2025.01.20

CARS

世界初となる日産フェアレディZ(S30)用アルミ・パネルをはじめ、クラシック・カーの外装パーツを新素材で蘇らせる!

ボンネット・フード、左右フロント・フェンダー、左右ドアをアルミ素材の新規作成したパネルに置き換えたフェアレディZ(S30)。1台あたりでマイナス30kgの軽量化を実現している。

東京オートサロン2025の会場内では、旧いポルシェ911やロータス・エスプリの外装をカーボン素材で置き換えるなど、最新技術を用いてクラシック・カーを延命させようとする動きがあちこちで見られた。そんな中注目を浴びていたのは、日産車のレストレーションで知られるスターロードが、愛知県の矢作産業の協力によって製作・展示をした1969年型の初代フェアレディZ、通称S30型である。

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最新技術を盛り込んだ旧い車両

クラシック・カーの相場が急騰し始めた頃から、ポルシェ911の外装をまるごとカーボン素材に置き換えるような最新技術を盛り込んだ旧い車両を、オートサロンの会場のあちこちで見かけるようになった。



綺麗に仕上げられたアルミの輝き

2025年のオートサロンで、スターロードが展示したイエローの日産フェアレディZ(S30型)もそんな1台だ。綺麗に仕上げられたアルミの輝きと、元の車体色とのコントラストがものすごく強いからだろうか。賑わう会場の中でもひときわ目を惹く。Zの周囲では、入場者が一緒に自撮りをしているような場面もあった。

このアルミのボディ・パーツの製作をスターロードから依頼されたのが、愛知県豊田市にある矢作産業である。



ノウハウが活きている

地名から想像できる通り、実は矢作産業は主に大手自動車メーカーの依頼で新型車の試作を行っており、一般ユーザー向けの製品は手がけてはいなかったそうだ。だが、そうしたごく少数の部品開発に特化した、メイド・イン・ジャパンのものづくりのノウハウが、クラシック・カーの再生で活かされることになった。

会場で話を聞いたところによると、やはり市販車の部品と試作車用の部品は、型の材質、工法などなど、根本的に異なるそうで、同社にとっても実際に一般道を走るクラシック・カーにどこまで対応できるものを産み出せるかは、一種の挑戦であり、夢だったともいえる。



1台あたり30kgの軽量化!

1969年型フェアレディZのボンネット・フード、左右フロント・フェンダー、左右ドアはすべて矢作産業のアルミ製のパネルに置き換えられており、従来のスティール製パネルに対し、重量はそれぞれボンネットが15.6kgから6.9kgに、フェンダーが7.2kgから3.6kgに、ドアが23.8kgから16.6kgへと、最終的に1台あたり約30kgの軽量化を実現している。

もちろん、スティール部品をアルミに置き換えるだけの、いわば単純なリバース・エンジニアリングというわけにはいかない。スティールとアルミの比重差や剛性の差はもちろん、プレス加工の際の、伸びにくいアルミの特性も、形にしていく上でクリアすべきポイントの1つだったそうだ。安価な競技用製品のように強度や精度に目をつぶることなく、ノーマル比でマイナス30kgという大台に達したのは、とても素晴らしい。



価格などは今のところ未定

現段階ではアルミの無垢のままの状態なので、スティールのモノコックに直接取り付けてしまえば電位差による腐食が起こってしまうが、ここは当然ペイントを施すことが前提で、一定の塗膜があれば問題はないそうだ。

価格などは今のところ未定。2025年の東京オートサロンはとにかく海外からの入場者が目立っていたが、そうした彼らをはじめ、世界のS30オーナーからどれほどの需要があるか。企業同士のビジネスが基本だった矢作産業としては、反響を注視しているという。



最新技術で旧車を延命

また会場内には、ポルシェやこのフェアレディZ以外にも、大阪のボン・レーシングが手がけたロータス・エスプリの車体をセミ・ドライ・カーボン化した車両も展示されていた。

クラシック・カーが日本のものづくりのノウハウと最新技術でさらに長生きする。このような動きは、さらに加速していくに違いない。



 文=上田純一郎(ENGINE編集部)  写真=宮門秀行、上田純一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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