2025.03.01

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン、点検のし過ぎもご用心 シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#65

第38回のリポートでも登場した首都高速道路・平和島パーキングエリア(下り)にて撮影。車体を上から見ると分かるのだが、樽のように前後が絞られているエグザンティアは、慣れないところだとかなり意識しない限り真っ直ぐに駐車するのはなかなか難しい。

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ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月の時間と200万円を投じて大規模修復を実施。そうしてようやく走り出すも次々にトラブルに見舞われ、綱渡り状態ながら予算をひねり出し、なんとか乗り続けているエンジン編集部ウエダの自腹散財リポート。今回は何ごともほどほどにしたほうがいい、というお話。

3つの小さな部品の経年劣化

日本製部品を流用した新たなLHMのホースを装着し、車検も無事終えて、ふたたび走り出したエグザンティア。ここからは何回かに分けてこの春あちこちに出かけたことをリポートするつもりだったのだけど、10日も経たないうちに、立て続けに小さな小さな3つの部品の経年劣化に見舞われた。1カ所については自業自得でもあるのだけれど「なんでそんなところが?」と驚かれたこれらの部品について報告する。



僕は第60回のリポートでも書いたとおり、エグザンティアに乗る日は、極力ボンネットを開け、サスペンション・アッパーマウントの状態をチェックし、エンジン・オイルのレベルゲージを引っ張り出して量を見て、さらにLHMタンクと冷却水タンクの蓋を開けて液量も目視することにしている。

よほど急いでいれば別だけど、せいぜい1、2分程度で済むこと。運行前点検は必要なことだし、何よりもエグザンティアは、旧くなったアッパーマウントが最悪ボンネットを突き上げるリスクを背負っている。もう製造から30年近いのだから、どれだけ整備していたって何があるかはわからない。オイルもLHMも冷却水も、量や劣化具合は常に気にしていて損はない、と思う。

ただLHMも冷却水も、エンジン・フードを開けただけでは液量の確認ができず、少々面倒ではある。LHMの量はエンジンを始動し、センター・トンネル部の調整レバーを操作して車高をめいっぱい上げた状態で、LHMタンクに付いているフロートがレベル内にあるかどうかで判断するのが正しい点検方法だ。けれど、さすがにそこまでは普段しておらず、とりあえずLHMタンクの蓋を開け、液面の位置だけはチェックするようにしている。

隠れているレベルゲージ

いっぽう冷却水は、タンクそのものが真っ黒な樹脂製で、近年のクルマのような半透明で水量の下限と上限が外側に書かれているようなタイプではない。だからエンジンが冷えている時を見計らって、これまた樹脂製の蓋を回し開けて中を覗き、水面が見えるかどうかで判断していた。



というのも日本語の取扱説明書には「冷却水はヘッダー・タンクの下限マークと上限マークの範囲に入っていれば適量です」とあるのに、タンクをあちこちから眺めても、どこにもそんなものはなかったからだ。

ある時主治医のカークラフトに教えてもらい、ヘインズ社のマニュアルを読むと、“ウィークリー・チェック”の項目に、冷却水量の確認はタンクの注ぎ口の内側にぴったりハマっているレベルゲージを見るように、とあった。

ひょっとして日本仕様は年代によってタンク自体が違ったのだろうか? 隠れているレベルゲージを抜こうとするも、長年の水垢のせいか固着し、濡れた指ではなかなかうまく引っ張り出せない。10分くらい悪戦苦闘しただろうか。ようやく緩んで出てきたレベルゲージはずいぶん変色しているようだったが、ちゃんと冷却水の量は下限と上限の範囲内にある。

冷却水の注ぎ口の内側にハマっているレベルゲージを少し引き出したところ。円柱形で外側に1カ所凸部があり、注ぎ口側の凹部とかみ合うようになっており、しかも濡れているので、指先で取り出そうとしても滑ってなかなか外しにくい。



それにしても、蓋を開けただけでも目視もできるけれど、なんでこんな複雑な構造にしたのだろう。ウィークリー・チェックを推奨されるくらい頻繁に見るべきところなのに。

とにもかくにもこうして点検を繰り返していた3月のある日のこと。出発前に様子を見ようとしたら、まず1つ目の部品の破損が起こったのである……。

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