2025.02.05

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン、大量下血でまたしてもレッカー車を出動要請! シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#61

通算4度目となるレッカー車による緊急搬送。さすがにENGINE本誌〆切明けの疲れ切った身体には、肉体的にはもちろん、精神的にも厳しいものがあった……。

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ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月と200万円を投じての大規模修復をするも、走りながら次々とトラブルに見舞われ、さらに80万円以上をつぎ込んでいるエンジン編集部ウエダによる自腹散財リポート。今回はハイドローリック・シトロエンの命、LHMを通すホースがついに限界を迎えてしまったお話。

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血管のような複雑なホースを引き直し!?

エグザンティアの主治医であるカークラフトでは2024年に入ってから、あるホースの新規作成に向けて、様々な試験を繰り返していた。それは複雑に分岐しあちこちへと伸びているハイドロ・シトロエン特有のLHMの通る配管であり、いうなればエグザンティアの走りの肝である。ひとに例えるなら、体中に張り巡らされた血液の流れる血管を、人工血管に置き換えるためのテストという感じだろうか。



この配管は金属の部分と樹脂とゴムでできている部分があり、今回引き直すのは主に後者。一般的にはリターン・ホースと呼ばれているものだ。径が両端で違っていたり、複雑に、最大で5方向にまで分岐しているため、代替え品を探すのが非常に困難な代物である。当然、純正部品はほぼ枯渇しており、また製造当時から時間を経た現在では、たとえデッドストック品が見つかったとしても、劣化している可能性が高い。

以前も紹介したトルコ・イスタンブールにある専門店、Dr.Xantia(ドクター・エグザンティア)では代用品を新規に作成、販売しているのだが、日本仕様との完璧なマッチングはなかなか難しそうだ。なにせ年式による違い、左右ハンドルの位置、ABSの有無、ハイドロニューマチックとハイドラクティブ2というシステムの違い、搭載エンジンなどなどによって、ホースの仕様が少しずつ異なるようなのである。



そこでオリジナルと置き換える新規の配管作成のため、カークラフトの篠原大輔さんが目を付けたのは、ある工業用の継手だった。

洋の東西を問わず、真理を探究するものが行き着くところは同じらしい。というのも、大輔さんが発見したこの継手は、ほぼ同時期にフランスのエグザンティア・アクティバ乗りによるアクティバ・クラブでも話題になり、実際にリアの3方向の三つ叉ジョイントの代わりとして、メンバーに向けて販売を開始したからだ。



この継手を製造しているのは、実は日本国内の某空気圧縮機メーカーである。同社は1970年代に空気圧縮器の配管用継手およびソレノイド・バルブの製造、販売をスタートしている老舗だ。大輔さんとアクティバ・クラブがほぼ同タイミングで着目したのは、この会社の製品の中でもワンタッチ継手というシリーズ。空気や水、薬品などを送るためのチューブを繋ぐジョイントで、“チューブフィッティング”と呼ばれている。

ワンタッチというシリーズ名の通り、ホースを差し込むジョイントの口の先端部分にはロック用の爪と開放リングというものが備わっており、そこを押し込むことで簡単にホースの脱着が可能なのだ。現状ではホース・クランプを用い、ドライバーを使っていちいち固定しているため、LHM漏れの場合など交換が大変だったが、遙かに手軽に、迅速に交換ができる。

同社ホームページ上では用途に応じた様々なこのチューブフィッティングのバリエーションとスペックが紹介されており、適合する液体、本体に使用されている素材、シールゴムの素材、最大対応圧力、使用温度範囲などが記されている。ただし、本来は工場などで使用する空気や液体を運ぶためのもので、自動車用の部品でも、ましてやシトロエンのLHMを流すためのものではない。あくまでも本来の用途ではないことはご理解頂きたい。

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