BMW S1 1949(1949年 東ドイツ)
冷戦下で生まれた東独BMWのレーシングカー

第二次世界大戦後、ドイツは戦勝国で東西に分割された。アイゼナハにあった旧BMW支社工場はロシアの占領下となり、工場は「アフトウェロ」と呼ばれるようになった。戦前に生産されていたBMW 328の部品がまだ十分に残ってため、ロシアのバックアップの元、西ドイツと西側諸国に対抗すべくレーシングカーの製作に乗り出す。
設計と製造を担当したゲオルク・ハフナゲルを中心とするクルーが空気力学を徹底的に追求し、このレトロフューチャーなデザインをつくりあげた。車体は突起物を極力排除したアルミニウム製、車輪は独立させずにボディの中や下にレイアウト、ステアリングアングルが小さかったこともあり、車幅はかなり広め。実際にロードレースでは2勝して面目を保った。その後、公道を走行可能な2シーターに改造されたモデルが1950年にライプツィヒ見本市で展示されたという記録が残っている。BMW S1 1949 シルバー 1/43 ¥28,600
ランチア アプリリア スポーツ ザガート(1937年 イタリア)
名カロッツエリアの100年プレゼント

「ランチア×ザガード」という組み合わせはイタ車好きでなくても見逃せない。アプリリアは創業者のヴィンチェンツォ・ランチアが生前最後に関わったモデルだった。それをベースに、ウーゴ・ザガードが1937年に車体を改造したのがこのスポーツタイプ。長らく幻だったが、ウーゴの孫にあたるアンドレアがランチア100周年を記念して2006年に復刻する。
モノクロ写真以外の資料・設計図は残っていなかったため、最新のコンピューターを駆使して忠実に再現したのだが、単なる見た目だけにとどまらずエンジンも復刻。実際に時速130kmまで加速したという。カロッツエリアのリスペクトあふれるエピソードも感慨深い一台。ランチア アプリリア スポーツ ザガート 1937 レッド 1/43 ¥25,850
いかがだったろうか。繰り返すがこれらはコレクションのほんの一部。かなりのクルマ好きでも知らない車種がほとんどのはず。
最後に、エジソンが遺したもうひとつの格言を引用してみる。
「私はこれまで、偶然のひらめきで、価値ある発明をしたことなど一度もない。全ての発明には、想像を絶するような熱意が注ぎ込まれている」
歴史に埋もれていたクルマを照らした“モデルカー”というスポットライト。マニアックなオタク心は、クルマへの深い愛情と表裏一体だ。デザイナーやエンジニアが抱いていた情熱に卓上から思いを馳せてみたい。
※商品はすべて税込み価格です。
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文=酒向充英(KATANA)
(ENGINE Webオリジナル)