた岡田さんのモデルA。ボディ右サイドには「NUTS ART WORKS」によるオリエンタルな龍のイラストが描かれる。

「ベース車はアメリカのアリゾナで見つかった1931年式フォード・モデルAの5ウィンドウ・クーペ。シャシーやサスペンションは当時の形式を生かしつつ、ボディはウィンドウ部分の天地を切り詰めたチョップドトップに変更。エンジンはオリジナルの3.3リッターサイドバルブ式4気筒を踏襲しながら、ブロックをアロイの新造品に換装し、その上でOHVヘッドを載せたものにしました」


エンジン部分はかなり手の込んだ仕様となったが、その点はビルダーのセンスを信頼し、任せたという。このほかにも電装系は12ボルトに改めるなど、伝統と現代技術の融合が図られた一台となっている。



「ペイントや内装は自分の好みを反映してもらっています。ボディサイドには自分の干支の龍を入れてもらったりして。356Bは文化遺産のような存在であり、オリジナルの状態を保つ責任感のようなものがありますが、モデルAは基本をしっかりと押さえながらも自分らしさを加えた一台に仕立てられるのが魅力です」


モデルAはベース車両の購入からカスタム完成まで3年ほどを費やした渾身の一台。これで週末のドライブを始め、ドラッグレースやラリーにも参加しているという。

“FourBanger”と呼ばれる3.3リッター 4気筒はサイドバルブ式からOHVに改められた。

「ゼロヨンではなく0.1マイルのドラッグレースに出ています。3.3リッター4気筒エンジンはトルクが厚くてスタートダッシュが速い。この点は356Bも敵わないんじゃないかなと思います。もちろんサーキットではポルシェでしょうけどね」

自らが楽しむということ


そうしてフォードとポルシェを交互に可愛がる岡田さん。モデルAは2024年初頭に手元に来てから3000キロの距離を刻んだというから、相当楽しまれているようだ。

「モデルAを作る際、龍とともに反対側のボディサイドにはヘンリー・フォードの言葉の『CHOP YOUR OWN WOOD IT & WILL WARM YOU TWICE』をペイントしてもらいました。労働には十分以上の価値があるということ、DO IT YOURSELF で自ら楽しむことが大事ということですよね。自分で所有し、体験してみてポルシェとフォードはまったくキャラクターが異なるものだとわかり、どちらも違う楽しみ方ができました。ある意味で互いの足りないものを補完し合えるのがいいですね」



そんなふうに2台のクラシックモデルの魅力を語ってくれた岡田さん。異色ではあるものの、独特の世界観の2台持ちの醍醐味を、実体験を交えながら教えてくれる伝道師と言えるだろう。この点は岡田さんも自覚しており、トラディショナル・ホットロッドに関しては自身でもその魅力を広めていきたいと語ってくれた。

そしてそんな趣味世界への新しい扉が開く鍵は、実は週末の何気ないひとときに転がっているのである。さあ、皆さんも愛車のキーを手に取り、クルマ好きが集まる場所に出かけてみようではないか。

文=桐畑恒治 写真=望月浩彦 取材協力=J-MOTORS


(ENGINE2025年2・3月号)

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