2025.02.24

CARS

2025年版、2台持つとクルマはもっと楽しい! これがアガリのクルマ! ロータス・エランS2クーペとミニ・クーパーでイギリス車生活を満喫する

ミニが原点

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ガレージに収まるラインナップからお察しの通り、中山さんは生粋の英国車好きだ。しかしそもそも自動車趣味にのめり込むきっかけになったのは、ラリー競技からだった。

「山道を走るのが好きで。社会人になってからPF60型のいすゞ・ジェミニZZ-Rを買って、横浜の戸塚にあったラリー・ショップでラリーカーに仕立ててもらい、東京フレッシュマンクラスに出場していました。その後ダート・トライアルに転向したんですが、結婚を機にやめました」



結婚後、中山さんはオープン・カーに乗りたくて発売されたばかりのユーノス・ロードスターを購入。しかしお子さんを授かったことで、半年ほどで手放してからは、家族優先でボルボ240ワゴンやメルセデスCクラスを乗り継いできた。

「28年ほど前ですね。転勤で家族と共に静岡市に引っ越したのですが、Cクラスは妻が使うので通勤用に自分のクルマが1台必要になったんです。内心はニコニコでしたよ。やっと自分のクルマが買えるって(笑)。そこで買ったのが紺色のローバー・ミニでした。何を突然って思うでしょ。ちょっと古いクルマ、それも小さめのオープン・カーがいいなと思っていて、本当はMGミジェットやカニ目が欲しかったんだけど、身長185cmの僕ではシートに収まらなかった。もちろんミニもダメだろうなと思ったら、これがちゃんと乗れたんです!」



それ以来、会社の行き帰りにわざわざ日本平の山道を走って、倍以上の通勤時間をかけて出社するなどミニとの生活を堪能したという中山さん。しかし1年ほど過ぎたある日の夜、信号待ちで飲酒運転のクルマに追突され廃車。中山さんも瀕死の重傷を負ってしまった。



「ミニだから危ないじゃなく。ミニだから助かったんです。それでまたミニを探して、単身赴任先の大阪に持って行ったのですが、1年も経たないうちに自動車雑誌の売買欄でエランを見つけてしまったんです」

それが25年間乗り続けている、グリーンのエランS2クーペだ。

「その前に綺麗なトライアンフTR4を買う寸前まで行ったんですが、僕的には大きかった。とはいえロータス・ヨーロッパなんて論外だし、どうせエランも無理だろうと思ったら乗れた! それどころかシートを2ノッチ前にしないとクラッチを踏み切れないほど余裕があったんです」

中山さんのエランはデビュー当時S2クーペと呼ばれた極初期のエラン・クーペ。ベンチレーターのないCピラー、ドアに残るパワーウインドウ・スイッチの跡など、S3クーペとの違いが散見される。


前オーナーがサーキット嗜好だったこともあり、いくつかモディファイが施された状態だったというエランだが、コツコツとパーツを買い集め、手を入れた結果、今では素晴らしいオリジナル・コンディションに保たれている。

「とはいえガレージを手に入れる前はほとんど青空駐車でした。でも、ラッパーズのボディカバーを3枚ほど消費したおかげで、なんとか状態を保つことができています(笑)」

そしてこのエランを手に入れたことがきっかけで、中山さんの自動車趣味の世界はさらに広がった。



「個人売買だったのですが、前オーナーが懇意にしていたショップを紹介してもらったおかげで、今も安心して乗れています。そこからショップやエランを通じて、色々な仲間と知り合うことができました。だから名古屋に単身赴任になった時も、向こうの仲間と遊べるように一緒に持って行って、イベントやツーリングを楽しみました。今もS2用のルーム・ミラーやフィラー・キャップを譲ってくれたりと、感謝しています」

やっぱエランが一番

そうしたコミュニティを広げて行った結果、辿り着いたのがヒストリック・フォーミュラの世界だった。

「これこそ周りの影響が大きいですね。ブラバムの前オーナーはエランの主治医なんですけど、ある日“これ乗る?”って。まぁ男の子なら、いつか本物、1/1スケールに乗りたいって思うじゃないですか。それで2015年に譲ってもらったんですが、それまでスポーツ走行をしたことはあっても、フォーミュラに乗るのも、サーキットでのレースもこれが初めて! でもね、車体の真ん中に座って前のタイヤが動くのを見ながら走るのはたまらないですよ」

ブラバムBT16は65年のF2&F3マシン。中山さんのマシンは1.6リッターフォード・ケントOHVを積むフォーミュラ・フォード仕様。


今では年間数レースに参戦して楽しむようになったという中山さん。もちろん自動車趣味を謳歌できるのは、ご家族の理解あってこそだが、もう1人のキーマンといえるのが、エランの主治医の存在だ。

「実はこのガレージを紹介してくれたのも主治医なんです。クーラー付きが1台欲しいと言ったらミニを見つけてきてくれたのもそう。エランから始まって、ブラバム、ガレージ、ミニとまるで一筆書きのように繋がってここまで来ちゃいました」

もちろん、現在のラインナップには大満足しているのだが、中でも四半世紀連れ添ったエランは格別な存在だそうだ。

「エランは軽くて操縦性もいいし、この大きさで、エンジンのパワーもあるし……もう十分です。他のクルマは気にならなくなりました。アガリですね。でも強いて言うなら次はS2のオープンかなぁ……。そしたら緑のが怒っちゃうだろうからなぁ(笑)。やっぱり自分のエランが一番気に入っているんですよね」

文=藤原よしお 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年2・3月号)

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