2025.04.27

LIFESTYLE

地面より90cm下がったリビングが生み出す驚きの眺望 建築家が丘の上に建つ自邸で挑んだ「眺めが良くなるアイディア」とは?


クルマに化けた賞金

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作品として設計された個性的なこの家は、幾つもの建築賞を獲得する。そこで得た賞金は、すぐにフォルクス・ワーゲン・タイプ2の第3世代、通称「カラベル」(1988年製)に変わった。賞金はすぐに使う主義の納谷さん。若い頃に手掛けた一戸建てのリノベーションで獲得した賞金は、日産サニートラックになった。父親の影響で、10代から釣りやキャンプを楽しんできた納谷さん。そうしたライフスタイルが、クルマ選びに反映されている。

眺めの良い丘の上に建つ納谷邸。FJはオフロードスポーツ向けの改造に加え、キャンプ用のオーニング(日よけ)も取り付けられている。奥に見える玄関扉が美しい。

今は大阪の大学でも教えているため、クルマでの長距離移動も多い。そこで10年乗ったカラベルから、昨年末に最新のルノー・カングーに乗り換えた。何台ものSUVに試乗した結果、走りが一番良かったのだ。しかも観音開きのリアドアが、夫婦と愛犬で車中泊をするのに実に使いやすい。かつてはキャンプに出かければ当然のようにテントを張って寝ていたが、今は車中泊の便利さに抗えないでいる。

そしてもう一台、15年間、納谷さんの車中泊の相棒として活躍してきたのが、トヨタFJクルーザー(2010年製)だ。「当時、可愛いデザインのSUVはこのクルマだけ。国内販売が始まって、すぐに手に入れました」。リアシートは外し、クルマの後半部は寝床に変更した。

愛犬のグーは、この家が完成した翌年、2歳半の時にやってきた。納谷家の一員になってもうすぐ11年。毎日一緒にクルマに乗って出勤し、昼間は納谷さんの事務所で過ごしている。

クルマだけでなく、バイクも好きな納谷さん。現在7台を所有しているが、敷地内には2台しか置けず、残りは、友人などに預けている。最近はたまに近所を転がすだけだが、その時間が本当に貴重だと話す。

そんなアクティブで多忙な納谷さんが、プライベートな時間を楽しむために設計した自身の家。この空間で過ごせば、なんでもない一日がより充実したものに感じられるに違いない。

文=ジョー スズキ(デザイン・プロデューサー) 写真=田村浩章

■人気連載「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」の記事一覧を見る!

■納谷新:1966年秋田県生まれ。芝浦工業大学卒業後、山本理顕設計工場での勤務を経て、建築家である兄の納谷学と共同で 納谷建築設計事務所を設立。長きに渡って共に活動するが、2023年に解散。自身の事務所「/360°」での活動を展開中。バイク好きでもあり、下の写真の「野辺山の住処」は、バイクと自然の両方を楽しめる別荘。建築以外に、庭で育てたローズマリーで香り付けしたビールの醸造や、友人の料理研究家が手掛ける食品のパッケージデザインと、異業種のクリエイターとのコラボも多い。現在、追手門学院大学の教授でもある。構造:木造規模:地上2階敷地面積:192.56平方メートル建築面積:73.21平方メートル延床面積:94.79平方メートル所在地:神奈川県川崎市竣工:2013年設計:360°/納谷新 https://360degrees.jp/
納谷新:1966年秋田県生まれ。芝浦工業大学卒業後、山本理顕設計工場での勤務を経て、建築家である兄の納谷学と共同で 納谷建築設計事務所を設立。長きに渡って共に活動するが、2023年に解散。自身の事務所「/360°」での活動を展開中。バイク好きでもあり、写真の「野辺山の住処」は、バイクと自然の両方を楽しめる別荘。

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雑誌『エンジン』の大人気企画「マイカー&マイハウス」の取材・コーディネートを担当しているデザイン・プロデューサーのジョースズキさんのYouTubeチャンネル「東京上手」がご覧いただけます。建築、インテリア、アートをはじめ、地方の工房や名跡、刺激的な新しい施設や展覧会など、ライフスタイルを豊にする新感覚の映像リポート。素敵な音楽と美しい映像で見るちょっとプレミアムなルームツアーは必見の価値あり。ぜひチャンネル登録を!


(ENGINE2025年5月号)

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