2025.09.06

CARS

世界王者・山野哲也の秘密のガレージ 原点は“車庫入れドリフト”だった

常に最新、最先端のモデルに乗ることにしているという山野さん。山野さんにとってこのガレージは未来を見つめる大事な場所だ。

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【全2回の(前篇/後篇)の前篇】

全日本ジムカーナ選手権で24回という前人未到のシリーズ・チャンピオンの記録をつくり、いまなお更新し続けている山野哲也さん。チャンピオンの自宅を訪ねてみると、そこにはルーツをうかがい知ることができる素敵なガレージがあった。前篇では、現在のガレージづくりにも通じるレーシング・ドライバー、山野哲也のルーツ、もう一つの大事なガレージの話をお届けする。

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山野哲也のルーツ

まずは写真のこのガレージをご覧いただこう。ここはチャンピオンのガレージだ。あまり公開されたことはないので、秘密のガレージと言っていいかもしれない。写真に写っているのがそのチャンピオン、山野哲也さんだ。



ENGINE Webの読者はもちろん、モータースポーツに少しでも興味がある人ならよく知っていると思うが、山野さんは数々の自動車競技で優勝し、これまでに幾つもの年間チャンピオンを獲得している、日本を代表するプロのレーシング・ドライバーだ。

なかでもいちばん有名なのは、1992年に年間チャンピオンになってから2024年までに24回も王者となっている全日本ジムカーナ選手権での活躍だろう。特に2017年からは8年連続して年間タイトルを取り続けており、記録はいまも更新中だ。

その記録も相当なものだが、山野さんの凄さは、どんなクルマに乗っても速いところにある。全日本ジムカーナと並行して参戦していたスーパーGTのGT300クラスでは、2004年はNSX、2005年はMR-S、2006年はRX- 7と毎年乗るクルマを変えながら連続してシリーズ・チャンピオンに輝くという離れ業をやってのけた。

野島俊哉選手の来年の全日本ジムカーナ用に開発中。速そう!

エンジンの搭載位置や駆動輪にかかわらず、なんでも速いという山野さんが、いま計画しているのがEVで全日本ジムカーナに挑戦すること。そう、このガレージの写真に写っているのがそのミニ。でもこれがただのミニだと思ったら大間違い。最新も最新、フル電動モデルのジョン・クーパー・ワークスの、なんとジムカーナ仕様だというからびっくり。

なんでも速い山野さんだが、実はモットーとしていることがある。それは最新の技術、最新のモデルでモータースポーツに挑戦すること。現在連覇を続けている全日本ジムカーナのアルピーヌA110のときも、電磁式パーキング・ブレーキではスピンターンができないのを承知の上で挑戦して、マンネリ化する参戦車両のラインナップに風穴を開けた。そんな山野さんを見て、いま続々とアルピーヌやケイマンで挑戦する選手が増えている。

取材当日、ガレージにあるのを目にして驚いたのがこのクルマ、BEVのミニJCW。

「もうあと何年かすると、確実に市場にEVが増えてくる。そのときにエンジンじゃないとモータースポーツができない、エレクトリック・パーキング・ブレーキでは参戦できないとなったら、モータースポーツそのものが存続できない。そうならないためにも新しい技術、新しいモデルに早めに取り組む必要がある」

そう語る山野さんのガレージをあらためて見渡してみると、そこにあるのはどれも最新モデルのクルマばかりだ。山野さんにとってこのガレージは未来を見つめる大事な場所なのだろう。

そんな山野さんの現在のガレージの話をする前に、もうひとつの大事なガレージの話をしておかなければならない。それはこの家の家づくりにも通じる、レーシング・ドライバー、山野哲也のルーツの話でもある。

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